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第五章

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 ズン、と意識した瞬間、下腹が重い。そういえば、体がしんどくて休み時間はずっと寝ていた。朝家を出てからトイレに行ったのは吐いた時だけ。その時も用を足していないから、実質9時間分だ。さっき飲み直した水分が、ゆっくりと降りてきているのだろう。背中が冷える。
 俺の家まではきっと1時間もかからない。普通なら我慢できる距離。
(でも…)
凄いスピードで張り詰めていく膀胱。それに、
「時田モジモジしてるのを見ると、興奮するようになっちゃってさ。そんな趣味はなかったのに」
あいつもこんな気持ちだったのかな、そんな余計なことを考えてしまい、具体的なトイレ風景を思い出してしまう。
(どこかに寄って…いやいや)
そんなこと、死んでも言いたくない。それに、今は高速道路の中。どう足掻いてもその願いは叶わない。
「その話、やめろ…」
「ん?」
「気分悪くなるんだよ」
「ふーん…」
「っひぁっ」
突如触れられた下腹。変な声を出してしまう。
「おしっこ行きたくなっちゃった?」
耳元にぞわりとまとわりつく、低い声。
「ちげえし!」
「あっそ、車汚すなよ。お前に漏らされたところで迷惑なだけだから」
「誰が漏らすかよ!」
「どーかなー。まあ、信用出来ねえから撒き散らす前にここにしろ」
目の前に置かれたペットボトル。こいつ、なんで持ってるんだよ、ヒュッと息が詰まる。こんなところでするわけがないけれど、体がキュンと疼く。
 結構、ヤバいかもしれない。






「しっかしちんこ押さえる姿って何で高校生になったら色気が増すんだろうな」


「腰なのか?時田は腰ガクガクさせてたぞ。」


「前に後ろに。まあ結局漏らしたんだけど。服着たまま。パンツもズボンもシッコまみれにして。どうした?そんなに息荒くして。酔ったか?」

少し開いていた足はぴっちり閉じて、背中を丸める。行き場のない手はズボンをぎゅっと握りしめる始末。
(っ…といれといれといれぇ…)
奴の話が聞きたくなくても頭に入ってくる。
あと、何分くらいだろう。スマホを見ても、20分しか経ってない。おまけに少し渋滞気味。いつまでなのか、終わりが分からない。
「我慢したあとの勢いってすごいんだぞ。ぷしゃあああああっ、て」

じゅ…




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