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2章

1話 夢見る少女

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大好きな童話があった。
弱虫な私を慰めてくれる素敵なお話。

あるところに戦争で両親を亡くした一人ぼっちの女の子がいた。
孤児になった女の子は叔父に引き取られるけど、意地悪な叔父家族に疎まれ、学校にも通わせて貰うことが出来ず、召し使いの様に扱われながら辛い日々を過ごしていた。
そんなある日、女の子は家に忍び込んだいたずら好きの魔法使いの少年と出会い、彼の住む不思議な街へと連れて行かれることになる。
その街では女の子と同じように仲間外れにされてこの街に集まった変り者の住人達が住んでいた。
魔法使いの少年の妹たちや、ドワーフなのにお菓子作りが大好きな男、性格がバラバラな3姉妹の芸人エルフ、部族から追われているひょうきん者のアパパチ族の男とそれを長年匿い続けている落ち目の保安官、サンタクロースの恰好をした泥棒、お金にがめつくずる賢い町長さん。
他にもたくさんの愉快な住人たちが暮らすその街では、変り者同士がぶつかり合い様々なトラブルを巻き起こしていく。
主人公の女の子は変り者の住人達に戸惑いながら魔法使いの少年と2人でトラブルを解決していき、やがて住人達に受け入れられていく。
新しい家族、新しい友達、新しい出合いを経て女の子は叔父家族の下で暮らしていた辛い思い出を風化させていき、明るく逞しく成長していく・・・・そんな物語。

・・・・羨ましかった
物語の中とはいえ逆境から這い上がり、愉快な友達に恵まれていくその女の子に私は憧れ、そして嫉妬した。
本の向こう側の世界はいつだって輝いていた。
そこには私が望む全てがあった。
だけど私を取り巻く世界は灰色で彩りも心を弾ませる音楽もなかった。
私もあの女の子みたいになりたい。

あの女の子みたいに旅に出たい。

あの女の子みたいに沢山の友達が欲しい。

あの女の子みたいに辛い日々を忘れたい。

あの女の子みたいに優しい心を持った強い自分が欲しい。



その女の子の名前は・・・・
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