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第一章 キノコマスター
第9話 キノコ・キャッスルに豚が攻めてきました
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「うわぁ~!」
キノコ・キャッスルの最上階まで駆け上がり、窓を開いて僕が最初に見たのは、大きな街だった。
「あれが、ウエスト達が向かった街か……」
キノコ・キャッスルの最上階から見る景色は最高だ。ふと、下を見ると、マッシュルーム・ソルジャー達が、城の片隅の土の中に身体を埋めていた。
「あ、あんなに作成したっけ?」
<はい。あんなに作成しました>
「そ、そうなんだ……」
いや、しかし、ここはモンスター跋扈する森の中、万が一の備えは必要だ。
マッシュルーム・ソルジャー達がゴブリン達の集落を壊滅しに回っているように、モンスターが攻めてくるという可能性もある。
そう考えると。戦力はいくらあっても足りないくらいだ。
それにしても……。
最近、誰とも会話という会話をしていないので、少し寂しくなってきた。
<なにをいうのです。私がいるではありませんか>
「いや、まあそうなんだけど、そうじゃないっていうか……久しぶりに人と会話らしい会話をして見たいというか……」
<なるほど、それでは、あとギフトレベルを二段階上げたら、街に行ってみましょう。ナビが街までナビゲートします>
「えっ、いいの?」
ナビさんは『キノコマスター』のナビさんなのに、街までナビゲートしてくれるなんて思いもしなかった。
<はい。街には危険が一杯ですので、ギフトレベルをあと二段階上げることを条件に了承します>
「えっ? そうなの? 教会に行った時はそうは見えなかったけど……。街ってそんなに危険なところなの?」
<はい。街の中には、国家権力によって組織化された暴力装置と呼ばれる者の集団が蔓延っております。それだけではありません。自分の都合のいいように事実を捻じ曲げ、国家権力を行使しようとする権力者や、そんなクズに気に入られようと忖度する役人。はたまた、気に入った女がいれば、無理やり攫おうとする極悪人まで、その全てが混在する場所……それが街というところです>
「し、知らなかった。街ってとっても怖いところなんだね」
<はい。知能を持ったオークの群れが街中にいると考えて頂いても差し支えはありません>
「そ、そうなんだ……」
ウエスト達、大丈夫かな?
優遇ギフトを与えられ、挨拶なしに別れた身だけど元同郷。心配だ。
<しかし、ノース様のギフトレベルがもう二段階上がれば、心配はございません。どのような事態に陥っても問題ないように、万全の状態でノース様を街に送り出すことができます>
流石は『キノコマスター』。
もはや、なんでもありである。
「ちなみに、ギルトレベルはどれくらいで上がりそう?」
<そうですね。あと二十日もあれば、レベルを上げることができるでしょう>
「二十日か……」
街は怖いところのようだけど、なんだか楽しみになってきた。
「それじゃあ、一杯、経験値を稼がないとね」
<はい。この機会にマッシュルーム・エクスカリバーの力も試してみましょう>
「えっ?」
いま、ナビさん。とんでもないことを言わなかっただろうか?
「マッシュルーム・エクスカリバーって、キノコ・ハウスの入り口に刺さっていた剣のことだよね? あの剣を使うの? 僕が?」
<はい。マッシュルーム・エクスカリバーを自在に使うことができれば、最低限の自己防衛にもなりますし、街の暴力装置への牽制にもなります>
「えっ? ナビさん、前にマッシュルーム・エクスカリバーがあれば、空を自在に飛び、海を割ることもできるとか言ってなかった? 街の人達って、そんなに強い人達ばかりなの!?」
<はい。それはもう! 人間の中には単身で龍を軽く屠るほどの者が片手に数えるほど存在します>
片手に数えるほど存在するのっ!?
「で、でも、ナビさん、さっき、街の中にいる人達のことは知能を持ったオークの群れが街中にいると考えてって……」
<……ええっ、その通りです。知能を持ったオークの群れがマッシュルーム・エクスカリバーを持って生活を送っているようなものです!>
「ええっ!? そうなのっ!?」
し、知らなかった。
ということは、実は孤児院の院長もそんな力を持っていたのだろうか!?
<ええ、あの院長、ただ者ではございません>
「ちょっ! ちょっと前から気になっていたけど、なんで、僕の心の中の言葉までわかるのっ!?」
<はい。その通りです。しかし、それは私とノース様が一心同体だからです>
な、なんてことだ。
それじゃあ、僕の考えがナビさんに筒抜けじゃないか……。
<安心して下さい。最低限のプライバシーは守るつもりです。ノース様が考えたことも、ある一定の範囲以内でスルーする予定ですのでご安心下さい>
「いや、安心できないよっ!」
僕がそう叫ぶと、地上に配置しているマッシュルーム・ソルジャーが動き始めた。
「えっ、なんか、マッシュルーム・ソルジャーが勝手に動き始めたんだけどっ!?」
下の光景を見ながらそう叫ぶと、オークの軍勢がキノコ・キャッスルに向かってくるのが見える。
<ふふふっ、どうやらあの豚共、このキノコ・キャッスルを乗っ取る気ですね>
「ええっ!?」
窓の外を見てみるとオークの軍勢がキノコ・キャッスルに向かってくる姿が見える。
「な、なんでそんなことにっ!?」
すると、ナビさんが冷ややかな文字を浮かべる。
<なにを言っているんですか、ナビ達はこの所、この辺り一帯の集落を襲い、モンスターを魔石に変えているんですよ? こんな目立つところに城があれば、それはもう愚鈍な豚達であっても、向かってきますよ>
なにを悠長なことをいっているんだ。
しかし、キノコ・キャッスルを攻めてくるオーク達の相手をせずにはいられない。
ここに、オーク達との戦いが幕を開けた。
キノコ・キャッスルの最上階まで駆け上がり、窓を開いて僕が最初に見たのは、大きな街だった。
「あれが、ウエスト達が向かった街か……」
キノコ・キャッスルの最上階から見る景色は最高だ。ふと、下を見ると、マッシュルーム・ソルジャー達が、城の片隅の土の中に身体を埋めていた。
「あ、あんなに作成したっけ?」
<はい。あんなに作成しました>
「そ、そうなんだ……」
いや、しかし、ここはモンスター跋扈する森の中、万が一の備えは必要だ。
マッシュルーム・ソルジャー達がゴブリン達の集落を壊滅しに回っているように、モンスターが攻めてくるという可能性もある。
そう考えると。戦力はいくらあっても足りないくらいだ。
それにしても……。
最近、誰とも会話という会話をしていないので、少し寂しくなってきた。
<なにをいうのです。私がいるではありませんか>
「いや、まあそうなんだけど、そうじゃないっていうか……久しぶりに人と会話らしい会話をして見たいというか……」
<なるほど、それでは、あとギフトレベルを二段階上げたら、街に行ってみましょう。ナビが街までナビゲートします>
「えっ、いいの?」
ナビさんは『キノコマスター』のナビさんなのに、街までナビゲートしてくれるなんて思いもしなかった。
<はい。街には危険が一杯ですので、ギフトレベルをあと二段階上げることを条件に了承します>
「えっ? そうなの? 教会に行った時はそうは見えなかったけど……。街ってそんなに危険なところなの?」
<はい。街の中には、国家権力によって組織化された暴力装置と呼ばれる者の集団が蔓延っております。それだけではありません。自分の都合のいいように事実を捻じ曲げ、国家権力を行使しようとする権力者や、そんなクズに気に入られようと忖度する役人。はたまた、気に入った女がいれば、無理やり攫おうとする極悪人まで、その全てが混在する場所……それが街というところです>
「し、知らなかった。街ってとっても怖いところなんだね」
<はい。知能を持ったオークの群れが街中にいると考えて頂いても差し支えはありません>
「そ、そうなんだ……」
ウエスト達、大丈夫かな?
優遇ギフトを与えられ、挨拶なしに別れた身だけど元同郷。心配だ。
<しかし、ノース様のギフトレベルがもう二段階上がれば、心配はございません。どのような事態に陥っても問題ないように、万全の状態でノース様を街に送り出すことができます>
流石は『キノコマスター』。
もはや、なんでもありである。
「ちなみに、ギルトレベルはどれくらいで上がりそう?」
<そうですね。あと二十日もあれば、レベルを上げることができるでしょう>
「二十日か……」
街は怖いところのようだけど、なんだか楽しみになってきた。
「それじゃあ、一杯、経験値を稼がないとね」
<はい。この機会にマッシュルーム・エクスカリバーの力も試してみましょう>
「えっ?」
いま、ナビさん。とんでもないことを言わなかっただろうか?
「マッシュルーム・エクスカリバーって、キノコ・ハウスの入り口に刺さっていた剣のことだよね? あの剣を使うの? 僕が?」
<はい。マッシュルーム・エクスカリバーを自在に使うことができれば、最低限の自己防衛にもなりますし、街の暴力装置への牽制にもなります>
「えっ? ナビさん、前にマッシュルーム・エクスカリバーがあれば、空を自在に飛び、海を割ることもできるとか言ってなかった? 街の人達って、そんなに強い人達ばかりなの!?」
<はい。それはもう! 人間の中には単身で龍を軽く屠るほどの者が片手に数えるほど存在します>
片手に数えるほど存在するのっ!?
「で、でも、ナビさん、さっき、街の中にいる人達のことは知能を持ったオークの群れが街中にいると考えてって……」
<……ええっ、その通りです。知能を持ったオークの群れがマッシュルーム・エクスカリバーを持って生活を送っているようなものです!>
「ええっ!? そうなのっ!?」
し、知らなかった。
ということは、実は孤児院の院長もそんな力を持っていたのだろうか!?
<ええ、あの院長、ただ者ではございません>
「ちょっ! ちょっと前から気になっていたけど、なんで、僕の心の中の言葉までわかるのっ!?」
<はい。その通りです。しかし、それは私とノース様が一心同体だからです>
な、なんてことだ。
それじゃあ、僕の考えがナビさんに筒抜けじゃないか……。
<安心して下さい。最低限のプライバシーは守るつもりです。ノース様が考えたことも、ある一定の範囲以内でスルーする予定ですのでご安心下さい>
「いや、安心できないよっ!」
僕がそう叫ぶと、地上に配置しているマッシュルーム・ソルジャーが動き始めた。
「えっ、なんか、マッシュルーム・ソルジャーが勝手に動き始めたんだけどっ!?」
下の光景を見ながらそう叫ぶと、オークの軍勢がキノコ・キャッスルに向かってくるのが見える。
<ふふふっ、どうやらあの豚共、このキノコ・キャッスルを乗っ取る気ですね>
「ええっ!?」
窓の外を見てみるとオークの軍勢がキノコ・キャッスルに向かってくる姿が見える。
「な、なんでそんなことにっ!?」
すると、ナビさんが冷ややかな文字を浮かべる。
<なにを言っているんですか、ナビ達はこの所、この辺り一帯の集落を襲い、モンスターを魔石に変えているんですよ? こんな目立つところに城があれば、それはもう愚鈍な豚達であっても、向かってきますよ>
なにを悠長なことをいっているんだ。
しかし、キノコ・キャッスルを攻めてくるオーク達の相手をせずにはいられない。
ここに、オーク達との戦いが幕を開けた。
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