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そろそろ知りたい祖国の現状

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ルナタシア(シンジュ)が逃げた後のパーティー会場





(王太子視点)

王太子は不思議に思った···
あの女は、なぜあのように走るのが早いのだ?
あいつは誰だ?ルナタシアだったか?
令嬢は走らないと教育係に習ったぞ···どういうことだ?
ルナタシアが消えた方向を見ながらブツブツと呟いていたが、ルナタシアの妹に声をかけられ我に返った。


「殿下、婚約破棄おめでとうございます。私も弟もこれから安心して暮らせます。これも全て殿下のおかげです。」


あぁ~そうだった。やっと婚約破棄できた!

嬉しくてたまらないといった様子でニヤニヤと顔が緩む王太子···
王太子としてはあるまじき姿である。もしここにこれを注意できる者が1人でもいたら、未来が変わっていたのかもしれない。


王太子はニヤニヤとしながら微笑んだ。
これで好きな女と結婚ができる。
今プロポーズしようか?もっとロマンチックにプロポーズしようか。早く抱きしめたい。あの柔らかい素肌に、柔らかな唇···

既に王太子は手を出していたのだ。身体の関係を何度も持っていたのである。





(ルナタシアの妹視点)
何か殿下の顔がニヤついてるけれど、そんなに婚約破棄して私と結婚したかったのかしら?うふふ。
そうよね。あの女より私のほうが断然良いに決まってるわ。


あのような女が姉だなんて許せなかった。私はあの女より1年後に生まれた。私が生まれた時、私の母は「私達の本当の子供」と泣きながら何度も言ったそうだ。生まれて間もなかった私には分からないが、あの女のせいで母は精神的に壊れかけていたと聞いた。それから私は成長して両親から溺愛され、可愛い弟もいて毎日毎日本当に幸せだった。ただそれが突如壊された。両親が誰か知らない者の話で大喧嘩していたからだ。

「どうしてあれなの?どうしてなのよ?」



「王様はあの子を望んでいる。」



「あれは私達の子供ではないわ。なぜ?私達の可愛い娘が婚約者になるはずだわ。」



「あぁ。だが覆すことは出来ない。あれでも私達が優位に立つためには必要な存在だ」



・・・・・



誰のことを言っているの?子供?婚約者?意味が分からない。それから私は度々両親の話を盗み聞きした。すると離れの塔に知らない子供が隔離されているのを知った。

1人で行くのは怖かったため年子の弟を連れてこっそり見に行った。私達の足では近そうに見えて同じ敷地内にも関わらず物凄く遠かった。途中で飽きてしまった弟を無理やり歩かせてやっと着いた。ただ塔は鍵がかかっていたため入ることが出来なかった。「姉さんもう帰ろう?何もないよ」とグッタリ疲れてしまった弟に言われ帰ろうとした時、窓から人影が見えた。「あの女」と呟くと弟も窓に視線を向けてた。太陽に照らされた事でハッキリ姿が見えた。思わず『ギョッ』とした。私達に似ているところが1つもない。頬がこけて目が窪んでいた。弟は隣であまりの怖さで泣きそうになっていた。

いつの間にか女が消えて、弟と無言で屋敷に向かって歩き出した。すると遠くの方から駆け寄ってきた母が泣きながら抱きしめてきた。不思議に思っていると『私達が居なくなった』とメイドに聞いた母が必死に探してくれていたそうだ。

それから母に正直に今まで聞いた話、今日の出来事を話した。

すると母の様子が豹変し、「あれは私達に不幸をもたらす子供だ」と言った。自分達と似ていない姿や、赤子にも関わらず私達の言葉がまるで分かるような態度·····恐怖に怯えた両親や城の者達によってこの家から追い出してあの塔に隔離したそうだ。それにも関わらず今度は王太子殿下と婚約?母は鬼の形相で「私の娘は貴方なのに···許せない」と言った。母はいつもと違って怖かったが母の意見には同意した。もちろん弟もだ。それから私達は姉の悪口をお茶会で言いふらした。

更に学園に入学すると姉がどれだけ酷いやつなのか言いふらした。それによって殿下の婚約者になるのは間違っていると···ただその噂を流すことで馬鹿な行動をする女が数名いた。

自分こそ『婚約者に向いてる』と思っているお花畑の女達···もちろん徹底的に排除した。当たり前でしょ?ふふ

やっと私が念願叶って婚約者になれる!!!と今にも嬉しさが爆発しそうだった。





ただ殿下は心ここにあらず?どうして??
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