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母になった気分

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シンジュは目覚めると身体や首が物凄く痛くて驚いた。

昨日ギルドマスターの部屋で椅子に座ったまま寝てしまっていたのだ。シンジュもなんだかんだ寝不足により疲れていた。

身体は重かったが慌てて無理やり起こし、キッチンへ向かってすぐに朝食の準備に取り掛かった。
今日もパン粥は変わらないが、今からジャムを作る。

転移で湖に行った時に幻のベリーを沢山見つけた。今までは赤色の実しかなかったが今回は黄色と紫色の実もあった。色は違うが鑑定魔法で調べると正真正銘幻のベリーであったため必死に収穫をした。


全部ジャムにするのは勿体ないので数個だけ残して、それ以外をキレイに洗って砂糖と一緒に煮詰めていく。今回は時間がないため魔法で時間を短縮した。
ただ魔法で作ったためベリーの形が1つも残らず、潰れてしまった。
シンジュはゴロゴロとした実が残っているジャムが好きだったため魔法で作る難しさを感じた。

それに何だか魔法ですべて作ってしまうと美味しさが半減する気がして、なるべく時間をかけて作るようにしたい。圧力鍋とかがあれば罪悪感無くなるかな?

あれは魔法じゃないもんね。前世ではよく母親が圧力鍋を使って料理を作っていた。カレーや肉じゃが、煮物にハンバーグまでほぼ圧力鍋に入れるだけだった。


母の口癖は「これに入れとけば美味しくできる」だ。

そんな母を見て育ったため1人暮らしを始めると、料理を作る練習をした。特に煮物や揚げ物はたくさん作った。


揚げ物は外で買う以外家では出なかった。なぜなら圧力鍋に入れておくだけじゃ出来ないからだ。1度母は圧力鍋で揚げ物に挑戦したらしいが、大惨事になったらしく父親に止められていた。
ただ圧力鍋に入れて蓋をせずに揚げ物を揚げるなら大丈夫だと思うが、きっと蓋を閉めて揚げ物を揚げようとしたのではないかと思った。


最後に実家に帰った時は電気で手軽な圧力鍋?みたいなものが家に増えていた。何でもガスいらずでコンセントに差すだけでできるため、朝材料を入れておくと帰ってきたら出来ているらしい。

さすが母だなと思った···母の味は圧力鍋の味です!


そんなことを考えてるうちに出来たジャムを急速に冷やし、食べる分以外はアイテムボックスに仕舞っておく。


今日はパン粥にジャムと、フルーツだけのメニューでいいかな?よし!!作り終えたので今度は隊長を起こしに行く。


仕事をクビになった隊長は自分で朝が起きられなくなったのだ。1度寝付くと1日ぶっ通しでてることもあり、心配になったため朝は起こしてあげていた。

コンコンコンとドアを叩くも返答がないため今日もまだ寝ているようだ。許可ないが扉をガチャガチャと開けて部屋に入る。

以前入ったギルドマスターの部屋はきれいだったはずなのに、ここ数日で部屋がゴミ屋敷している。
ペットボトルや缶といったものはこの世界にはないが、エールの樽がドワーフの確定ならどこにでもあるので、この部屋にも樽が何個か転がっていた。


ぶつからないように慎重にベットに近づいて「起きて!!朝ですよ!!」と声をかけたが、うん。これだけじゃいつも起きないから、揺することが当たり前になっていた。


大きなドワーフを揺するのは結構大変だ。

すると次第に目が開き「おはよう!毎回ありがとな!」と隊長が起き上がった。起きるまでは大変だが、目が開いたあとは行動が早い。


「こちらこそ毎回ありがとう。この前作ってくれたミトンが便利で重宝してるよ。」


「あれか!ミトンってやつは便利だよな。親父がいつも熱いものを触って火傷するからプレゼントしたら喜ばれた。アイデアをくれてありがとう。」


「それは良かった。地下住居の出来具合はどうですか?」


「まだかかると思うが魔法で作ってるから早いと思うぞ。ただ出来上がってからも、、、俺はここにいてもいいか?」


「良いよ。一応ギルドマスターには事情を話してるし、私の家じゃないけど好きなだけいて。」


「ありがとう。んじゃ少し食事の前にトレーニングしてくるな。」と言って庭に運動しに行った。


初めて筋トレしているのを見たとき、2度見してしまった。

今は慣れたが、馬車を素手で何往復もするトレーニングだった。なにになりたいのだろう···と思ったけれど、きっとこの方法が若くして隊長になった秘訣なのかな?


窓を覗くと今日も頑張っているみたい···頑張れ!!!と応援しつつ今度はエメの様子を見に行く。


なんだかお母さんみたいだなと思いながらエメの部屋に向かうのだった。



それから元気な組は皆で朝食を食べて、部屋でギルドマスターは食べた。今日も1日頑張ろう!!!
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