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大型魔獣処理法
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「俺の土地に倉庫を作りたいんだけど、どうすれば良いかわかる?」
「商業ギルドからの紹介かしらね。あの更地を倉庫にするの?」
「俺に何かあった時に収納庫の中身まで失うのは勿体ないかなと思ってね」
何かの間違いで強い精霊を収納庫の中に入れてしまった時のことを考えると今までのように持ちっぱなしと言うのは怖いから、空いてる土地を倉庫として使おうと考えた。
生きた魔物の処理もこれからは積極的にやっていくつもりだ。
幸い? 雪の精霊の力を手に入れたことで大型魔獣の安全な処理法が思い付いたし後で試してみようと思う。
一部はこれまで通り騎士団に任せるつもりだし、小さいのは今まで通り檻水槽で頼むつもりだ。頼まなくなった理由を訊かれた時に答え難いからね。
「そう言うことなら販売も含めてうちで請け負いましょうか? 貴方が持ってる物が欲しいって父が他の商会に相談されることが時々あるのよ」
「そうなのか? 言ってくれたら良いのに」
「陛下の持ち物に頼み事は出来ないわよ、今回みたいな提案じゃないとね」
俺の立場を理解してる人ほどその辺り厳しいよな。
商家の子供と高位貴族子女より、下位貴族の子供の方がどちらかと言うとゆるい。ドゥーンハルト家の息子ってだけだったらここまでではないんだろうけどな。
「なら頼む。いや、そうだな任せるよ」
「任せる?」
「君の家なら俺を騙そうとはしないだろう? それにこの国で1番俺に詳しい商人は君だからな」
「わかったわ、やってみる」
なんだか決意したような顔をしてるけど、俺には交渉とか無理だから押し付けたのが本音だったり…。
「倉庫の報酬は王国金貨と帝国金貨、もしくは各種素材。販売の方は売った金額の3割くらいで良いかな?」
「3割は貰いすぎでしょ。それと帝国金貨も持ってるの?」
「有るよ、はい」
魔車や魔獣や魚を売った代金として貰ったものだ。
父たちが子供から受け取るほど困っていないし色彩鯉関連のお金が家に入っているので自由にして良いと言うからお金が減らないんだよね。
「帝国古金貨じゃない…」
「帝国古金貨?」
「魔王大戦前に造られたもので今は製造技術が失われているから数に限りが有って出回ることは殆どないのよ」
「そんなに貴重な物なのか」
「お金の価値としては大金貨の10倍でしかないとされているから普通は使われないのよ」
「俺との取引は普通ではなかったと」
「思っていたよりも皇帝の友人と言う立場は重いものなのね」
その後話を聞いていた商家の生徒たちが自分にも見せて欲しいとやってきた。
触っても良いと言ったら隣の子も含めて全員手を洗いに行ったのでそれほどなのかと驚いた。
学校へ通ってこのクラスになって本当に良かったと涙目でお礼を言ってきた子も何人か居て、帝国古金貨の価値がいまいち分からない俺はついていけなかった。
「この大陸の商人はみんな帝国古金貨を手にするのが夢なのよ」
「夢なのか?」
「商人にだけ伝えられる話しを幼い頃から聞かされてるからね」
商人にだけ伝わる話か。
興味はあるが俺は商人ではないからな…。
*
森林の奥まで飛び、木を収納した後穴を掘り土を固める。
そこに水の精霊から手に入れた力を使って水を出しある程度の高さまで溜まったら大型魔獣を落とし、そして雪の精霊から手に入れた力で水を凍らせる。
30分くらい待ってから魔物だけを収納、魔物の状態は死亡で身体は凍っていると言うことはなさそうだ。
氷は1時間後に溶け始めるようにしてあるのでそのうち水になるだろう。
何事もなければこの場所を大型魔獣の処理場に使う予定だ。
実験として小さな魔物を直接凍らせて殺した時は魔物が解けるまで時間掛かるし、溶け出すと変な汁が出たから氷で窒息させることにしたんだ。
解体まで考えると溺死や窒息が処理法には向いている。
「問題は解体なんだよな…」
大型魔獣の安全な処理法は見つかったけど解体は出来ないからなぁ。
ギルドに頼むとしても大型魔獣は倒せるのに小型は檻水槽なのかと言う疑問が出るだろうし…。
作る倉庫の中に解体する場所を作ってもらいギルドに頼らないと言うのはどうだろう。
自分の力で魔物を倒せるようになりました、方法は聞くなで誤魔化せてくれないだろうか?
それで行くか。
陽が傾いてきたのでその日は家に帰り、明日冒険者ギルドへ行くことにする。
昨日考えたがあまり利用してない王都の冒険者ギルドではなく、念の為一番馴染みのあるこの国で最初に拠点とした街のギルドへ向かうことにした。仮に大型魔獣を殺せる力を手にしたとしてもあのギルドなら俺を怖がったりしないと思ったからだ。
精霊の力に身体が馴染んだおかげなのか、王都からここまで3時間くらいで来れるようになっていて驚く。
今なら早朝に出れば帝国日帰りも可能な気がする。
「収納スキルって成長すると中に入った魔物も殺せるようになるんだね」
なんだと。
なるほど知らない人はそう考えるものなのか?
「めんどくさい手順に結構な時間も掛かりますけどね」
「中に入った人を間違って殺さない為には仕方がないんじゃない?」
「そうですね。簡単に殺せては中に入る人も怖いでしょうし」
このギルドはいつも悩みを解決してくれる良いところだと思う。
その日はライナスさんやカチュアさんたちと久しぶり会い、解体した魔物やクラーケン、海の魚を放出してみんなで騒いだ。
ライナスさんに今度来る時は酒買って来いと言われたので次は持って来ようと思う。
「魔王の大陸に美味い酒を作る魔物が居るらしいから取って来いよ」
「行きたくないですよ」
「そりゃそうだぜライナス」
「だよなあ!」
そんな馬鹿みたいなやりとりが楽しい。
やはり俺は貴族に向いていないと思う。
「商業ギルドからの紹介かしらね。あの更地を倉庫にするの?」
「俺に何かあった時に収納庫の中身まで失うのは勿体ないかなと思ってね」
何かの間違いで強い精霊を収納庫の中に入れてしまった時のことを考えると今までのように持ちっぱなしと言うのは怖いから、空いてる土地を倉庫として使おうと考えた。
生きた魔物の処理もこれからは積極的にやっていくつもりだ。
幸い? 雪の精霊の力を手に入れたことで大型魔獣の安全な処理法が思い付いたし後で試してみようと思う。
一部はこれまで通り騎士団に任せるつもりだし、小さいのは今まで通り檻水槽で頼むつもりだ。頼まなくなった理由を訊かれた時に答え難いからね。
「そう言うことなら販売も含めてうちで請け負いましょうか? 貴方が持ってる物が欲しいって父が他の商会に相談されることが時々あるのよ」
「そうなのか? 言ってくれたら良いのに」
「陛下の持ち物に頼み事は出来ないわよ、今回みたいな提案じゃないとね」
俺の立場を理解してる人ほどその辺り厳しいよな。
商家の子供と高位貴族子女より、下位貴族の子供の方がどちらかと言うとゆるい。ドゥーンハルト家の息子ってだけだったらここまでではないんだろうけどな。
「なら頼む。いや、そうだな任せるよ」
「任せる?」
「君の家なら俺を騙そうとはしないだろう? それにこの国で1番俺に詳しい商人は君だからな」
「わかったわ、やってみる」
なんだか決意したような顔をしてるけど、俺には交渉とか無理だから押し付けたのが本音だったり…。
「倉庫の報酬は王国金貨と帝国金貨、もしくは各種素材。販売の方は売った金額の3割くらいで良いかな?」
「3割は貰いすぎでしょ。それと帝国金貨も持ってるの?」
「有るよ、はい」
魔車や魔獣や魚を売った代金として貰ったものだ。
父たちが子供から受け取るほど困っていないし色彩鯉関連のお金が家に入っているので自由にして良いと言うからお金が減らないんだよね。
「帝国古金貨じゃない…」
「帝国古金貨?」
「魔王大戦前に造られたもので今は製造技術が失われているから数に限りが有って出回ることは殆どないのよ」
「そんなに貴重な物なのか」
「お金の価値としては大金貨の10倍でしかないとされているから普通は使われないのよ」
「俺との取引は普通ではなかったと」
「思っていたよりも皇帝の友人と言う立場は重いものなのね」
その後話を聞いていた商家の生徒たちが自分にも見せて欲しいとやってきた。
触っても良いと言ったら隣の子も含めて全員手を洗いに行ったのでそれほどなのかと驚いた。
学校へ通ってこのクラスになって本当に良かったと涙目でお礼を言ってきた子も何人か居て、帝国古金貨の価値がいまいち分からない俺はついていけなかった。
「この大陸の商人はみんな帝国古金貨を手にするのが夢なのよ」
「夢なのか?」
「商人にだけ伝えられる話しを幼い頃から聞かされてるからね」
商人にだけ伝わる話か。
興味はあるが俺は商人ではないからな…。
*
森林の奥まで飛び、木を収納した後穴を掘り土を固める。
そこに水の精霊から手に入れた力を使って水を出しある程度の高さまで溜まったら大型魔獣を落とし、そして雪の精霊から手に入れた力で水を凍らせる。
30分くらい待ってから魔物だけを収納、魔物の状態は死亡で身体は凍っていると言うことはなさそうだ。
氷は1時間後に溶け始めるようにしてあるのでそのうち水になるだろう。
何事もなければこの場所を大型魔獣の処理場に使う予定だ。
実験として小さな魔物を直接凍らせて殺した時は魔物が解けるまで時間掛かるし、溶け出すと変な汁が出たから氷で窒息させることにしたんだ。
解体まで考えると溺死や窒息が処理法には向いている。
「問題は解体なんだよな…」
大型魔獣の安全な処理法は見つかったけど解体は出来ないからなぁ。
ギルドに頼むとしても大型魔獣は倒せるのに小型は檻水槽なのかと言う疑問が出るだろうし…。
作る倉庫の中に解体する場所を作ってもらいギルドに頼らないと言うのはどうだろう。
自分の力で魔物を倒せるようになりました、方法は聞くなで誤魔化せてくれないだろうか?
それで行くか。
陽が傾いてきたのでその日は家に帰り、明日冒険者ギルドへ行くことにする。
昨日考えたがあまり利用してない王都の冒険者ギルドではなく、念の為一番馴染みのあるこの国で最初に拠点とした街のギルドへ向かうことにした。仮に大型魔獣を殺せる力を手にしたとしてもあのギルドなら俺を怖がったりしないと思ったからだ。
精霊の力に身体が馴染んだおかげなのか、王都からここまで3時間くらいで来れるようになっていて驚く。
今なら早朝に出れば帝国日帰りも可能な気がする。
「収納スキルって成長すると中に入った魔物も殺せるようになるんだね」
なんだと。
なるほど知らない人はそう考えるものなのか?
「めんどくさい手順に結構な時間も掛かりますけどね」
「中に入った人を間違って殺さない為には仕方がないんじゃない?」
「そうですね。簡単に殺せては中に入る人も怖いでしょうし」
このギルドはいつも悩みを解決してくれる良いところだと思う。
その日はライナスさんやカチュアさんたちと久しぶり会い、解体した魔物やクラーケン、海の魚を放出してみんなで騒いだ。
ライナスさんに今度来る時は酒買って来いと言われたので次は持って来ようと思う。
「魔王の大陸に美味い酒を作る魔物が居るらしいから取って来いよ」
「行きたくないですよ」
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「だよなあ!」
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やはり俺は貴族に向いていないと思う。
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