10 / 45
第一章 虹色の瞳
第十話 合わせた手の平と一人ぼっちのわたし
しおりを挟む
体は重いし、一歩足を出すたびに頭に響いた。けれど、お巡りさんが気を遣ってゆっくり歩いているのがわかったので、意識して足を早める。
少年の牧場を通り過ぎて、島のように孤立している森へと入った。道はあるものの、木が生い茂っていてかなり暗い。森の中央にある塔も、広がる枝葉に邪魔されて見上げることができなかった。
森自体は広くないので、塔のふもとにはすぐに着く。わたしは灯台みたいに、地面に直接塔が建っているものだと思っていたけれど、実際には三角屋根の上に生えていた。
三角屋根の建物は、塔と同じような石造りでなかなか大きい。ちょっといい神社の本殿くらいはありそうだ。シンプルな造りで、塔がなければ倉庫とかに見えていたかもしれない。
けれど塔があるだけで、だいぶ印象が違った。
(教会……かな?)
それならば、塔の上に把手のようについている輪っかも、十字架のようなシンボリックなものなのだろうと納得がいく。
大きな木の扉から中に入ると、それは確信に変わった。
長椅子が左右に葉脈のように並んでいて、天井近くの丸い天窓が、正面からそれを照らしている。奥にはオベリスクのような柱があり、天窓の中央あたりまで伸びていた。三面鏡に似た祭壇が、その柱を支えている。
人は誰もいない。
誰かに会いに来たわけではないのだろうか。
(あの箱……)
長方形のベンチにも見える箱が、祭壇に置かれている。人が寝て入るのにちょうどいい大きさだ。それが何なのかは、なんとなくわかった。
(置かれてる場所が場所だし、棺だよね)
近寄ると右端の部分が正方形に開いていて、そこから女の子の顔がのぞけた。
眠るような穏やかな表情で、目はしっかりと閉じられている。殺された状態のまま棺に入れられたのか、首には湿布が貼られたままだ。胸元は隠れているので、ナイフが刺さっているかはわからない。
(さすがに刺しっぱなしにはしないよね。数少ない証拠だし)
女の子を眺めるわたしの横で、お巡りさんは跪いた。両手を開いて頭に載せて、深く礼をしている。これがこの世界でのお祈りの方法なのだろう。ただわたしには、この世界の神に祈る義理はない。
(わたしは女の子のために祈る)
手の平を合わせて黙祷する。神社スタイルだ。
(犯人は絶対に見つけるから)
そっと心に誓う。それが終わると、お巡りさんは入り口の方に向かい出した。わたしとしては、女の子の遺体も調べてみた方がいいと思うのだけれど、この状況で勝手に調べるわけにもいかない。
(仕方ないか)
教会の外に出ると、日が傾き始めていた。おそらく時刻的には十六時くらいだろう。日が暮れるまではまだ時間がある。
けれど、お巡りさんが次に向かったのは交番だった。
(忘れ物でもしたのかな?)
そう思ったものの、交番は狭くて物なんて何も置いていない。お巡りさんは一つだけある椅子を引いて、座面を叩いた。
(座れってことかな?)
恐る恐る腰を下ろすと、お巡りさんはうなずいた。間違っていないとわかって力が抜けると、足が一気に楽になる。
だるさが一気に押し寄せてきて、近くの机に体を預けたい欲求にかられた。
お巡りさんは手のひらをわたしに向けて何か言うと、こっちを見たまま交番の外に出て行った。
(トイレかな?)
欲求に負けて机に体を突っ伏した。吐き出した息と一緒に、疲れが抜けていく。
右手を開くと変わらずに黒い花があった。疲れて頭が回っていないのか、特に感想は浮かんでこない。ただなんとなく、目が離せなくて、眺め続けた。
それも長くは続かない。気がついたら目を閉じていたのだ。このまま待っていたら、間違いなく寝てしまう。
意識して目を開いた。お巡りさんはまだ戻ってこない。
(一人で聞き込みにでも行ったのかな?)
わたしがいたら警戒する人もいるだろうし、言葉のわからないわたしを同行させる意味もない。わたしだって、知らない人には極力会いたくない。
けれど、ちょっと無理してついてきたのだ。置いていかれるとさすがにへこむ。
(お巡りさんからしたら、わたしが捜査の手伝いをしているって感覚はないのかな? 『犯人を見つけよう』って言ったのだって伝わってないんだろうし)
一人で何かできることはないかと考えてみたけれど、何も思いつかなかった。事件を整理しようにも、わかっているのは小屋が完全に密室だったということと、怪しい足跡などの痕跡はなかったということだけだ。
(あ、女の子が小屋の外で殺されたってこともわかってるか)
問題はどこで殺されたかだ。それがわかれば、犯人に近づける気がする。
(一人で集落の中を歩いてみる? でも家の中とかにはさすがに入れないし、わたしを犯人だと思ってる人と会ったら、危ない目にあうかもしれない。犯人に直接襲われる可能性もあるし)
そんなことを考えていたら、交番に一人でいるのも怖くなってきた。もともとトイレか何かだと思っていたから、待っていようと思えたのだ。
「ほんと……どこに行ったの?」
「――――」
無いと思っていた返事に心臓が飛び跳ねた。声の先にはお巡りさんがいる。
「え? な、なに……?」
探していた相手が見つかったというのに、そんな反応しかできなかった。
お巡りさんの手にはお盆が握られていて、その上にはコップが二つと紙の包みが二つ載っている。あと腕には毛布のようなものがかかっていた。
お巡りさんは何か言いながらお盆を机の上に置くと、コップと包みを一つ、わたしの前に移動させる。
コップに入っていたのはただの水だったけれど、一日歩き回ったわたしにとっては高いジュースよりもうれしかった。今ならペットボトルの水に、高いお金を出す人の気持ちがわかる気がする。
紙の包みのほうはハンバーガーが――
(いや、挟まっているのがハンバーグじゃなかったらハンバーガーじゃないのかな?)
パンに挟まっていたのは、ステーキのような肉の塊だった。一センチほどの厚みがあって、食べ応えがありそうだったけれど、黒くなるまで焼かれていてとても堅そうだ。
丸みがあって一見柔らかそうなパンも、持ってみると古いフランスパンのように堅い。
(野菜はどこにいった……)
外には畑がたくさんあるというのに、今日はパンと肉しか食べていない。男の食事というのはこんなものなのだろうか。
そこまでヘルシー志向でないわたしからしても、少し重い。それでも一日歩きまわった私のお腹は、ぐるぐるとうなり声を上げる。
「いただきます……」
ハンバーガーもどきにかぶりついて、口を離すまで三十秒くらいかかった。あごがだるくなるくらいまで噛み締めて、やっと食いちぎれたのだ。
そこから飲み込むのも大変だった。噛もうとしても、パンのもっちりした固さと、肉の筋張った固さが歯を押し返してくる。卓球のラケットをふやかして食べているんじゃないかと思ったくらいだ。
食感がこれなのだから、せめて味だけでもと舌に神経を集中させるも、塩味も肉の旨味もパンの甘さも皆無に等しい。
ただあごがだるくなるだけの、トレーニングをしている気分だ。
(少年のホットドッグは、もっとおいしかったはず。お巡りさんは料理が下手なだけなんだ)
これがこの世界の料理の水準でないことを、祈るばかりだ。
こんな食事なのにお巡りさんはあっという間に食べきり、毛布を椅子の背もたれに引っ掛けて牢屋を指さした。わたしは二口目をなんとか飲み込む。
(ここで寝ろってこと?)
手で作った枕に頭をのせるような仕草をすると、お巡りさんは大きくうなずいた。そして手を振り、おやすみの挨拶であろう一言を口にして去っていった。
「うぶ……」
三口目に取り掛かっていた私は、力いっぱい噛み切ってから交番の外に出る。お巡りさんは、走れば十秒くらいでつきそうな小屋に入るところだった。
交番二つ分くらいの狭い小屋だったので、すぐに出てくるだろう。そう思ってじっと眺めていたけれど、出てくる気配はない。
口の中のものは、とっくに飲み込んでいた。
(もしかして、あそこってお巡りさんの家なのかな?)
あそこで水とハンバーガーもどきを用意して持ってきたのなら、時間的にもぴったりだ。寝る場所を指定して去っていったのも、帰宅するつもりなら納得がいく。
(でもちょっと早くない?)
いつでも虹に囲まれている太陽は、だいぶ傾いていた。それでも森に沈むまでは、まだ時間がありそうだ。
スマホを見てみると、十七時になるところだった。この時間がこの世界において、どれほど正確なのかはわからないけれど、感覚的には正しい気がする。日没まであと一時間はあるということだ。
(まだ寝るのは早いよね)
だからといって、一人で交番の中にいても仕方がない。
(少し調べに行ってみようかな。でも集落の中を調べるのは危なそうだし……)
こうなると行ける場所は一つしかない。涼しくなり始めているのを感じたわたしは、毛布を手に取って、ハンバーガーもどきをかじりながら交番を後にした。
少年の牧場を通り過ぎて、島のように孤立している森へと入った。道はあるものの、木が生い茂っていてかなり暗い。森の中央にある塔も、広がる枝葉に邪魔されて見上げることができなかった。
森自体は広くないので、塔のふもとにはすぐに着く。わたしは灯台みたいに、地面に直接塔が建っているものだと思っていたけれど、実際には三角屋根の上に生えていた。
三角屋根の建物は、塔と同じような石造りでなかなか大きい。ちょっといい神社の本殿くらいはありそうだ。シンプルな造りで、塔がなければ倉庫とかに見えていたかもしれない。
けれど塔があるだけで、だいぶ印象が違った。
(教会……かな?)
それならば、塔の上に把手のようについている輪っかも、十字架のようなシンボリックなものなのだろうと納得がいく。
大きな木の扉から中に入ると、それは確信に変わった。
長椅子が左右に葉脈のように並んでいて、天井近くの丸い天窓が、正面からそれを照らしている。奥にはオベリスクのような柱があり、天窓の中央あたりまで伸びていた。三面鏡に似た祭壇が、その柱を支えている。
人は誰もいない。
誰かに会いに来たわけではないのだろうか。
(あの箱……)
長方形のベンチにも見える箱が、祭壇に置かれている。人が寝て入るのにちょうどいい大きさだ。それが何なのかは、なんとなくわかった。
(置かれてる場所が場所だし、棺だよね)
近寄ると右端の部分が正方形に開いていて、そこから女の子の顔がのぞけた。
眠るような穏やかな表情で、目はしっかりと閉じられている。殺された状態のまま棺に入れられたのか、首には湿布が貼られたままだ。胸元は隠れているので、ナイフが刺さっているかはわからない。
(さすがに刺しっぱなしにはしないよね。数少ない証拠だし)
女の子を眺めるわたしの横で、お巡りさんは跪いた。両手を開いて頭に載せて、深く礼をしている。これがこの世界でのお祈りの方法なのだろう。ただわたしには、この世界の神に祈る義理はない。
(わたしは女の子のために祈る)
手の平を合わせて黙祷する。神社スタイルだ。
(犯人は絶対に見つけるから)
そっと心に誓う。それが終わると、お巡りさんは入り口の方に向かい出した。わたしとしては、女の子の遺体も調べてみた方がいいと思うのだけれど、この状況で勝手に調べるわけにもいかない。
(仕方ないか)
教会の外に出ると、日が傾き始めていた。おそらく時刻的には十六時くらいだろう。日が暮れるまではまだ時間がある。
けれど、お巡りさんが次に向かったのは交番だった。
(忘れ物でもしたのかな?)
そう思ったものの、交番は狭くて物なんて何も置いていない。お巡りさんは一つだけある椅子を引いて、座面を叩いた。
(座れってことかな?)
恐る恐る腰を下ろすと、お巡りさんはうなずいた。間違っていないとわかって力が抜けると、足が一気に楽になる。
だるさが一気に押し寄せてきて、近くの机に体を預けたい欲求にかられた。
お巡りさんは手のひらをわたしに向けて何か言うと、こっちを見たまま交番の外に出て行った。
(トイレかな?)
欲求に負けて机に体を突っ伏した。吐き出した息と一緒に、疲れが抜けていく。
右手を開くと変わらずに黒い花があった。疲れて頭が回っていないのか、特に感想は浮かんでこない。ただなんとなく、目が離せなくて、眺め続けた。
それも長くは続かない。気がついたら目を閉じていたのだ。このまま待っていたら、間違いなく寝てしまう。
意識して目を開いた。お巡りさんはまだ戻ってこない。
(一人で聞き込みにでも行ったのかな?)
わたしがいたら警戒する人もいるだろうし、言葉のわからないわたしを同行させる意味もない。わたしだって、知らない人には極力会いたくない。
けれど、ちょっと無理してついてきたのだ。置いていかれるとさすがにへこむ。
(お巡りさんからしたら、わたしが捜査の手伝いをしているって感覚はないのかな? 『犯人を見つけよう』って言ったのだって伝わってないんだろうし)
一人で何かできることはないかと考えてみたけれど、何も思いつかなかった。事件を整理しようにも、わかっているのは小屋が完全に密室だったということと、怪しい足跡などの痕跡はなかったということだけだ。
(あ、女の子が小屋の外で殺されたってこともわかってるか)
問題はどこで殺されたかだ。それがわかれば、犯人に近づける気がする。
(一人で集落の中を歩いてみる? でも家の中とかにはさすがに入れないし、わたしを犯人だと思ってる人と会ったら、危ない目にあうかもしれない。犯人に直接襲われる可能性もあるし)
そんなことを考えていたら、交番に一人でいるのも怖くなってきた。もともとトイレか何かだと思っていたから、待っていようと思えたのだ。
「ほんと……どこに行ったの?」
「――――」
無いと思っていた返事に心臓が飛び跳ねた。声の先にはお巡りさんがいる。
「え? な、なに……?」
探していた相手が見つかったというのに、そんな反応しかできなかった。
お巡りさんの手にはお盆が握られていて、その上にはコップが二つと紙の包みが二つ載っている。あと腕には毛布のようなものがかかっていた。
お巡りさんは何か言いながらお盆を机の上に置くと、コップと包みを一つ、わたしの前に移動させる。
コップに入っていたのはただの水だったけれど、一日歩き回ったわたしにとっては高いジュースよりもうれしかった。今ならペットボトルの水に、高いお金を出す人の気持ちがわかる気がする。
紙の包みのほうはハンバーガーが――
(いや、挟まっているのがハンバーグじゃなかったらハンバーガーじゃないのかな?)
パンに挟まっていたのは、ステーキのような肉の塊だった。一センチほどの厚みがあって、食べ応えがありそうだったけれど、黒くなるまで焼かれていてとても堅そうだ。
丸みがあって一見柔らかそうなパンも、持ってみると古いフランスパンのように堅い。
(野菜はどこにいった……)
外には畑がたくさんあるというのに、今日はパンと肉しか食べていない。男の食事というのはこんなものなのだろうか。
そこまでヘルシー志向でないわたしからしても、少し重い。それでも一日歩きまわった私のお腹は、ぐるぐるとうなり声を上げる。
「いただきます……」
ハンバーガーもどきにかぶりついて、口を離すまで三十秒くらいかかった。あごがだるくなるくらいまで噛み締めて、やっと食いちぎれたのだ。
そこから飲み込むのも大変だった。噛もうとしても、パンのもっちりした固さと、肉の筋張った固さが歯を押し返してくる。卓球のラケットをふやかして食べているんじゃないかと思ったくらいだ。
食感がこれなのだから、せめて味だけでもと舌に神経を集中させるも、塩味も肉の旨味もパンの甘さも皆無に等しい。
ただあごがだるくなるだけの、トレーニングをしている気分だ。
(少年のホットドッグは、もっとおいしかったはず。お巡りさんは料理が下手なだけなんだ)
これがこの世界の料理の水準でないことを、祈るばかりだ。
こんな食事なのにお巡りさんはあっという間に食べきり、毛布を椅子の背もたれに引っ掛けて牢屋を指さした。わたしは二口目をなんとか飲み込む。
(ここで寝ろってこと?)
手で作った枕に頭をのせるような仕草をすると、お巡りさんは大きくうなずいた。そして手を振り、おやすみの挨拶であろう一言を口にして去っていった。
「うぶ……」
三口目に取り掛かっていた私は、力いっぱい噛み切ってから交番の外に出る。お巡りさんは、走れば十秒くらいでつきそうな小屋に入るところだった。
交番二つ分くらいの狭い小屋だったので、すぐに出てくるだろう。そう思ってじっと眺めていたけれど、出てくる気配はない。
口の中のものは、とっくに飲み込んでいた。
(もしかして、あそこってお巡りさんの家なのかな?)
あそこで水とハンバーガーもどきを用意して持ってきたのなら、時間的にもぴったりだ。寝る場所を指定して去っていったのも、帰宅するつもりなら納得がいく。
(でもちょっと早くない?)
いつでも虹に囲まれている太陽は、だいぶ傾いていた。それでも森に沈むまでは、まだ時間がありそうだ。
スマホを見てみると、十七時になるところだった。この時間がこの世界において、どれほど正確なのかはわからないけれど、感覚的には正しい気がする。日没まであと一時間はあるということだ。
(まだ寝るのは早いよね)
だからといって、一人で交番の中にいても仕方がない。
(少し調べに行ってみようかな。でも集落の中を調べるのは危なそうだし……)
こうなると行ける場所は一つしかない。涼しくなり始めているのを感じたわたしは、毛布を手に取って、ハンバーガーもどきをかじりながら交番を後にした。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる