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第26話 ホールスタッフになる大魔王
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大雨に打たれ更なるパニックに陥るボウ国の国民達を大魔王眼で確認した大魔王コサカは心の中でガッツポーズを浮かべる。
『クククッ! パニックに陥っておるな。これはこのワシにクソ不味いワインを飲ませた罰だ!』
大魔王コサカは心の中でそう呟くと、深妙な面持ちで勇者マコトに話しかける。
「勇者マコトよ。折角お主が与えた恵みの雨にボウ国の人間達は感謝する所か、パニックを起こしておる様だぞ」
「あっ? そんな訳ねーだろ! これは涙を流しながら喜んでいるんだよ。恵みの雨に打たれながら歓喜の歌を歌っているじゃねーか!」
何を言っているんだコイツ?
怪しい薬でもキめているのか??
もう一度、ボウ国の国民達を≪大魔王眼≫で眺めるもそんな風には見えない。
むしろ、阿鼻叫喚の地獄状態と言ってもいいほどだ。
文化の違いか?
はたまた、ワシが封印されている間に『歓喜』と言った言葉や『感涙』といった言葉の意味が変わったのだろうか?
ワシが封印される前、この世界で大魔王していた時、人間達は皆、今のボウ国の国民達の様な表情を浮かべていた。
封印されている間に、人類皆マゾヒストになってしまったとでも言うのか!?
勇者マコトの自信満々な態度を見るに嘘を言っている様には見えない。
マゾヒストは最強の存在だ。
痛みを与えても悦び。苦境に放り込もうものなら嬉々としてそれを受け入れる。
ということは何か?
ワシはあのボウ国の国民達に対し、奴等が喜ぶ様な行為をしてしまったと……そういう事か?
ぐっ……。屈辱だ!
時代が変化し、まさか感情表現がアベコベになっているとは……。そんな事になっているとは思いもしないではないか!
確認の為、もう一度、≪大魔王眼≫で大雨の中泣き叫びパニック状態となっているボウ国の国民達に目を向ける。
あんなにも泣き叫んでいるのに、あれが歓喜の歌だとは……。
グッ! これが今の時代を生きる人間達の喜びの表現か! く、狂っている……。
だが、これが喜びの表現だとするならば、すぐにこれを止めなければ……。ワシのやった事はただ悪戯に奴等を喜ばせただけという事になってしまう。
「ゆ、勇者マコトよ。そ、そろそろ良いのではないか? お主の国とボウ国は戦争状態にあるのだろ? であれば、ハジマリノ王国の大王であるお主がボウ国の国民を喜ばせるのは拙いのではないか?」
勇者マコトは、赤ワインをゴクリと飲み込むと、大魔王コサカの話を聞かずサキュバス達とイチャつきだす。
「クハハハハッ! ここは良いな天国だ! おい、コサカ! 酒が切れたぞ! さっさとワインを注げよ!」
「お主、ワシの話を聞いていたのか?」
揚句の果てに、大魔王コサカの事をキャバクラのホールスタッフの如く扱い始める始末。
これには、勇者マコトとイチャついていたサキュバス達も大魔王コサカに視線を向けてくる。
「よい。お前達はそのまま勇者マコトの接客をしていろ」
大魔王コサカは勇者マコトのグラスにワインの女王バルバレストを注ぐ。
「ほう。大魔王コサカ自らこの俺様のグラスにワインを注いでくれるとはな……」
お、お前がやらせたんだろうがァァァァ!
大魔王コサカの怒りに反応し、ボウ国、そして南極大陸の大地が少し罅割れる。
しかし、大魔王コサカの怒りに気付かぬ勇者マコトは、次々に注文を申し付けていく。
「おい、コサカ! チーズが切れたぞ。さっさと持って来い。チーズはあれな、ペカール商会のルブロションドザヴォアとかいう熟成チーズがいいわ。カウズケナイズ商会の作るゴールデンメナースでもいいぞ」
どちらも美味いチーズを作る事で有名な商会だ。
特にペカール社のウブロションドザヴォアという熟成チーズは、山の豊かな牧草を食べて育った牛の牛乳から作られ、一部の美食家からは山のチーズとして人気を博している。
大魔王コサカは怒りを押し殺し、勇者マコトの前にあるテーブルに熟成チーズを乗せると、そのままテーブルから離れていく。
このまま勇者マコトの近くにいてはあの熟成チーズを勇者マコトの顔面に叩き付けてしまう。
それは、この素晴らしい熟成チーズを作ってくれた商会に申し訳がない。
散々、大魔王コサカをこき使って満足したのか、勇者マコトは見ていて腹正しくなる程の笑顔を浮かべると、「じゃあ俺もう帰るわ」と呟き。転移魔法でハジマリノ王国に戻って行ってしまった。
勇者マコトが転移魔法でハジマリノ王国に帰った瞬間、大魔王コサカは、保存状態が悪くとても飲めた味ではない女王のワインの瓶を握り潰すと、怒りに任せ大声を上げる。
「あの腐れ勇者がァァァァァ! ふざけおって、ふざけおって、ふざけおってェェェェェ!」
大魔王コサカが怒りだすと、サキュバス達は互いに顔を見合わせ大魔王コサカを落ち着かせるべく行動に移る。
「だ、大魔王コサカ様、落ち着いて下さい!」
「腐れ勇者より大魔王コサカ様の方が素敵ですわ!」
「そうですわ! あの腐れ勇者、私達の身体を見てニヤニヤしていましたのよ。純潔を穢された気分ですわ!」
「それだけではありません。あの勇者斜め45度の角度から私の事を口説きにきました。絶対に自分の事を世界で一番カッコいいと思っている自己中野郎ですわ。気持ちが悪い! 大魔王コサカ様の方があの腐れ勇者の万倍カッコいいですわ!」
「そ、そうか?」
勇者マコトの散々な謂れ様に気分を良くした大魔王コサカは怒りを治めると、勇者の座っていた椅子をとテーブルを地獄の業火で焼き払い。丁寧にアルコール消毒をしていく。
そしてサキュバス達を送り届けると、深いため息をついた。
『クククッ! パニックに陥っておるな。これはこのワシにクソ不味いワインを飲ませた罰だ!』
大魔王コサカは心の中でそう呟くと、深妙な面持ちで勇者マコトに話しかける。
「勇者マコトよ。折角お主が与えた恵みの雨にボウ国の人間達は感謝する所か、パニックを起こしておる様だぞ」
「あっ? そんな訳ねーだろ! これは涙を流しながら喜んでいるんだよ。恵みの雨に打たれながら歓喜の歌を歌っているじゃねーか!」
何を言っているんだコイツ?
怪しい薬でもキめているのか??
もう一度、ボウ国の国民達を≪大魔王眼≫で眺めるもそんな風には見えない。
むしろ、阿鼻叫喚の地獄状態と言ってもいいほどだ。
文化の違いか?
はたまた、ワシが封印されている間に『歓喜』と言った言葉や『感涙』といった言葉の意味が変わったのだろうか?
ワシが封印される前、この世界で大魔王していた時、人間達は皆、今のボウ国の国民達の様な表情を浮かべていた。
封印されている間に、人類皆マゾヒストになってしまったとでも言うのか!?
勇者マコトの自信満々な態度を見るに嘘を言っている様には見えない。
マゾヒストは最強の存在だ。
痛みを与えても悦び。苦境に放り込もうものなら嬉々としてそれを受け入れる。
ということは何か?
ワシはあのボウ国の国民達に対し、奴等が喜ぶ様な行為をしてしまったと……そういう事か?
ぐっ……。屈辱だ!
時代が変化し、まさか感情表現がアベコベになっているとは……。そんな事になっているとは思いもしないではないか!
確認の為、もう一度、≪大魔王眼≫で大雨の中泣き叫びパニック状態となっているボウ国の国民達に目を向ける。
あんなにも泣き叫んでいるのに、あれが歓喜の歌だとは……。
グッ! これが今の時代を生きる人間達の喜びの表現か! く、狂っている……。
だが、これが喜びの表現だとするならば、すぐにこれを止めなければ……。ワシのやった事はただ悪戯に奴等を喜ばせただけという事になってしまう。
「ゆ、勇者マコトよ。そ、そろそろ良いのではないか? お主の国とボウ国は戦争状態にあるのだろ? であれば、ハジマリノ王国の大王であるお主がボウ国の国民を喜ばせるのは拙いのではないか?」
勇者マコトは、赤ワインをゴクリと飲み込むと、大魔王コサカの話を聞かずサキュバス達とイチャつきだす。
「クハハハハッ! ここは良いな天国だ! おい、コサカ! 酒が切れたぞ! さっさとワインを注げよ!」
「お主、ワシの話を聞いていたのか?」
揚句の果てに、大魔王コサカの事をキャバクラのホールスタッフの如く扱い始める始末。
これには、勇者マコトとイチャついていたサキュバス達も大魔王コサカに視線を向けてくる。
「よい。お前達はそのまま勇者マコトの接客をしていろ」
大魔王コサカは勇者マコトのグラスにワインの女王バルバレストを注ぐ。
「ほう。大魔王コサカ自らこの俺様のグラスにワインを注いでくれるとはな……」
お、お前がやらせたんだろうがァァァァ!
大魔王コサカの怒りに反応し、ボウ国、そして南極大陸の大地が少し罅割れる。
しかし、大魔王コサカの怒りに気付かぬ勇者マコトは、次々に注文を申し付けていく。
「おい、コサカ! チーズが切れたぞ。さっさと持って来い。チーズはあれな、ペカール商会のルブロションドザヴォアとかいう熟成チーズがいいわ。カウズケナイズ商会の作るゴールデンメナースでもいいぞ」
どちらも美味いチーズを作る事で有名な商会だ。
特にペカール社のウブロションドザヴォアという熟成チーズは、山の豊かな牧草を食べて育った牛の牛乳から作られ、一部の美食家からは山のチーズとして人気を博している。
大魔王コサカは怒りを押し殺し、勇者マコトの前にあるテーブルに熟成チーズを乗せると、そのままテーブルから離れていく。
このまま勇者マコトの近くにいてはあの熟成チーズを勇者マコトの顔面に叩き付けてしまう。
それは、この素晴らしい熟成チーズを作ってくれた商会に申し訳がない。
散々、大魔王コサカをこき使って満足したのか、勇者マコトは見ていて腹正しくなる程の笑顔を浮かべると、「じゃあ俺もう帰るわ」と呟き。転移魔法でハジマリノ王国に戻って行ってしまった。
勇者マコトが転移魔法でハジマリノ王国に帰った瞬間、大魔王コサカは、保存状態が悪くとても飲めた味ではない女王のワインの瓶を握り潰すと、怒りに任せ大声を上げる。
「あの腐れ勇者がァァァァァ! ふざけおって、ふざけおって、ふざけおってェェェェェ!」
大魔王コサカが怒りだすと、サキュバス達は互いに顔を見合わせ大魔王コサカを落ち着かせるべく行動に移る。
「だ、大魔王コサカ様、落ち着いて下さい!」
「腐れ勇者より大魔王コサカ様の方が素敵ですわ!」
「そうですわ! あの腐れ勇者、私達の身体を見てニヤニヤしていましたのよ。純潔を穢された気分ですわ!」
「それだけではありません。あの勇者斜め45度の角度から私の事を口説きにきました。絶対に自分の事を世界で一番カッコいいと思っている自己中野郎ですわ。気持ちが悪い! 大魔王コサカ様の方があの腐れ勇者の万倍カッコいいですわ!」
「そ、そうか?」
勇者マコトの散々な謂れ様に気分を良くした大魔王コサカは怒りを治めると、勇者の座っていた椅子をとテーブルを地獄の業火で焼き払い。丁寧にアルコール消毒をしていく。
そしてサキュバス達を送り届けると、深いため息をついた。
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