上 下
13 / 51
第二章

4

しおりを挟む
「ちょ、まって、」
「うるせえ、早く行くぞ。限界近いだろ」
さっきまで血が通って無かったのに、その一言でカァッと耳まで赤くなる。
 この前抜けた時と同じ教師だったにも関わらず、すんなり抜けられた。むしろ疲れてんのか?なんて心配そうな表情。これが日ごろの行いってやつだろう。
「おれ、いい…」
「はぁ!?何言ってんだよ。ほら、早くトイレ行くぞ」
「いい…いきたくない…」
「子供みたいにちんこ触りながらよく言うよ。何がしたいんだよまじで」
片方の腕をとり、無理矢理進む。
「っ、ほんとに、やだ、から…」
尋常じゃない拒否反応。掴んだ手が冷たいし、震えを感じ取る。まるで、注射を嫌がる子供のよう。
「っ~!むり、ほんと、入れない…」
「はぁ?」
ぼろぼろと涙を溢しながら訴える。
何に怯えているのかは分からないが、ここまで来るとイライラより心配してしまう。
「…ペットボトルの部屋か?」
「…え?」
「そこでなら出来るんだろ」
「…え、あ、あぅ…」
「…こい」
「…ん…」


「すんだ?」
部屋から出てきた奴が俯きがちに気まずそうな顔で出てくる。
「…知ってたのか?」
「…まあな。不可抗力」
「…そう、ごめん」
「何で謝るんだよ。じゃ、俺戻るから。適当な時間経ったら戻ってこい。俺は授業戻る」
「…何も、聞かないのか?」
「聞いて欲しいのか?」
「いや…」
「でも、何があったか知らねえけど、言えよ。本当にどうしようもなくなったら」
「…ありがとう…」
 正直何がどうしてこうなったのか、全くの検討がつかない。あんな場所で用を足すほど追い詰められている、分かることはそれだけ。ただの友達の俺に、聞きだす義務も権利もない。
 
 俺に出来ることは、待つことだけだ。彼が助けを呼ぶ、その日まで。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

待てって言われたから…

ふみ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。 //今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて… がっつり小スカです。 投稿不定期です🙇表紙は自筆です。 華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

笑って誤魔化してるうちに溜め込んでしまう人

こじらせた処女
BL
颯(はやて)(27)×榊(さかき)(24) おねしょが治らない榊の余裕が無くなっていく話。

風邪ひいた社会人がおねしょする話

こじらせた処女
BL
恋人の咲耶(さくや)が出張に行っている間、日翔(にちか)は風邪をひいてしまう。 一年前に風邪をひいたときには、咲耶にお粥を食べさせてもらったり、寝かしつけてもらったりと甘やかされたことを思い出して、寂しくなってしまう。一緒の気分を味わいたくて咲耶の部屋のベッドで寝るけれど…?

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

処理中です...