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3(決壊end)
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じゅわり…じゅわり。
手のひらが温まっては冷え、温まっては冷え。水蒸気なのか、汗なのか、それとも。頭はおしっこばかりでうまく動いていない。下の悲惨な状況も怖くて見れない。足を伝っている気さえする。
じゅ…じゅぅ…じゅうぅ…
「んひっ、」
じゅ…じゅぅう…じゅっ、じゅううううっ、
ぴたりと震えが止まった瞬間がわかった。キツくキツく押さえていた手が水圧で緩んだ。
太ももが、膝が、ふくらはぎが温かい。そんで、すぐに冷えてゆく。
気持ちいい。
苦しかったお腹が萎んで、緩んで。きゅうきゅうと膀胱が疼きながらどんどん外に温かいものが排出されていく。頭がとろとろで、ぼーっとして…。
(ぜんぶ…でちゃった…)
靴下が冷たくなって、びちゃびちゃの手がかじかんで、体が震えてはじめて自分のやらかした惨状を目にした。
「…走るか」
スッキリした体はいつもより早く走れている気がする。びっくりするほど頭の中は空っぽで、ぼーっとしている。実感が湧かないだけなのかもしれないけど、夢の中みたいにふわふわとしている。
「あっ帰ってきたー」
「お疲れ様ー」
タイム表を持ったマネージャーが裏門の前で待っている。
(あ…やばい…)
さっきまでは何ともなかったのに。目頭が熱い。
「んー…今日は調子悪かった?」
前回のタイムより相当落ちているらしい。眉を顰めながら言われた言葉に喉が詰まった。
「っ、っ、」
だめだ。声を出そうとしたら、耐えられない。
マネージャーの問いかけは返さないまま、そこを通り過ぎる。
「おい梓!」
地面に座っている先輩の声掛けも無視して逃げるように建物の中に入った。どこに行けばいいのか分からないくせに。替えのパンツもズボンもないのに。
だって俺。高校生だし。こんな失敗普通しないし。
「おい梓っ!!返事ぐらいしろっ!」
内田先輩に急に肩を掴まれる。
「っ、」
「マネージャーはさ、お前が帰ってくるまであの寒いところで待ってたわけ。ありがとうございますの一言くらい言え」
あ、やばい。
「梓、聞いてる?」
だめだ。泣く。
「っ゛~ぅ゛~、…」
「え、なになにどうしたの…って…なんかズボン濡れてるくね?」
お漏らしした?冗談めかした声で言われて喉がひっくり返る。ここでそんなわけないじゃないですかって笑いながら返せば誤魔化せたかもしれない。でも、そんなこと言える余裕はなかった。もう、バレた。ぐしょぐしょのパンツも、ズボンも、靴下も。全部全部気づかれてしまった。
「梓くーん、ごめんごめん、寒かったもんな、言い方間違えた、」
声、出せない。ひたすらに苦しくて、逃げ出したくて仕方がない。
「うっちー、梓も帰ってきたしミーティング…ってなになに、どーしたん」
「っあー、えーっと…」
「何、泣かせたの。後輩いじめちゃダメじゃん」
「っ、ちが、っ゛、~っ゛」
「あー…そういうこと…」
またバレた。やだ。いっぱいの人に知られるの。みんなに知られるの、やだ。
「い゛、わないでっ゛、」
みっともなく泣きじゃくりながら。鼻水も垂れてびしゃびしゃになっている。大きい大きい内田先輩の手が頭の上を往復した。
「ってわけだからさ。ごめん、上手いこと誤魔化しといて」
「ん。わかった。梓~…大丈夫だから。びっくりしたよな。うっちーと一緒にシャワー浴びといで」
「行こ?大丈夫!誰にも言わないから。な?」
ひっでー顔、と鼻を摘まれ手首を掴まれ引っ張られた。
「着替え持ってる?」
そんなの持ってない。今は冬だし、着替えを持ってくるほどじゃないし。だって、こんな失敗するなんて誰が思うんだよ。そんなことを考えてたら、さっきまで止まっていた涙がまた、ポロポロと出てくる。
「あーあー、大丈夫、俺持ってる、ね?貸したげるから」
相当参ってんなー、と先輩は笑っている。
「1人心細かったな。よく帰ってきた。えらい。」
「我慢しんどかったよな。走る前トイレ行かせてやれば良かったよな。ごめんな?」
小さい子供じゃないんだから。そう言い返したかったけど、しゃくりあげてしまって言葉にできなかった。
冬になってあまり使われていないシャワーは水垢が乾いている。
「1人で出来る?」
「できっ、ますよ、」
「ん、えらい。パンツとシャツ、ちょっとホコリ臭いかもだけど我慢な」
「…ありがとうございます」
「ちゃんと温まってから出てこいよ」
床、冷たい。裸になって余計に寒くなったからか、また…。足の先から中心に電気が走るような感覚に陥った。
さっき散々出したのに。漏らしたのに。でも…。
シャワーに隠してすればいいか。冷たい水が指先に触れてまた、お尻が浮き上がる。
(あ…でそ…)
先っぽがあったかくなった瞬間だった。
「あっ、石鹸持ってないよな。俺のやつだけど使いなー」
急にカーテンが開けられた。
「ぁっー…」
でる。出る出る出る出る。
「っ、ぅ、」
冷たい水を前に当てた瞬間、背筋が凍った。さむい。かじかんで、でも水の音で助長されてぴゅう…と出てきてしまう。
「おい、その水つめてーだろ。お湯ちゃんと調節しろ」
いきなりシャワーヘッドを奪われ、温度のつまみを回し始める。
「ぁ、あ…」
先端から足を伝って落ちていく。さっき散々我慢したから、筋肉が全然機能してない。
っちゅいっ、ちゅいいいい…
「…あ…っ、」
「あー、おしっこまだあった?」
あっけらんかんと言われた言葉にまた、顔が熱くなった。
「いーよ。全部だしちゃいな」
咄嗟に押さえた手を外されて、足も開きなと促される。温かいお湯にかじかんだ足がほぐれていく。そんで、もはや止めることも不可能で、シャワーよりも強い水圧の水流が見えてまた、恥ずかしくなった。
「終わり?」
「…っはい…」
「これ石鹸。ちゃんとあったまってこいよ」
お漏らしに、先輩の前でおしっこを見られて。今日はつくづくツイてない。
その日は先輩とミーティングにも出ずにコンビニに行った。肉まんと、から揚げを買ってもらってふたりで食べた。
それからの日々は前とはさほど変わらない。一つ変わったことといえば。
「俺トイレ行くけど梓も行く?」
内田先輩に頻繁にトイレに誘われるようになったこと。恥ずかしいと思いつつ、腹の中に溜まっているのを自覚して、結局一緒に向かうのだった。
手のひらが温まっては冷え、温まっては冷え。水蒸気なのか、汗なのか、それとも。頭はおしっこばかりでうまく動いていない。下の悲惨な状況も怖くて見れない。足を伝っている気さえする。
じゅ…じゅぅ…じゅうぅ…
「んひっ、」
じゅ…じゅぅう…じゅっ、じゅううううっ、
ぴたりと震えが止まった瞬間がわかった。キツくキツく押さえていた手が水圧で緩んだ。
太ももが、膝が、ふくらはぎが温かい。そんで、すぐに冷えてゆく。
気持ちいい。
苦しかったお腹が萎んで、緩んで。きゅうきゅうと膀胱が疼きながらどんどん外に温かいものが排出されていく。頭がとろとろで、ぼーっとして…。
(ぜんぶ…でちゃった…)
靴下が冷たくなって、びちゃびちゃの手がかじかんで、体が震えてはじめて自分のやらかした惨状を目にした。
「…走るか」
スッキリした体はいつもより早く走れている気がする。びっくりするほど頭の中は空っぽで、ぼーっとしている。実感が湧かないだけなのかもしれないけど、夢の中みたいにふわふわとしている。
「あっ帰ってきたー」
「お疲れ様ー」
タイム表を持ったマネージャーが裏門の前で待っている。
(あ…やばい…)
さっきまでは何ともなかったのに。目頭が熱い。
「んー…今日は調子悪かった?」
前回のタイムより相当落ちているらしい。眉を顰めながら言われた言葉に喉が詰まった。
「っ、っ、」
だめだ。声を出そうとしたら、耐えられない。
マネージャーの問いかけは返さないまま、そこを通り過ぎる。
「おい梓!」
地面に座っている先輩の声掛けも無視して逃げるように建物の中に入った。どこに行けばいいのか分からないくせに。替えのパンツもズボンもないのに。
だって俺。高校生だし。こんな失敗普通しないし。
「おい梓っ!!返事ぐらいしろっ!」
内田先輩に急に肩を掴まれる。
「っ、」
「マネージャーはさ、お前が帰ってくるまであの寒いところで待ってたわけ。ありがとうございますの一言くらい言え」
あ、やばい。
「梓、聞いてる?」
だめだ。泣く。
「っ゛~ぅ゛~、…」
「え、なになにどうしたの…って…なんかズボン濡れてるくね?」
お漏らしした?冗談めかした声で言われて喉がひっくり返る。ここでそんなわけないじゃないですかって笑いながら返せば誤魔化せたかもしれない。でも、そんなこと言える余裕はなかった。もう、バレた。ぐしょぐしょのパンツも、ズボンも、靴下も。全部全部気づかれてしまった。
「梓くーん、ごめんごめん、寒かったもんな、言い方間違えた、」
声、出せない。ひたすらに苦しくて、逃げ出したくて仕方がない。
「うっちー、梓も帰ってきたしミーティング…ってなになに、どーしたん」
「っあー、えーっと…」
「何、泣かせたの。後輩いじめちゃダメじゃん」
「っ、ちが、っ゛、~っ゛」
「あー…そういうこと…」
またバレた。やだ。いっぱいの人に知られるの。みんなに知られるの、やだ。
「い゛、わないでっ゛、」
みっともなく泣きじゃくりながら。鼻水も垂れてびしゃびしゃになっている。大きい大きい内田先輩の手が頭の上を往復した。
「ってわけだからさ。ごめん、上手いこと誤魔化しといて」
「ん。わかった。梓~…大丈夫だから。びっくりしたよな。うっちーと一緒にシャワー浴びといで」
「行こ?大丈夫!誰にも言わないから。な?」
ひっでー顔、と鼻を摘まれ手首を掴まれ引っ張られた。
「着替え持ってる?」
そんなの持ってない。今は冬だし、着替えを持ってくるほどじゃないし。だって、こんな失敗するなんて誰が思うんだよ。そんなことを考えてたら、さっきまで止まっていた涙がまた、ポロポロと出てくる。
「あーあー、大丈夫、俺持ってる、ね?貸したげるから」
相当参ってんなー、と先輩は笑っている。
「1人心細かったな。よく帰ってきた。えらい。」
「我慢しんどかったよな。走る前トイレ行かせてやれば良かったよな。ごめんな?」
小さい子供じゃないんだから。そう言い返したかったけど、しゃくりあげてしまって言葉にできなかった。
冬になってあまり使われていないシャワーは水垢が乾いている。
「1人で出来る?」
「できっ、ますよ、」
「ん、えらい。パンツとシャツ、ちょっとホコリ臭いかもだけど我慢な」
「…ありがとうございます」
「ちゃんと温まってから出てこいよ」
床、冷たい。裸になって余計に寒くなったからか、また…。足の先から中心に電気が走るような感覚に陥った。
さっき散々出したのに。漏らしたのに。でも…。
シャワーに隠してすればいいか。冷たい水が指先に触れてまた、お尻が浮き上がる。
(あ…でそ…)
先っぽがあったかくなった瞬間だった。
「あっ、石鹸持ってないよな。俺のやつだけど使いなー」
急にカーテンが開けられた。
「ぁっー…」
でる。出る出る出る出る。
「っ、ぅ、」
冷たい水を前に当てた瞬間、背筋が凍った。さむい。かじかんで、でも水の音で助長されてぴゅう…と出てきてしまう。
「おい、その水つめてーだろ。お湯ちゃんと調節しろ」
いきなりシャワーヘッドを奪われ、温度のつまみを回し始める。
「ぁ、あ…」
先端から足を伝って落ちていく。さっき散々我慢したから、筋肉が全然機能してない。
っちゅいっ、ちゅいいいい…
「…あ…っ、」
「あー、おしっこまだあった?」
あっけらんかんと言われた言葉にまた、顔が熱くなった。
「いーよ。全部だしちゃいな」
咄嗟に押さえた手を外されて、足も開きなと促される。温かいお湯にかじかんだ足がほぐれていく。そんで、もはや止めることも不可能で、シャワーよりも強い水圧の水流が見えてまた、恥ずかしくなった。
「終わり?」
「…っはい…」
「これ石鹸。ちゃんとあったまってこいよ」
お漏らしに、先輩の前でおしっこを見られて。今日はつくづくツイてない。
その日は先輩とミーティングにも出ずにコンビニに行った。肉まんと、から揚げを買ってもらってふたりで食べた。
それからの日々は前とはさほど変わらない。一つ変わったことといえば。
「俺トイレ行くけど梓も行く?」
内田先輩に頻繁にトイレに誘われるようになったこと。恥ずかしいと思いつつ、腹の中に溜まっているのを自覚して、結局一緒に向かうのだった。
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