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そろそろ知りたい祖国の現状 2

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「で・ん・か私の話を聞いていますか?」とルナタシアの妹が王太子殿下に話しかけた。




「あぁ」
危ない危ない。妄想してしまった。ニヤニヤ



ここで1度を宣言をしておくとするか、
「お前達、私はやっと忌々しい女と婚約破棄することができた。
皆のもの応援をありがとう!!
これからは私にふさわしい妃と国を作っていこうと思う!!!」

パーティー会場にいる下級貴族+商人の子供が『うわぁああ』と歓声をあげパチパチパチッと至るところで盛大な拍手を送った。



ただその反面、
上級貴族や留学生は慌てて自宅に帰る者や自国に急ぎ帰国する者、帰国連絡をする者たちで忙しなく動いていた。
特に上級貴族のうち騎士団や魔術師団関係で両親が働いてる者たちは皆ルナタシアの功績を知っていた。
ルナタシアの結界のお陰で、ここ数年団員が寿命や病気以外でほとんど死ぬことがなかった。
そのため両親から口を酸っぱくして何度も「ルナタシア嬢を見た目で判断するな、敬えとは言わないが何か不測の事態が陥った時は殿下より先に守れと」···守る前に消えてしまった。


さらに留学生も何となくではあるが、この国の実態を知っていた。それはなぜか?

それは自分たちより魔力が低い者が多いこと、魔力の理解が乏しいこと、魔力とスキル持ちの不自然な優遇などから

『おかしい』と何度も思ったが黙っていた。

なぜならこの国に対して1つでも悪意を持ってしまったら、自分達の身に何が起きるのか分からなかったからである。



他国の王族Aの場合は、一緒に留学する予定だった従事者がセロピアル国に対して悪意を持っていた。「あの国は怪しい。何かやっているかもしれない」と何度も批判的な発言をしていた。それを王族Aは諌めていたが、、、最後まで従事者には伝わらなかった。
いざ留学をしようとすると、何故か従事者のみが何度入ろうと試みてもセロピアル国に入ることができず、終いには自分の前から消えてしまった·····
その時の恐怖から気持ちを押し殺して何も言わずに黙っていたが、今日の出来事で察してしまった。

上級貴族で仲が良かった子たちが慌てていた様子や泣き出していた子達・・・それを見た王族Aは緊急帰国を決めた。

1人では危険と判断し、他の国の者たちと合同脱出をし、それぞれの国に帰って両親に事の顛末を話した。



どの国も情報の錯綜に困惑をしたが、子供たちの話を聞き、何があっても対処できるよう動いた。

ちなみに獣人国の密偵は、この時に聞いた話を獣人国へ伝えた。



余談はさておいて、


王太子の宣言に他の者は喜んだ。

側近たちは王太子に妃が決まったら、自分達はピンク男爵令嬢へ『アプローチしよう』と思っていた!側近2人はピンク男爵令嬢にメロメロで、もちろん既に身体の関係があった。





ラプラス公爵家の妹は私が王太子妃···うふふ。ドレスやアクセサリーはお揃いで作ってもらおうかしら?
あまり頭が良くなかったためドレス代やアクセサリー代が高いことを知らず、普段からお金を湯水のように使っていた。


弟は王太子の側近になれるかもしれないと···そして姉上と一緒に国を背負っていこう!!やる気いっぱいだった。

など幸せな妄想のオンパレードであった···


同様下級貴族達も自分たちにチャンスが回って来るのではないか?側近や婚約者になれるかも?など好き勝手に思いを巡らせていた。



ピンク男爵令嬢は王太子が婚約破棄をしたから玉の輿乗れるわ。逆ハーレム達成よ!!後はシークレットの男に会えば完璧ね、でも何でこの国で騒ぎを起こす筈だった他国の従事者がいなかったのかしら?あの事件がキッカケで他国の王族と繋がりができたはずなのに···でも仕方ないわね。バクかしら?と軽く考えていた。


そしていよいよ王太子が「私は好きな者がいる。明るく優しく、太陽のような存在の女性である。名前はピンク男爵令嬢である。どうか麗しの君、私と結婚をしてくれないだろうか?」



ギャアーーーー

女性たちのショックによる悲鳴が会場に響き渡る。


準備万端で名前を呼ばれるのを待っていたルナタシアの妹は?ピンク男爵令嬢?なぜ、なぜなぜ···ギリギリギリッと奥歯を噛み締めた。


ピンク男爵令嬢は待ってましたとばかりに、
「私でよろしければ?お願いします。でも殿下!私は皆を愛してるの。皆も殿下と一緒に愛しても良いでしょ?」 (うるうると涙目で訴えた。
これで逆ハーレムよ!!!フフフこの乙女ゲームちょろいわね。と心の中で思っていた。





は?俺だけではないのか?どういうことだ?
「王太子妃として俺の隣に立つには、他の者との関係を切らなければ駄目だ。まさか他と、、、」



ッチ
なにこの殿下頭が固い~うざい、面倒くさい。
「え~どうしてもダメですか?」


そんな会話を2人でしているなか······





影からの連絡を受け大慌て駆けつけた陛下、宰相、ラプラス公爵は状況に唖然とし、絶望的になってしまった。
すでにルナタシアはいなかった。そして留学生達まで逃げ出していたのだ···
まずは急ぎこの騒ぎを起こした王太子殿下、側近2人、ラプラス公爵家の子供2人、ピンク男爵令嬢を捕縛させ牢屋に押し込み、今後のことを話し合うと、ラプラス家の長女捕縛に向けて近衛騎士、セロピアル国騎士団、ラプラス公爵家騎士団を投入させた。



大人たちは国のためにルナタシア捕縛に動いている中、男女別で牢屋に閉じ込められていたメンバーは大喧嘩し、怪我を負った。
ピンク男爵vsルナタシアの妹
王太子vs側近 
魔法で攻撃し合うことで顔や身体に怪我をし悲惨な姿になった···それでも喧嘩をやめなかった。
女達は王太子妃になるために···男たちは誰がピンク男爵令嬢の男になるか···とばっちりでルナタシアの弟である。





問題を起こした子どもたちを尋問しようと牢屋に来た国王たちは、反省をしてない自分の息子や子どもたちに呆れ、、、
ルナタシアを逃がした処罰として結界の魔力維持を行わせることにした。

「父上なぜですか?あの女は何も出来ないクズです。」

「お前は···私は何度も言ったはずだぞ。ルナタシアのお陰でこの国が助かっている話を···誰に唆されたのだ?そこの女どもか?」
ハァ~と国王はため息を付き「お前達は取り返しのつかないことをした。幸いお前達がいなくなっても私達がまた新しい子供を作ればどうにかなる。自分達で責任を取れ。」



「父上、待って、話を、」····ギャアギャア騒ぐ王太子達の言葉を無視して大人たちは牢屋を出た。


それから数日間魔力を取られ続けた子どもたちは一気に老けた。 それでも魔力提供を続けさせられ、1人また1人と倒れていった。





子供達の魔力だけでは足りず、平民や孤児達から強制的に魔力徴収し、王都の民達が減っていた。
その間半年過ぎてもルナタシアは見つからなかった。

気付いたときには全てが手遅れとなっていた。
騎士達がルナタシアを探すために減っていたことや、結界頼りによる力不足などが影響して、結界のほころびから魔物が侵入し、国土の半数を失った。
再起不能となったセロピアル国は、生き残った貴族達がこぞって他国へ助けを求めたが今までの横暴な態度などから、何処からも助けてもらえず······数年後にはセロピアル国が消えてしまった。

ただいち早く逃げた商人や、王都の異変を感じ取った一部の民達は早めに逃げ出したことで助かった。


ルナタシア(シンジュ)がその事実を知るのは随分先のことである。
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