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「えー、本日の連絡事項は以上です。あと保護者から、子供用の小便器で用を足さないでとの苦情が来ています。」
業務連絡などが行われる朝会で、園長が言った。視線が一点に集中する。そう、俺たち男性保育士だ。
もりなり保育園に就職が決まり、俺は社会人デビューを果たした。まだまだ男性保育士というのは浸透していない。女の子の着替え、抱っこがセクハラに当たるのでは、と継続的に保護者からのクレームがくる。そのため、男というのは肉体労働要因では重宝されるけれど、未だに肩身の狭い思いをしていた。
しかし、運良くもりなり保育園には多田木先生という男の先輩がいた。細い目にキリッとした目。子供たちの前では笑顔を見せるが、プライベートでは無表情。俺はこの人が少し苦手だ。でも、居てくれて良かった、そう思う。
「幼児用のトイレって男の子と女の子の区別ついてないでしょ?だから、ねぇ…女の子が見ちゃうから…」
一人の女性職員がいう。
「まあ、保育士は激務ですからねぇ~…膀胱炎が職業病認定されちゃうぐらいには」
「私も大変ですもん。でも、耐えるしかないんですよね~…」
だからその「耐える」が出来ないんですよ…口答えしたいけれど、女性は男より色々大変ときく。我慢の効きにくいつくりをしているとかなんとか。
我慢できないのって俺だけなのだろうか…多田木先生も用を足しているところをあまり見ない。朝と帰る時ぐらいだ。ていうかこのクレームってほぼ、いや、全部俺宛てじゃん。
「すみません…」
結局謝ることしかできないまま、朝会は終わった。
俺は男だけどかなりの頻尿で。2時間に一回、少なくても3時間に一回行かないと正直キツい。
でも、子供はとんでもない自由人だから、少しも目を離せない。
「っはっ、っはっ、っはっ、はっ、」
今日も今日とて階段を駆け上る。目的はその先にある職員トイレ。朝8時の登園時に以降、一度も放出出来なかった尿がちゃぷちゃぷ揺れる。今はもう昼の一時。5時間分も溜まっていていて、もう、漏れそう。
エプロンを思いっきりたくしあげ、ズボンから性器を取り出す。ゴムの仕様でよかった。外気に出た瞬間、少し湿った性器から勢いよくジョオッっと溢れ出す。
「あ~…間に合ったぁ…」
パンツが少し湿っているけれど、これはセーフだ。セーフなんだ…
「すみません、多田木先生…」
いくら昼寝をしているとはいえ、何が起こるか分からない。隣のクラスの先生に断りを入れる必要があった。
「いえ、大丈夫ですよ。今日は泣く子も居なかったし」
この人からはやっぱり表情が読めない。でも、つい男の先生だからって甘えてしまう。
「本当に毎回申し訳ないです…ほぼ毎日お願いしてしまってる状況ですし…」
「生理現象なんだから仕方ないですよ。…この前のこと、やっぱり気にしてしまいます?」
「あ、いえ…」
「お昼寝の時間だけじゃなくても、キツくなったらいつでも言ってくださいね。体壊したら元も子もないので」
「ありがとう、ございます…」
って言ってもらったのに…!!
(トイレトイレトイレトイレ…)
今、俺はまた窮地に立たされている。
業務連絡などが行われる朝会で、園長が言った。視線が一点に集中する。そう、俺たち男性保育士だ。
もりなり保育園に就職が決まり、俺は社会人デビューを果たした。まだまだ男性保育士というのは浸透していない。女の子の着替え、抱っこがセクハラに当たるのでは、と継続的に保護者からのクレームがくる。そのため、男というのは肉体労働要因では重宝されるけれど、未だに肩身の狭い思いをしていた。
しかし、運良くもりなり保育園には多田木先生という男の先輩がいた。細い目にキリッとした目。子供たちの前では笑顔を見せるが、プライベートでは無表情。俺はこの人が少し苦手だ。でも、居てくれて良かった、そう思う。
「幼児用のトイレって男の子と女の子の区別ついてないでしょ?だから、ねぇ…女の子が見ちゃうから…」
一人の女性職員がいう。
「まあ、保育士は激務ですからねぇ~…膀胱炎が職業病認定されちゃうぐらいには」
「私も大変ですもん。でも、耐えるしかないんですよね~…」
だからその「耐える」が出来ないんですよ…口答えしたいけれど、女性は男より色々大変ときく。我慢の効きにくいつくりをしているとかなんとか。
我慢できないのって俺だけなのだろうか…多田木先生も用を足しているところをあまり見ない。朝と帰る時ぐらいだ。ていうかこのクレームってほぼ、いや、全部俺宛てじゃん。
「すみません…」
結局謝ることしかできないまま、朝会は終わった。
俺は男だけどかなりの頻尿で。2時間に一回、少なくても3時間に一回行かないと正直キツい。
でも、子供はとんでもない自由人だから、少しも目を離せない。
「っはっ、っはっ、っはっ、はっ、」
今日も今日とて階段を駆け上る。目的はその先にある職員トイレ。朝8時の登園時に以降、一度も放出出来なかった尿がちゃぷちゃぷ揺れる。今はもう昼の一時。5時間分も溜まっていていて、もう、漏れそう。
エプロンを思いっきりたくしあげ、ズボンから性器を取り出す。ゴムの仕様でよかった。外気に出た瞬間、少し湿った性器から勢いよくジョオッっと溢れ出す。
「あ~…間に合ったぁ…」
パンツが少し湿っているけれど、これはセーフだ。セーフなんだ…
「すみません、多田木先生…」
いくら昼寝をしているとはいえ、何が起こるか分からない。隣のクラスの先生に断りを入れる必要があった。
「いえ、大丈夫ですよ。今日は泣く子も居なかったし」
この人からはやっぱり表情が読めない。でも、つい男の先生だからって甘えてしまう。
「本当に毎回申し訳ないです…ほぼ毎日お願いしてしまってる状況ですし…」
「生理現象なんだから仕方ないですよ。…この前のこと、やっぱり気にしてしまいます?」
「あ、いえ…」
「お昼寝の時間だけじゃなくても、キツくなったらいつでも言ってくださいね。体壊したら元も子もないので」
「ありがとう、ございます…」
って言ってもらったのに…!!
(トイレトイレトイレトイレ…)
今、俺はまた窮地に立たされている。
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