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2章 臨時冒険者登録試験
第22話 合気道
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威嚇の声がする右側を向くと、傾斜のある上にコボルトが2匹いた。
戦うのはいいが上を取られたのはマズイ。
やはり索敵スキルは早めに欲しいな、などという雑念を振り払うように手に持っていたレイピアを投げ捨てた。
獣の魔物は例え急所を突いてもすぐには息絶えず襲ってくるという。
四肢を切り裂ける武器にチェンジだ。
森に入る前に帯刀していたワイバーンソードを引き抜く。STRの低い俺ではやや重いが問題はない、やってやる。
2匹が時間差で高さを利用して飛びかかってくる。牙に怯むがなんとか一匹めの噛みつきを躱しざまに前足二本を斬りつけた。
剣術の心得はないので折るくらいの気持ちで叩きつけるが、何と二本とも大した手応えもなく斬り落とした。
なんつー切れ味だよ。流石Bランク武器だ、Eランクの魔物を寄せ付けない。
しかし、一匹目の体の後ろからきた二匹目の噛みつきは剣を振り降ろした大勢では躱せなかった。
逆から振り上げようとした剣も当然間に合わず、根本の左手の篭手の部分を噛みつかれた。
「つっっっ、、!」
丈夫な篭手で貫かれてはいないようだが圧力で痛み剣を落とす。
幸い、一匹目は前足を斬られジタバタともがいているだけなので目の前のコボルトに集中する。
体格は俺のが上だが力は向こうが上だ。このまま押し切られてはマズイと思った刹那、身につけていた技が体を勝手に動かす。
ドスンッ
地面に背中から叩きつけられ、それでも篭手を離さないコボルト。
だがそのまま腕で体重を掛け抑えつつ、落とした剣を右手で拾い腹を掻っ捌く。
それでも十秒ちかく牙が離れなかったがそこで完全に息絶えたので剣を置き、右手で顎を外した。
それからまた剣を拾い、立ち上がるとまだ息のある一匹目のコボルトに近づき、止めを刺した。
残酷だが仕方ない。こうして俺の初戦闘と呼べるものは終わったのだった。
「ふーっ、痛みは少しあるが大丈夫だな。いい装備を貰って良かった。」
小盾も受け取ったがまだ片手で剣を振れないので袋にしまったままだが、やはり守りは重要だな。今回は篭手で間に合う相手で助かった。
しかし、何より驚いたのが咄嗟にでた「合気道」の『小手返し』だ。
流石に魔物にダメージは与えられないが、元を辿れば戦場の乱戦想定の武術が発祥だ。複数の敵になると有効な場合もある。
しかし、前世の門下生だった俺なら獣に噛みつかれて冷静に技をかけれた自信はない。
「スキル」となり勝手に動きに補正がかかるようになったこの世界で真価を発揮していた。
lvもこちらにきてから3まで上げたし、師範代超えたかなこれは。
息が整うと体の変化に気づく、レベルアップだ。
しかし、ステータスを確認する気にもなれない。
それほど初戦闘の緊張、興奮そして精神の疲弊があったのだ。
幸い、篭手を外して確認しても骨は無事のようだ。ポーションを飲み、体力を回復させると今日はここまでだ、とレイピアを拾い上げ、帰ることにした。
戦うのはいいが上を取られたのはマズイ。
やはり索敵スキルは早めに欲しいな、などという雑念を振り払うように手に持っていたレイピアを投げ捨てた。
獣の魔物は例え急所を突いてもすぐには息絶えず襲ってくるという。
四肢を切り裂ける武器にチェンジだ。
森に入る前に帯刀していたワイバーンソードを引き抜く。STRの低い俺ではやや重いが問題はない、やってやる。
2匹が時間差で高さを利用して飛びかかってくる。牙に怯むがなんとか一匹めの噛みつきを躱しざまに前足二本を斬りつけた。
剣術の心得はないので折るくらいの気持ちで叩きつけるが、何と二本とも大した手応えもなく斬り落とした。
なんつー切れ味だよ。流石Bランク武器だ、Eランクの魔物を寄せ付けない。
しかし、一匹目の体の後ろからきた二匹目の噛みつきは剣を振り降ろした大勢では躱せなかった。
逆から振り上げようとした剣も当然間に合わず、根本の左手の篭手の部分を噛みつかれた。
「つっっっ、、!」
丈夫な篭手で貫かれてはいないようだが圧力で痛み剣を落とす。
幸い、一匹目は前足を斬られジタバタともがいているだけなので目の前のコボルトに集中する。
体格は俺のが上だが力は向こうが上だ。このまま押し切られてはマズイと思った刹那、身につけていた技が体を勝手に動かす。
ドスンッ
地面に背中から叩きつけられ、それでも篭手を離さないコボルト。
だがそのまま腕で体重を掛け抑えつつ、落とした剣を右手で拾い腹を掻っ捌く。
それでも十秒ちかく牙が離れなかったがそこで完全に息絶えたので剣を置き、右手で顎を外した。
それからまた剣を拾い、立ち上がるとまだ息のある一匹目のコボルトに近づき、止めを刺した。
残酷だが仕方ない。こうして俺の初戦闘と呼べるものは終わったのだった。
「ふーっ、痛みは少しあるが大丈夫だな。いい装備を貰って良かった。」
小盾も受け取ったがまだ片手で剣を振れないので袋にしまったままだが、やはり守りは重要だな。今回は篭手で間に合う相手で助かった。
しかし、何より驚いたのが咄嗟にでた「合気道」の『小手返し』だ。
流石に魔物にダメージは与えられないが、元を辿れば戦場の乱戦想定の武術が発祥だ。複数の敵になると有効な場合もある。
しかし、前世の門下生だった俺なら獣に噛みつかれて冷静に技をかけれた自信はない。
「スキル」となり勝手に動きに補正がかかるようになったこの世界で真価を発揮していた。
lvもこちらにきてから3まで上げたし、師範代超えたかなこれは。
息が整うと体の変化に気づく、レベルアップだ。
しかし、ステータスを確認する気にもなれない。
それほど初戦闘の緊張、興奮そして精神の疲弊があったのだ。
幸い、篭手を外して確認しても骨は無事のようだ。ポーションを飲み、体力を回復させると今日はここまでだ、とレイピアを拾い上げ、帰ることにした。
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