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第四章 ノースの街作り
第101話 世界樹の街③
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<(*´Д`)=3ハァ……ノース様はまだまだ欲が足りませんね>
(えっ? それはどういう……)
ナビさんの浮かべた顔文字に少しムッとした表情を浮かべながら頭の中で会話する。
<ノース様。ホオズキの街に来る前、ノース様の父君はなんと言っていたか覚えていますか?>
(お父さんの言った言葉?)
<どうやら覚えていないようですね。ノース様の父君は言いました。『街に改善点があれば口出ししてくれてもいい。この私がそれを保証しよう』と……>
(いや、確かにそう言っていた気はするけど……)
なんとなく意味合いとかニュアンスが違う気がする。
<いいですか? ノース様はあのホオズキの街に見切りをつけました。湧泉で水浴びをし、作物より筋肉の成長を優先するような人達の住む街にです。ゴミ処理場にはゴミが堆積し、このままではあの街は本当の意味で終わってしまいます>
(そ、そうだね?)
<ノース様はこの辺り一帯を治める領主の息子。つまり、ノース様には、ここに新たなホオズキの街を作り上げる義務があるのです。あの筋肉ダルマが統治するホオズキの街にノーを突きつけるということは、そういうことです!>
(え、ええっ!? そうなのっ!?)
<はい! 当然の事です>
(そ、それじゃあ、ナビさんはこの街をどんな街にしたいと思っているのさ!)
流石に僕一人で街を作り上げるなんて無理だ。
ナビさんがそこまで言うなら、折角だ。ナビさんに街作りを実行して貰おう。
どの道、ここは辺境の地、住んでいる人もいない。
<えっ? ナビの思う通りに街作りしてもいいのですか?>
(うん。ナビさんがどんな街を作り上げるのか興味あるしね。あっ、なんならギフトポイントも自由に使ってくれて構わないよ?)
僕じゃあ、キノコ・ハウスを並べ立てたりする位しか思いつかないしね?
頭の中でナビさんにそう告げると、ナビさんは不敵な顔文字を浮かべた。
<( ̄ー ̄)ニヤリ わかりました。それでは、これからナビの思い通りに街作りをさせて頂きます。そこにいるハーフエルフとドライアドにも協力して頂いてもよろしいですか?>
い、一体なにをする気なのだろうか?
自分で許可を与えておいて、なんだか心配になってきた。
とはいえ、一旦言ったことを取り消すのもなんだか格好悪い。
(う、うん。クロユリさんに協力して貰えるように願い出てみるよ……)
<わかりました。それでは、早速……>
そう文字を浮かべると、ナビさんはとんでもないことを要求してきた。
<……世界樹をこの地に生やしましょう>
「ええっ! 世界樹!?」
ナビさんが視界に浮かべた文字に、思わず声を上げてしまう。
すると、僕の声にクロユリさんが反応を示す。
「世界樹がどうされたのですか?」
「い、いや、なんでも……。もし世界樹を生やすことができれば凄いなって思って……」
「そうですか? もしお望みであれば、この地に世界樹を生やすこともできますが……」
クロユリさんの言葉に、僕とアメリアさんが驚愕といった表情を浮かべる。
「ええっ!? 世界樹を生やすことができるの!?」
「そ、それは本当ですか!?」
世界樹は天を支え、天界と地上、さらに根や幹を通して地下世界もしくは冥界に通じているとされる伝説上の大樹だ。本当に生やすことができるのだろうか?
「ええ、問題ありません。どこに世界樹を生やしますか?」
「え、えーっと、ちょっと待ってくれないかな?」
<決まりですね。伝説上の大樹『世界樹』をこの地に生やすことができれば、他領に対するいい宣伝になります。それにこの辺りにはダンジョンも多い。ノース様が治める領地として相応しい環境を整えるために必要な人材(ハーフエルフ)や労働力(エルフ)も揃っています>
(ちょっと待って、なんでエルフが労働力候補にあがっているの!?)
エルフを街に入れるなんて聞いてないよ!?
<世界樹を生やせば、おのずと奴ら(エルフ)は寄ってきます。奴らは湧泉と世界樹に寄生する害虫のような存在です>
(ええっ!? そうなのっ?)
エルフは世界樹の守り人だと聞いたことがあるんだけど、違うのだろうか?
<はい。ナビの知る常識ではそのようになっております。第一、考えても見て下さい。世界樹の守り人がエルフだと、どこの誰が決めたことですか? 確かにエルフは自然と豊かさを司る小神族ではありますが、ただそれだけの種族です。森に住むだけの害虫です。いえ、湧泉を潰し、世界樹の守り人を詐称するだけの塵芥。虫の方がまだ有益に働いてくれます>
ちょっと、言い過ぎではないだろうか?
(でも、世界樹を生やせばエルフが寄ってきちゃうんだよね? だったら生やさない方がよくない?)
<いえ、害虫は駆除すれば済む話です。駆除しないまでも、そんなエルフ達にも手足位は生えています。折角、自ら世界樹に寄ってきてくれるのです。世界樹を餌におびき寄せて、労働力として扱えばいいんですよ>
ナビさんの中のエルフの評価が著しく低い。
ここにはハーフエルフのクロユリさんもいるんだけど、それはいいのだろうか?
<ああ、念のため、補足しておきますが、エルフとハーフエルフはまるで違う種族です。人間の血が交わることで、小神族ではなく人寄りの種族となっております。変なプライドも自尊心も持ち合わせていないので、ハーフエルフについてナビはなんとも思っておりません>
(そ、そうなんだ……)
一応、クロユリさんの父親がエルフなんだけど……。
まあいいか。ナビさんの口悪さはいまに始まったことではない。
ナビさんが声を出して喋ることができなくて、本当に良かった。
(えっ? それはどういう……)
ナビさんの浮かべた顔文字に少しムッとした表情を浮かべながら頭の中で会話する。
<ノース様。ホオズキの街に来る前、ノース様の父君はなんと言っていたか覚えていますか?>
(お父さんの言った言葉?)
<どうやら覚えていないようですね。ノース様の父君は言いました。『街に改善点があれば口出ししてくれてもいい。この私がそれを保証しよう』と……>
(いや、確かにそう言っていた気はするけど……)
なんとなく意味合いとかニュアンスが違う気がする。
<いいですか? ノース様はあのホオズキの街に見切りをつけました。湧泉で水浴びをし、作物より筋肉の成長を優先するような人達の住む街にです。ゴミ処理場にはゴミが堆積し、このままではあの街は本当の意味で終わってしまいます>
(そ、そうだね?)
<ノース様はこの辺り一帯を治める領主の息子。つまり、ノース様には、ここに新たなホオズキの街を作り上げる義務があるのです。あの筋肉ダルマが統治するホオズキの街にノーを突きつけるということは、そういうことです!>
(え、ええっ!? そうなのっ!?)
<はい! 当然の事です>
(そ、それじゃあ、ナビさんはこの街をどんな街にしたいと思っているのさ!)
流石に僕一人で街を作り上げるなんて無理だ。
ナビさんがそこまで言うなら、折角だ。ナビさんに街作りを実行して貰おう。
どの道、ここは辺境の地、住んでいる人もいない。
<えっ? ナビの思う通りに街作りしてもいいのですか?>
(うん。ナビさんがどんな街を作り上げるのか興味あるしね。あっ、なんならギフトポイントも自由に使ってくれて構わないよ?)
僕じゃあ、キノコ・ハウスを並べ立てたりする位しか思いつかないしね?
頭の中でナビさんにそう告げると、ナビさんは不敵な顔文字を浮かべた。
<( ̄ー ̄)ニヤリ わかりました。それでは、これからナビの思い通りに街作りをさせて頂きます。そこにいるハーフエルフとドライアドにも協力して頂いてもよろしいですか?>
い、一体なにをする気なのだろうか?
自分で許可を与えておいて、なんだか心配になってきた。
とはいえ、一旦言ったことを取り消すのもなんだか格好悪い。
(う、うん。クロユリさんに協力して貰えるように願い出てみるよ……)
<わかりました。それでは、早速……>
そう文字を浮かべると、ナビさんはとんでもないことを要求してきた。
<……世界樹をこの地に生やしましょう>
「ええっ! 世界樹!?」
ナビさんが視界に浮かべた文字に、思わず声を上げてしまう。
すると、僕の声にクロユリさんが反応を示す。
「世界樹がどうされたのですか?」
「い、いや、なんでも……。もし世界樹を生やすことができれば凄いなって思って……」
「そうですか? もしお望みであれば、この地に世界樹を生やすこともできますが……」
クロユリさんの言葉に、僕とアメリアさんが驚愕といった表情を浮かべる。
「ええっ!? 世界樹を生やすことができるの!?」
「そ、それは本当ですか!?」
世界樹は天を支え、天界と地上、さらに根や幹を通して地下世界もしくは冥界に通じているとされる伝説上の大樹だ。本当に生やすことができるのだろうか?
「ええ、問題ありません。どこに世界樹を生やしますか?」
「え、えーっと、ちょっと待ってくれないかな?」
<決まりですね。伝説上の大樹『世界樹』をこの地に生やすことができれば、他領に対するいい宣伝になります。それにこの辺りにはダンジョンも多い。ノース様が治める領地として相応しい環境を整えるために必要な人材(ハーフエルフ)や労働力(エルフ)も揃っています>
(ちょっと待って、なんでエルフが労働力候補にあがっているの!?)
エルフを街に入れるなんて聞いてないよ!?
<世界樹を生やせば、おのずと奴ら(エルフ)は寄ってきます。奴らは湧泉と世界樹に寄生する害虫のような存在です>
(ええっ!? そうなのっ?)
エルフは世界樹の守り人だと聞いたことがあるんだけど、違うのだろうか?
<はい。ナビの知る常識ではそのようになっております。第一、考えても見て下さい。世界樹の守り人がエルフだと、どこの誰が決めたことですか? 確かにエルフは自然と豊かさを司る小神族ではありますが、ただそれだけの種族です。森に住むだけの害虫です。いえ、湧泉を潰し、世界樹の守り人を詐称するだけの塵芥。虫の方がまだ有益に働いてくれます>
ちょっと、言い過ぎではないだろうか?
(でも、世界樹を生やせばエルフが寄ってきちゃうんだよね? だったら生やさない方がよくない?)
<いえ、害虫は駆除すれば済む話です。駆除しないまでも、そんなエルフ達にも手足位は生えています。折角、自ら世界樹に寄ってきてくれるのです。世界樹を餌におびき寄せて、労働力として扱えばいいんですよ>
ナビさんの中のエルフの評価が著しく低い。
ここにはハーフエルフのクロユリさんもいるんだけど、それはいいのだろうか?
<ああ、念のため、補足しておきますが、エルフとハーフエルフはまるで違う種族です。人間の血が交わることで、小神族ではなく人寄りの種族となっております。変なプライドも自尊心も持ち合わせていないので、ハーフエルフについてナビはなんとも思っておりません>
(そ、そうなんだ……)
一応、クロユリさんの父親がエルフなんだけど……。
まあいいか。ナビさんの口悪さはいまに始まったことではない。
ナビさんが声を出して喋ることができなくて、本当に良かった。
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