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第一章

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「せんせ…おれ…も…むり…おしっこぉ…」
一度恥ずかしい所を見られているからだろうか、幼稚園児のような語彙しか出てこない。
「何でお前はギリギリまで…ほら、行くぞ。立とうな」
「いきたかったけどっ…」
「トイレは無理そうか?」
「なんっで…」
「分かった。おしっこさせたげるから、おいで」
 息をするだけでもちゃぷんとお腹が揺れて、呼吸が浅くなってしまう。
「っ…っはっ、っはっ…」
壁を一枚隔てた向こうでは、いつもの日常。夏目漱石やら、微分積分が流れてくる。
「…どこに、…」
青いマークはすぐそこ。しかし先生はそこを通り過ぎる。階段を上がり、4階。壊れかけの机や文化祭などで使う備品が押し込まれている教室達が並ぶ。滅多に人が通らない場所。
「ほら入れ」
その部屋達の一番奥は、案外小ぎれいな部屋で。割れたカラーコーンや萎れたバスケットボールと共に、ロッカーが並んでいる。
「あ、あったあった!」
一つのロッカーから取り出したのは、500mlのペットボトル。
「ん、っふぁっあ、あああ…」
用途を言われていないのに、それを見た瞬間、尿道が緩む。足同士を絡められるだけ絡め、ゆさゆさと尻を上下に動かす。
「もう、でちゃう…っ」
「早くベルト外せ!」
「んんんんっ、」
ベルトを上に引っ張り、足踏みを繰り返す。でも、穴がなかなか取れてくれない。その間にも、じゅわ、じゅわ、とこぼれていく液体。
「とれないっ、とれないとれないとれないっ!!」
パンツが受けきれなくなった液体が、足を伝った。
「取ってやるからお前はちんこ摘まんどけ!」
後ろに回りこんだ先生が、ベルトを外す。
「おなか、おさないでぇ…」
「動くな動くな、ほら、外れた」
「あ、あ、あ、あ…」
プシィっ!
押さえつけていたソレを外気に晒した瞬間、勢いよく飛び出す。受け皿は目に入っているのに、床に転がっていて、生殺し状態。どれだけ揉みしだいても、止まらない。手からボタ、ボタ、とこぼれおちる。
「っひっ…ぅ…ぁ…ぁ…」
「ほらっ、もういいぞ」
「~~~~っっ!!!」
震える手でソレを受け取った瞬間、
シャアアアアっ…
透明な容器の中で勢いよく黄色い水しぶきを上げた。
「ぁ…あぅ…ふぁぁ…」
(おれ、ぺっとぼとるにおしっこしてるんだ…しかもがっこうで…)
頭がふわふわして、全身の力が抜ける。じわぁっと体が痺れるような熱さに見舞われて、何も考えられない。
「っぁっ…」
「おっと…」
ジョオオっ…
かくんと膝の力が抜けそうになるが、俺の腹に先生の腕が絡まる。
チョロロロ…
「最後まで出しとけよ?また行きたくなったらしんどいだろ」
水流が弱まった頃、萎みかけた下腹がグッと押され、再び水流が太くなる。
ショロロ…ぴちゃん…
本当の最後の一滴が飲み口を伝った。
「終わった?」
「…はい…」
冷静になった頭がペットボトル以外の情報を入れる。ずりおろされたズボンはかろうじて大丈夫。でも、濡れていない部分がないじゅくじゅくのパンツ、陰毛まで水分を含む性器。そして、高校生とは思えない、先生に抱きかかえられたような、体勢。
一旦クリアになった視界がぼやけていく。
授業もまともに受けられなくて、色んな人に迷惑をかけて。それでも俺の情けないプライドで、誰にも相談しなくて。
 恥ずかしくて、辛くて、苦しくて、悲しくて。

 もう、ぐちゃぐちゃだ。






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