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第13話 生まれ変わるスラング
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不老不死の神薬アムリタ。
飲む者に不老不死を与えるとされる妙薬を大賢者スラングに数滴投与し、回復魔法ヒールを唱えると大賢者スラングが見る見るうちに若返っていく。
「まあこんな所か、これ以上の投与は危険だな……」
不老不死の神薬アムリタ。
魔王を倒す旅の途中で立ち寄ったエルフの住まう天空都市で、そこを支配していた魔王の配下を打ち倒した事により手に入れたそれは魔族にとってはただの長寿薬。しかし、それ以外が飲むと若返りの効果と不老、そして不死の効果を齎らす。
不死といえば聞こえはいいが、実際には飲み過ぎるとアンデッド化する恐ろしい薬である。
勇者マコトはそれを数滴投与する事で大賢者スラングを20代位まで若返らせた。
しかし、勇者マコトのサービスはそれだけに留まらない。
大賢者スラングは唯一、魔王を倒す際に役に立ってくれた勇者パーティーの一員。その為、勇者マコトは大賢者スラングが望んでいたセカンドライフを充実したものにする為、向こうの世界ではする事の出来ないある事を施す事にした。
「うっ……。私は一体何を……」
大賢者スラングが目覚めた様だ。
「起きたか。大賢者スラングよ」
「あ、あなたは勇者マコト! ここは一体……」
手を頭に当て、ソファから起き上がりキョロキョロと辺りを見渡している。
「ほら、これで自分の姿を見てみろ」
大賢者スラングは勇者マコトが放り投げた手鏡を受け取るとを自嘲気味に呟く。
「勇者マコトは残酷なお方ですね……。鏡で今の私を再認識しろというのでしょう」
「……ほう。よくわかっているじゃねーか。俺に手を焼かせたんだ。是非とも今の自分の姿を再認識してほしいね」
苦笑気味に言葉を投げかけると、鏡で自分の姿を見た大賢者スラングが驚きの表情を浮かべる。
「なぁ! 何故っ……。なんという事だ……」
自分の若返った姿を見た大賢者スラングが涙を流す。
「勇者マコト……」
「ああ、皆まで言うな……。俺達今まで一緒に戦ってきた仲間だろ……」
そう勇者マコトが笑みを浮かべると、何故か頬に手鏡がめり込む。
そして床に落ちた手鏡が割れる音だけが部屋に響き渡った。
「……ざけるな」
「えっ? スラング君?」
まさかの出来事に勇者マコトは頬を摩りながら驚きの声を上げる。
「ふざけるなぁぁぁぁぁ! 私の……私の若かりし頃の顔はこんなではないッ! 一体何をした勇者マコトッ!」
大賢者スラングは収納魔法から自分の自画像を取り出すと、勇者マコトに見せつけてくる。
その自画像には凛々しい顔立ちのイケメンの姿が描かれていた。
(ええええええええっ! マジかこいつ、自分の顔を鏡で見た事ないのか!?
手鏡に移っている顔、それがお前の顔だからぁぁぁぁ!
多分、その宮廷画家がお前の顔を描く時、忖度して書いてくれただけだからぁぁぁぁ!)
「これは以前、宮廷画家に書いて貰った私の自画像だッ! こんな醜悪な顔は私の顔ではないッ!」
(自分で醜悪な顔とか言っちゃたよコイツ!)
あまりの豹変っぷりに呆然としていると、大賢者スラングが涙を流し始める。
「勇者マコト……。そんなに私が憎いのですか、いくら若かりし頃の私の姿があなたよりも美形だったとしてもこんなのあんまりじゃないですか!」
「マ、マジか……」
相手をするのが面倒臭くなった勇者マコトは、大賢者スラングの意識を飛ばすと、憑依の呪文で大賢者スラングに分体の意識を写し、予約した美容整形外科に出かける事にした。
「すいません。13時に予約のスラングと申しますが……」
「スラング様ですね。院長先生から話は伺っております。こちらにどうぞ」
ここは勇者マコトの友人が経営している美容整形外科。急な手術にも対応できる様万全の体制を引いている。
そして美容整形を終えた数日後……。
「勇者マコト! あなたには本当に感謝してもしきれません。ありがとうございます」
自画像通りの顔になった大賢者スラングが、勇者マコトの手を握り笑顔を浮かべていた。
顔面の手術はナイーブな為、術後数日間腫れが引かないのだが、そこは回復呪文ヒールを施す事でカバーした。
「ああ、魔王戦では仲間の中で唯一助けになったからな。これくらい良いって事よ」
それにしても……。
勇者マコトは整形により自画像通りの顔になった大賢者スラングに視線を向けると笑顔を浮かべたまま心の中で呟く。
顔と身体のバランス悪っ!
顔もなんだか人工的な感じでなんか怖いんですけどっ!
院長先生には自画像通り大賢者スラングの顔を全面改修してもらった。その為、大賢者スラングの顔には、前の大賢者スラングの顔の面影は一切ない。
本人が喜んでいるんだからまあいいか……。
問題は顔が全然違い過ぎて大賢者スラングだと認識されない事だけど……。
「まあ、いいか……」
それは俺が考える事ではない。
大賢者スラングが元の顔に戻ったと喜んでいる。
それで良いじゃないか……。
「何がいいんですかな? 勇者マコト」
勇者マコトは大賢者スラングの疑問に事なく首を横に振ると、王の待つ彼方の世界に転移した。
飲む者に不老不死を与えるとされる妙薬を大賢者スラングに数滴投与し、回復魔法ヒールを唱えると大賢者スラングが見る見るうちに若返っていく。
「まあこんな所か、これ以上の投与は危険だな……」
不老不死の神薬アムリタ。
魔王を倒す旅の途中で立ち寄ったエルフの住まう天空都市で、そこを支配していた魔王の配下を打ち倒した事により手に入れたそれは魔族にとってはただの長寿薬。しかし、それ以外が飲むと若返りの効果と不老、そして不死の効果を齎らす。
不死といえば聞こえはいいが、実際には飲み過ぎるとアンデッド化する恐ろしい薬である。
勇者マコトはそれを数滴投与する事で大賢者スラングを20代位まで若返らせた。
しかし、勇者マコトのサービスはそれだけに留まらない。
大賢者スラングは唯一、魔王を倒す際に役に立ってくれた勇者パーティーの一員。その為、勇者マコトは大賢者スラングが望んでいたセカンドライフを充実したものにする為、向こうの世界ではする事の出来ないある事を施す事にした。
「うっ……。私は一体何を……」
大賢者スラングが目覚めた様だ。
「起きたか。大賢者スラングよ」
「あ、あなたは勇者マコト! ここは一体……」
手を頭に当て、ソファから起き上がりキョロキョロと辺りを見渡している。
「ほら、これで自分の姿を見てみろ」
大賢者スラングは勇者マコトが放り投げた手鏡を受け取るとを自嘲気味に呟く。
「勇者マコトは残酷なお方ですね……。鏡で今の私を再認識しろというのでしょう」
「……ほう。よくわかっているじゃねーか。俺に手を焼かせたんだ。是非とも今の自分の姿を再認識してほしいね」
苦笑気味に言葉を投げかけると、鏡で自分の姿を見た大賢者スラングが驚きの表情を浮かべる。
「なぁ! 何故っ……。なんという事だ……」
自分の若返った姿を見た大賢者スラングが涙を流す。
「勇者マコト……」
「ああ、皆まで言うな……。俺達今まで一緒に戦ってきた仲間だろ……」
そう勇者マコトが笑みを浮かべると、何故か頬に手鏡がめり込む。
そして床に落ちた手鏡が割れる音だけが部屋に響き渡った。
「……ざけるな」
「えっ? スラング君?」
まさかの出来事に勇者マコトは頬を摩りながら驚きの声を上げる。
「ふざけるなぁぁぁぁぁ! 私の……私の若かりし頃の顔はこんなではないッ! 一体何をした勇者マコトッ!」
大賢者スラングは収納魔法から自分の自画像を取り出すと、勇者マコトに見せつけてくる。
その自画像には凛々しい顔立ちのイケメンの姿が描かれていた。
(ええええええええっ! マジかこいつ、自分の顔を鏡で見た事ないのか!?
手鏡に移っている顔、それがお前の顔だからぁぁぁぁ!
多分、その宮廷画家がお前の顔を描く時、忖度して書いてくれただけだからぁぁぁぁ!)
「これは以前、宮廷画家に書いて貰った私の自画像だッ! こんな醜悪な顔は私の顔ではないッ!」
(自分で醜悪な顔とか言っちゃたよコイツ!)
あまりの豹変っぷりに呆然としていると、大賢者スラングが涙を流し始める。
「勇者マコト……。そんなに私が憎いのですか、いくら若かりし頃の私の姿があなたよりも美形だったとしてもこんなのあんまりじゃないですか!」
「マ、マジか……」
相手をするのが面倒臭くなった勇者マコトは、大賢者スラングの意識を飛ばすと、憑依の呪文で大賢者スラングに分体の意識を写し、予約した美容整形外科に出かける事にした。
「すいません。13時に予約のスラングと申しますが……」
「スラング様ですね。院長先生から話は伺っております。こちらにどうぞ」
ここは勇者マコトの友人が経営している美容整形外科。急な手術にも対応できる様万全の体制を引いている。
そして美容整形を終えた数日後……。
「勇者マコト! あなたには本当に感謝してもしきれません。ありがとうございます」
自画像通りの顔になった大賢者スラングが、勇者マコトの手を握り笑顔を浮かべていた。
顔面の手術はナイーブな為、術後数日間腫れが引かないのだが、そこは回復呪文ヒールを施す事でカバーした。
「ああ、魔王戦では仲間の中で唯一助けになったからな。これくらい良いって事よ」
それにしても……。
勇者マコトは整形により自画像通りの顔になった大賢者スラングに視線を向けると笑顔を浮かべたまま心の中で呟く。
顔と身体のバランス悪っ!
顔もなんだか人工的な感じでなんか怖いんですけどっ!
院長先生には自画像通り大賢者スラングの顔を全面改修してもらった。その為、大賢者スラングの顔には、前の大賢者スラングの顔の面影は一切ない。
本人が喜んでいるんだからまあいいか……。
問題は顔が全然違い過ぎて大賢者スラングだと認識されない事だけど……。
「まあ、いいか……」
それは俺が考える事ではない。
大賢者スラングが元の顔に戻ったと喜んでいる。
それで良いじゃないか……。
「何がいいんですかな? 勇者マコト」
勇者マコトは大賢者スラングの疑問に事なく首を横に振ると、王の待つ彼方の世界に転移した。
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