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「おはよ」
「お、おはよう……」
翌朝、クラスの様子がおかしい。みんな自分と栄之助をチラチラ見ては、何やらひそひそ話をしている。司は嫌な予感を感じつつも、恐る恐る栄之助に尋ねた。
「あのさ、なんか僕の噂してる?」
「ん?ああ……お前が俺とヤッたって話が広まってる」
栄之助はニヤリと笑って答えた。司は絶句する。
(なんで……?だって昨日は誰にも見られてないはずじゃ……)
「まあ俺としては好都合だけどな」
栄之助はそう言うと司の耳元に口を近づけた。そして小声で囁くように言う。
「これでお前に近づく奴いなくなっただろ?」
「…っ!何言って…!」
2人の空気が変わったことにまた周囲がざわつく。司は頰を赤らめながらも栄之助を睨みつけた。しかし彼は楽しげに笑っているだけで、全く反省する気配がない。
「冗談だよ」
「お前ほんと性格悪い……」
「ははっ、今更だろ?」
栄之助は楽しそうに笑うと、席に戻る。その後ろ姿を睨んでいると、クラスメイトがやってくる。
「な、なあ…司、大丈夫だった?」
「みんな心配してたんだぜ?全然返信来ねぇし」
「翌日2人して休んでるしさ、やべーことになってんじゃないかって」
「へ……?」
司は間抜けな声を上げた。確かに、みんなからすれば制服盗まれて盗んだ相手の家まで取りに行って、それから丸2日も連絡なかったら、何かあったか勘繰られる。まさかその日の晩は泊まりでセックスし、翌日は映画館だのラブホだのショッピングデートしてたなんて言えっこない。
『なぁ、もう1回だけシようぜ?』
『ん……しょうがないなぁ……』
甘ったるい空気を思い出すだけで顔が赤くなる。
(やべーこと…た、確かに…まさか勢いでセックスしちゃったとか…しかも僕女の子の服着せられて…いや、流石にこれは言えない……)
「あ、あのさ!うん、大丈夫だったよ!」
司は慌てて取り繕った。しかしクラスメイト達はまだ不安そうだ。
「ほ、ほんとに?」
「なんかあったら相談しろよ?」
(えぇ……心配してくれんのは嬉しいけどさぁ……)
司は困ったように笑いながら答えた。言えっこない。絶対絶対言えない。
(栄之助とセックスして…女装して買い物行って映画館でエッチなことして、ホテルに泊まって普通に昨日もお家に泊まったなんて……口が裂けても言えない)
ちなみに家には普通に泊まると連絡してはいる。詳細は言えないけど。
「ほ、ほんとだよ!別に何もなかったから!」
司は冷や汗をかきながら笑った。しかしクラスメイト達はまだ安心できない様子で司を見つめている。
「栄之助、昨日なんで休んだんだよ?」
「あぁ?別にいいだろ」
栄之助は鬱陶しそうに答えると、スマホをいじり始めた。司はホッと息をつく。
「はぁ……よかった……」
(ほんと、栄之助のセフレ呼ばわりされるなんて無理過ぎ)
司は苦笑しながら、クラスメイト達と談笑し始める。セフレどころか本カノだと栄之助が本気にしていることなど、知る由もなかった。
「お、おはよう……」
翌朝、クラスの様子がおかしい。みんな自分と栄之助をチラチラ見ては、何やらひそひそ話をしている。司は嫌な予感を感じつつも、恐る恐る栄之助に尋ねた。
「あのさ、なんか僕の噂してる?」
「ん?ああ……お前が俺とヤッたって話が広まってる」
栄之助はニヤリと笑って答えた。司は絶句する。
(なんで……?だって昨日は誰にも見られてないはずじゃ……)
「まあ俺としては好都合だけどな」
栄之助はそう言うと司の耳元に口を近づけた。そして小声で囁くように言う。
「これでお前に近づく奴いなくなっただろ?」
「…っ!何言って…!」
2人の空気が変わったことにまた周囲がざわつく。司は頰を赤らめながらも栄之助を睨みつけた。しかし彼は楽しげに笑っているだけで、全く反省する気配がない。
「冗談だよ」
「お前ほんと性格悪い……」
「ははっ、今更だろ?」
栄之助は楽しそうに笑うと、席に戻る。その後ろ姿を睨んでいると、クラスメイトがやってくる。
「な、なあ…司、大丈夫だった?」
「みんな心配してたんだぜ?全然返信来ねぇし」
「翌日2人して休んでるしさ、やべーことになってんじゃないかって」
「へ……?」
司は間抜けな声を上げた。確かに、みんなからすれば制服盗まれて盗んだ相手の家まで取りに行って、それから丸2日も連絡なかったら、何かあったか勘繰られる。まさかその日の晩は泊まりでセックスし、翌日は映画館だのラブホだのショッピングデートしてたなんて言えっこない。
『なぁ、もう1回だけシようぜ?』
『ん……しょうがないなぁ……』
甘ったるい空気を思い出すだけで顔が赤くなる。
(やべーこと…た、確かに…まさか勢いでセックスしちゃったとか…しかも僕女の子の服着せられて…いや、流石にこれは言えない……)
「あ、あのさ!うん、大丈夫だったよ!」
司は慌てて取り繕った。しかしクラスメイト達はまだ不安そうだ。
「ほ、ほんとに?」
「なんかあったら相談しろよ?」
(えぇ……心配してくれんのは嬉しいけどさぁ……)
司は困ったように笑いながら答えた。言えっこない。絶対絶対言えない。
(栄之助とセックスして…女装して買い物行って映画館でエッチなことして、ホテルに泊まって普通に昨日もお家に泊まったなんて……口が裂けても言えない)
ちなみに家には普通に泊まると連絡してはいる。詳細は言えないけど。
「ほ、ほんとだよ!別に何もなかったから!」
司は冷や汗をかきながら笑った。しかしクラスメイト達はまだ安心できない様子で司を見つめている。
「栄之助、昨日なんで休んだんだよ?」
「あぁ?別にいいだろ」
栄之助は鬱陶しそうに答えると、スマホをいじり始めた。司はホッと息をつく。
「はぁ……よかった……」
(ほんと、栄之助のセフレ呼ばわりされるなんて無理過ぎ)
司は苦笑しながら、クラスメイト達と談笑し始める。セフレどころか本カノだと栄之助が本気にしていることなど、知る由もなかった。
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