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(なんか……周りからの視線が痛い気がするんだけど……)
司がちらりと周りを見ると、何人かの男性がこちらを見ていることがわかった。その視線は自分たちに向けられているような気がするのだ。司は居心地の悪さを感じつつ歩いていると、突然後ろから声をかけられた。
「あれ?栄之助じゃん!」
振り向くと華やかな女の子がいた。ギャル系のメイクを施していて、ネイルもばっちり施してある。耳にはピアスが光っていた。司は思わず身構えてしまったが、栄之助は全く気にしていない様子で返事をした。
「おお!久しぶり」
「なんか今日めっちゃかっこいいじゃん」
女性はそう言うと栄之助の腕に抱きついた。その光景を見て、司は胸がざわつくのを感じた。
(あれ……なんだろう…もやもやする…)
司が戸惑っていると、栄之助が彼女の肩を優しく叩きながら言った。
「悪いな。今日は先約があるんだわ」
「えー?そうなの?」
女性が不服そうに言うが、栄之助は構わず司の手を引くと歩き出した。
「……いいの?あの人……」
「ん?ああ……まぁ、ただの友達だし」
「友達って……」
(なんか……嫌だな……)
その割には距離が近い。多分栄之助と何らかの関係があった女性なのだろう。司の知らない、女友達。そのことが妙に胸をざわつかせた。
「何?嫉妬した?」
「しっ……してない!」
図星を突かれて動揺する司を見て、栄之助はニヤニヤと意地悪く笑う。司はムッとして顔を背けると、そのままずんずんと歩いていった。
「おい、待てよ」
栄之助は慌てて追いかけるが、司は振り返らずに歩き続ける。すると突然腕を掴まれた。
「待てって」
「………」
司は黙り込んでいる。栄之助はため息をつくと、そのまま司を抱き寄せた。そして耳元で囁く。
「悪かったって。機嫌直せよ」
「……別に、怒ってないし」
司はぶっきらぼうに言うと、そのまま顔を背けた。
「…俺が女と仲良くしてんの嫌?」
栄之助の言葉に、司はカッと顔を赤くする。しかし素直に認めるのも癪だったので、あえて違うことを言った。
「べ、別に……なんとも思わないし……」
「ふぅん?」
言い淀む司を他所に、栄之助はニヤニヤと笑っている。嬉しさを隠しきれないといった表情だ。司は悔しそうな表情で栄之助を睨む。
(栄之助、調子に乗ってる…ムカつく…)
同時に、可愛い女の子に声をかけられる栄之助の姿を見て司の心のなかに生まれたモヤモヤはどんどん大きくなっていく。
(考えちゃダメだ…こんなこと…だって…)
栄之助がどこで誰とどんな風に過ごしてきたなんて。まるで。
(僕が栄之助のこと、好きみたいじゃん…)
司の心臓が大きく跳ねた。
(違う違う!そんなことない!ありえないから!)
司は必死に自分に言い聞かせる。しかし一度自覚してしまった感情は、簡単には消えてくれないようで、どんどん膨らんでいくばかりだった。
司がちらりと周りを見ると、何人かの男性がこちらを見ていることがわかった。その視線は自分たちに向けられているような気がするのだ。司は居心地の悪さを感じつつ歩いていると、突然後ろから声をかけられた。
「あれ?栄之助じゃん!」
振り向くと華やかな女の子がいた。ギャル系のメイクを施していて、ネイルもばっちり施してある。耳にはピアスが光っていた。司は思わず身構えてしまったが、栄之助は全く気にしていない様子で返事をした。
「おお!久しぶり」
「なんか今日めっちゃかっこいいじゃん」
女性はそう言うと栄之助の腕に抱きついた。その光景を見て、司は胸がざわつくのを感じた。
(あれ……なんだろう…もやもやする…)
司が戸惑っていると、栄之助が彼女の肩を優しく叩きながら言った。
「悪いな。今日は先約があるんだわ」
「えー?そうなの?」
女性が不服そうに言うが、栄之助は構わず司の手を引くと歩き出した。
「……いいの?あの人……」
「ん?ああ……まぁ、ただの友達だし」
「友達って……」
(なんか……嫌だな……)
その割には距離が近い。多分栄之助と何らかの関係があった女性なのだろう。司の知らない、女友達。そのことが妙に胸をざわつかせた。
「何?嫉妬した?」
「しっ……してない!」
図星を突かれて動揺する司を見て、栄之助はニヤニヤと意地悪く笑う。司はムッとして顔を背けると、そのままずんずんと歩いていった。
「おい、待てよ」
栄之助は慌てて追いかけるが、司は振り返らずに歩き続ける。すると突然腕を掴まれた。
「待てって」
「………」
司は黙り込んでいる。栄之助はため息をつくと、そのまま司を抱き寄せた。そして耳元で囁く。
「悪かったって。機嫌直せよ」
「……別に、怒ってないし」
司はぶっきらぼうに言うと、そのまま顔を背けた。
「…俺が女と仲良くしてんの嫌?」
栄之助の言葉に、司はカッと顔を赤くする。しかし素直に認めるのも癪だったので、あえて違うことを言った。
「べ、別に……なんとも思わないし……」
「ふぅん?」
言い淀む司を他所に、栄之助はニヤニヤと笑っている。嬉しさを隠しきれないといった表情だ。司は悔しそうな表情で栄之助を睨む。
(栄之助、調子に乗ってる…ムカつく…)
同時に、可愛い女の子に声をかけられる栄之助の姿を見て司の心のなかに生まれたモヤモヤはどんどん大きくなっていく。
(考えちゃダメだ…こんなこと…だって…)
栄之助がどこで誰とどんな風に過ごしてきたなんて。まるで。
(僕が栄之助のこと、好きみたいじゃん…)
司の心臓が大きく跳ねた。
(違う違う!そんなことない!ありえないから!)
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