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宿屋の料理をプロデュース

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翌日、シンジュはいつも通りに目が覚めた。日の出と共に目が覚めるのが当たり前になってしまった。ただ昨日と違いとても静かで、お酒を飲んでいるドワーフ達はいない。

祭りの影響で鍛冶場や鉱山が休みのようだ。シンジュは久しぶりにゆっくりと静かな時間を過ごすことが出来た。


それから昨日よりも早く起きたエメと一緒に顔を洗い朝食へ向かった。『今日は強引な受付ドワーフがいなくてよかった。』と2人で目配せし、同じ角に座った。

食事を待っていると大柄なドワーフが食事を運んできた。

「昨日はあまり食べれてなかったようだけど、美味しくなかった?」

誰??ハテナマックが浮かび疑問に思っていると「ごめんごめん。俺さこんな見た目だけどドワーフだからびっくりするよな。」


いやいやいや確かにびっくりするけれど、大柄なドワーフとはもうすでに対面済みです。それよりも貴方が誰ですか?名前を知りたい···

突っ込みたい気持ちを我慢して、「あの、貴方は誰でしょうか?」

「あ!俺?見ての通りドワーフだよ!」

言葉が通じないやつ···なに?大柄なドワーフさんは言葉が通じないのかな??

「うん。ドワーフってわかる。なまえ!!ぼくはエメ!お兄ちゃんは?」

エメ君ナイスな発言!!!

「名前か?知りたいのか?俺はボリスだよ!この厨房で見習いやってんだ!料理長がさ、厨房でメソメソしててさ、人間は俺の料理が不味いのか?ってうるさいことうるさいこと、だからさ味どう?」



すると「ごらぁーーー」と奥から怒鳴り声が聞こえたかと思うと、、、目の前のドワーフさんが殴られた。



「おめぇなに恥ずかしいこと言ってんだ?俺の秘密を暴露してんじゃねぇ」



「だってさ料理長聞けないだろ?聞いてやったのに酷いぜ!でも人間なんて初めてみたから気分がいいぜ!」


「ふっざけんなーおれぇおれぇ恥ずかしい」モジモジ


漫才???私達ご飯が食べたいな。

エメにご飯を食べよう?と目配せし、テーブルの上にある物を見るとやはり肉の塊と朝はマッシュポテトが添えられていた。

エメは昨日に引き続き肉にフォークをさしながら食いちぎり、シンジュは肉を切ろうとしたが結局無理だったためマッシュポテトを食べた。

うん。やっぱりマッシュポテトだと思っけど、塩とバターの量が異常で···食べられない。

2、3口食べるとそのままエメにあげるのだった。



それを見ていた料理長とボリスが「「これもだめか?」」と声を揃えていった。


言われたシンジュは言葉に詰まった。


ドワーフが美味しいと言っている食べる物を否定して良いのか···
逆にエメはそのやり取りを見て昨日のようにワクワクした。
シンジュ様にかかれば『きっと何でもすごくなる』とウキウキしてシンジュを見つめた。

3人からの鋭い視線を受け降参したシンジュは「まずい」とはっきり答えると、料理長と弟子は崩れ落ち、エメは『やっぱり』と思った。

「どどどどどこがまずいのか教えてくれぇ?鉱山都市1の宿屋の飯がまずないてどうすりゃいいんだ?」と絶望の表情を見せた。

ハァ~とため息を吐き「これは何の料理?味付けは何を使っているの?」と淡々と質問をした。

「あぁ、これは肉を塩とバターで焼いたやつだ。んでぇ芋は茹でて塩とバターと香草を混ぜた。ドワーフ人気No.2だな。1番は昨日の夜に出した肉を塩と香草で焼いたやつだ。あれは酒と合わせると最高だぞー!」ガハハハ

それを聞いたシンジュはそうだろうなぁと思った。

「まずね、肉は焼きすぎてカチカチで人間の私には噛み切れない。肉の下処理が下手なの?だから臭いを誤魔化すために香草を使ってるの?香草をあれだけ使っているのに臭い···あとただ焼いているだけ?筋や脂の下処理はどうしてるの?芋は茹でて軽く塩とバターをかけるだけでいいよね?なぜわざわざ大量の塩を使うの?塩分が濃すぎる。そして芋は茹でてる割には硬いのはなんで?半生·········聞いてる?」

シンジュは淡々と30分も話し続けていた。

途中朝食を食べに来た獣人があまりの不思議な光景に帰っていた。なぜなら大人のドワーフが正座し涙を流しながら人間の小娘の話を一生懸命聞いていたからだ。

「ぅうん聞いていたんだがな、俺らドワーフは頭が良くねぇ。だがな好きなことには命を賭ける。お嬢さんの話を聞いて俺は感動した···肉は焼けば旨いと思っていたが、お嬢さんは情熱がすごいなぁ。肉に焼き方や塩味の量だったか?かければかけるだけ旨いと思ってたぞ。」

「あぁ俺も料理長の言うとおりだ。俺はドワーフなのに鍛冶場のスキルがなくて鍛冶師に慣れなかった。だから料理長に弟子入したのだが皆にバカにされて···料理なんか誰にもできだろうと言われてその通りだと思っていた。だかお前に話を聞いて料理の深さ?っていうやつなのかな。すごいと思ったぜ。俺に料理を教えてくれて。」

『うっわぁー』面倒くさい状況になってどうやって逃げようか考えてると、「シンジュ様はね、すごーく忙しいからだめ。作っても1つだけ。そのほかは、ぼくだけのもの」と思わずムッとしたエメが答えた。エメは心のなかでシンジュに拍手を送っていた。本当にすごい人だな···とだからこそ取られたくない。

エメの予期せぬ援護により大変な状況になるのは防げたが、それでも1品作るのか···今日は鉱山ギルドに行きたかったな~と思った。
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