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ハーフドワーフの家は特殊な家?

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「貴方はあの子のなにかしたら?」

シンジュは開口一番強い口調で問い詰められた。


「たまたまドマスさんが住んでいた近くにお邪魔した時に知り合いました。」と正直に答えたがなぜか母親は全く信じていない様子で、  
「そうなの…後ろの獣人やエルフは貴方のなにかしたら?」と突然意味の分からない質問をされた。


「冒険者仲間?私にも分かりかねます。」と答えた。シンジュ自身もフェルとライオネがどんな存在なのか分からなかった。


「そう、別にいいわ。あの中に貴方の旦那や彼氏がいても私は何も思わないわ。ただね私の息子のことは諦めてちょうだい?貴方には私の息子は不釣り合いだわ。」

シンジュは混乱していた。勝手に尋問のような質問されたかと思うと、今度は息子を諦めてちょうだいってなに??

「あの、、、あの中に好きな人はいませんし、今はエメという竜の子共を育てている最中なので特に彼氏や旦那がほしいとかありませんので、ご安心下さい。」
何で謝ってるのか自分でもよく分からない···


「本当なのかしら?そんなの信じられないわ。ドマスちゃんはね、本当に可愛い子だったのよ。そんなあの子が家から飛び出したときは離婚危機に陥ったわ。でも血の契約をしているため離婚なんて出来ないけれどね。でもね旦那と離れて子供についていきたいと思うくらい私はあの子が大好きなの。そんなあの子が久しぶりに帰ってきたかと思うとまさかの女の連れ?それに子持ちなんて許せるわけないわ。」



この母親はなんだろう、妄想が酷いしそれに止まらない···
なぜかリボンの塊が母親と連動してるかのようにプンプンと激しく怒っている姿はとても怖い·····誰か助けてほしいと思っていたら、
「ママ」と後ろから大声が聞こえてきた。慌てて振り向くと、大きなリボンを頭に付けたドワーフがいた。

え?ド、ド、ドワーフ?言葉が出なかった。いつの間にかドワーフが近づいてくると背中に背負っているハンマーを手に持ったと思ったら、シンジュめがけて振り下ろそうとした。



は?何この変態リボンドワーフ···シンジュは攻撃されそうになり我に返った。
怪我はしないとは分かっていても、今日だけで何度も何度も自分に向けられる悪意に疲れてしまった。
ちょっとの悪意すらもうお腹いっぱい···と思いながら目を閉じて衝撃に耐えていると何も当たらない??



目をゆっくり開けるとフェルが、縄で変態リボンドワーフを拘束していた。

「父さんなにしてんだよ!!!俺達の知り合いに向かってありえねぇ、、、」ドマスはその隣で目に涙をためて父親を睨みつけていた。

父親?これが?嘘でしょとシンジュは思った。


「は?知り合い?そういやなんでお前は突然帰ってきた?街の連中がお前を見たと言っていたからな、俺は慌てて帰ってきら、案の定ママの隣には知らないやつがいた。攻撃するしかないだろう?」


「はぁ?なんですぐ攻撃するんだよ?そんなんだから母さんは1人も友達がいねぇじゃん。」と呆れたように言った。

「ママには俺がいればいい。俺もママだけいればいい。子供のお前でも仲良くしてるのは許せねぇ!!!早く自分の家に帰れ!!やっと追い出せたのによぉ···」

「言われなくても帰ってやるよ!!!俺が今回ここに来たのは母親が心配だったからだ。人間には毒になる食べ物がドワーフ共和国にはいっぱいあるらしいぞ!俺も同じく危険らしい。それを伝えるために帰ってきたがもう帰るよ。」


「ちょちょちょっとまって毒?危険?なんだそれ?教えてくれ。俺にはママが1番なんだ。」と帰ろうとする息子を揺さぶり始めた。



······



何でしょうこの2人のコント···物凄く疲れるとシンジュは思った。
ドマスの両親は特殊なタイプ?それとも全てのドワーフがこのような感じ?もし全員ドワーフがこの両親のようなら···ドワーフ達とは付き合い方を考えようと思った。 
妄想、自己中、束縛等···かなり引いてしまった。


「ライオスさん!ドワーフって皆こんなヤバい奴らなの?」

「いや、違うと思うが鉱山都市で働いているようなやつは採掘や物作りに命をかけているものが多いが、街中にいるようなドワーフはもしかしたら気持ちを向ける矛先?方向性?が違うのかもしれないな?」

ふむふむとシンジュは思った。熱い気持ちを注げる場所が違うということかと1人納得したのだった。この変態リボンドワーフは奥さんに異常な愛情を注いでるみたいだもんね、、、奥さんを1番に考えるのは良いけれど、少しは息子さんのことを考えてあげてほしい。よくグレずに成長したな~と感心した。


それからやっと決着がついたようで、「嬢ちゃんわりぃな。食べ物を見てほしいんだが、騒がせてすまん。」とドマスに言われ、面倒くさかったが「いいですよ!それより魔法で健康状態確認しますね?」と伝えた。
正直この奥さんが何を普段食べてるか知らないし、鑑定魔法で健康状態を調べたほうが早い。

すると「はぁ?そんなことできんのか?すげぇな!鑑定魔法はフェルも使えるだろ?そんなことできるか?」と興奮したようにライオスが叫んだ。

「いや、健康状態は見れませんね。魔力や力くらいしか見れませんよ。」

そうなんだ~と思ったシンジュだったが2人の会話を気にすることなく、リボンの塊に近づき勝手に鑑定をした。



名前 リボン
種族 人族
家族 3人
年齢 105歳
身長 135cm
体調 健康(鉱山中毒)
ギルドランク なし
魔力量 15
体力  10
スキル 不明
備考欄 他国の金鉱山で両親と一緒に働いていたが、劣悪な環境と昔ながらの採掘方法によって日々汚染物質が川に垂れ流しにされていた。それよって近くの川は汚染され周りの環境が日に日に悪くなっていくことに危機感を感じ、家族全員で夜逃げした。
逃げた先で出会ったのが旦那様となったドワーフだった。
血の契約を結んだことで見た目は良好だが体内に汚染物が残っており早死にする確率が高い。


うっわーーー名前がリボンとかふざけてる···それにクッソ健康状態最悪じゃんと心のなかで呟いたシンジュだった。
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