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「ん、ぅぅ、」
おしっこ、おしっこ、おしっこ、おしっこおしっこおしっこ。じくじく痛むお腹を濡れそぼったボクサーと冷え切った足が攻撃してきて、きゅんきゅんと出口に押し寄せる。両手の親指の腹でむにむにと出口を揉んで、尿道を無理やり閉じる。でも、先っぽが何度も熱くなって、水ではない液体をまたパンツが吸収して。
「ほらほらいくよー?よーい、どんっ」
急かされるままに手を離した途端に束の間温かな水流が足を伝う。でも、押さえられない手はその液体が溜まっている場所をさすることしかできない。
 出来るだけ、刺激しないように。膀胱に圧がかからないように。ぶるぶる震える足をぴっちりクロスさせて、時々尻を勢いよく突き出して。
「ん゛っ~…!!!!」
あ、やばい。出る。
「っはっ、ぁぁっ、」
右と左に勢いよくステップを踏み、さっきまで触れなかった分を埋めるようにグニグニともみくちゃにソコを握りしめる。
「でるっ、でるぅっ、」
「あーあ、もしここが外のトイレだったら知らない人たちにバレバレだね。小っちゃい子に言われるよ?何で大人なのにおしっこ漏れそうなの?って」
ハズカシイを考えられない。いっぱいいっぱいで、おしっこしたい、それしか考えられない。
「もぉっ、無理っ、おしっこいくっ!!!」
いつも階段を駆け上がる時よりも不恰好な走りでトイレに走る。そうだ、始めから海里の言うこと聞く必要なかったんだ。無理やりにでも行けばよかったんだ。
「っはっ、やっと、おしっこできるっ、」
息を吸うたびに押し寄せる出口を思いっきり吸い上げて、焦がれていたドアノブに手をかける。
「誰が行っていいって言った?」
耳の奥底に響く、低い声。
「ルールは守りな?ほらあと30秒にしてあげるから」
「っや゛っ、まって、でる、でちゃうっ、」
腕を押さえつけられ、前が押さえられない。振り解こうとするたび、じゅわ、じゅわと水気の帯びた音が大きくなる。
「あ゛っ、あ゛ぁぁぁっ、」
おちびりが、おもらしに。少しずつ、少しずつ。
「おもらし、やらぁっ、」
ドアノブの窪みにソレを押し付ける。
ぐにぐにぐにぐに…
「ぁぁぁぁぁぁっ、」
腰を何度も前に突き出して、ビリビリとした刺激を与えまくる。
「っふぁっ、ぁっ、あとぉ、なんびょぉ、」
「15秒」
ぐいっ、ぐいっ、
ノブの突起部分にちょうどいい出口が当たるように。快感と、排泄感がぐっちゃになって、ノブが冷たくて、おしっこが溢れて。もう、むちゃくちゃ。でも、海里は許してくれない。後ろで淡々とカウントダウンをする始末。
「あと10秒」
「はやぐ、はやくぅうぅぅ、」
しょわ…
「~~~っ!!!!」
ぐりっ、ぐりっ、
「8、7、6、5、」
あとすこし。あと少しで白い白い便器に思いっきり。
「4、3、」
いっぱいいっぱいのおしっこを。
「2、1、」
じゅうう、じゅ、じょぁっ
おしっこおしっこおしっこおしっこ。
「ぜーろ。」
ぷじょわぁぁぁっ!!
「っひぃっ、ま、まって!!んんんんっ、」
冷たい金属の上を滑り落ちる液体は湯気を立てながら音を立てながら床に落ちる。
「あぁぁぁっ、ぁぁ…」
ドアノブに乗せられた性器は壊れたホースのようで止まることを知らない。
「ふ、っぅぁ、あ、」
「今外だって想像してみな?大事な会議中、先客のいるトイレ、移動中の電車」
しゅううううう…すっかり膨らみを失った下腹部に変わって、今の状況を処理する脳のスペースが開けられていき、海里の言葉が入ってくる。
「車内で、会社で今みたいにちんこ押さえて我慢するの?お尻フリフリおしっこダンスを踊るの?」
「ぅ、」
「今の状況を目に焼き付けなさい。とっても恥ずかしいことなんだってことを。こういうのは失敗してからじゃ遅いんだからね。分かった?」
「はい…」
自分の水溜りの上で受ける説教ほど恥ずかしいものはない。
今度からは本当にちゃんとこまめにトイレに行こう。

 その日から俺は、会社を出る前に必ずトイレを済ませるようになったのだった。
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