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手に入れたスキルを活用しよう
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ガキの頃から一緒に育ち、英雄になろうと誓い合った幼馴染の態度が教会で洗礼を受けた後から一変した。
2ヶ月しか変わらないのに俺を兄と呼んでいたマルコは剣術、いつも俺の影に隠れて周りの顔を伺っていたルビンは体術、俺のお嫁さんになると言っていたサユは魔術のスキルを手に入れた。
俺が戦闘スキルを手に入れたら一緒に冒険者ギルドへ登録しに行こうねと話していたのだが、俺が手に入れたのは収納スキルだった。
収納を手に入れたことを知った俺は、戦利品を持ち帰り安くなってラッキーだなと思ったのだが、幼馴染たちはそう考えなかったらしい。
「戦闘スキルじゃないのかよ、ダッセー」
「荷物持ちとして入れてやるよ、アベル」
「あたしたちの足手まといにならないでよね!」
「収納スキルだったからと言って今までの鍛錬で身に付けた力を失うわけじゃないんだが」
「はあ? 荷物持ちくせに戦う気?」
「馬鹿じゃないの? 」
背負い袋とか気にせず即戦闘に入れるのってメリットあると思うんだけどなぁ、倒した魔物を全部持ち帰ることが出来るのって部位を選んで持ち帰る他の人たちよりも稼げるしさぁ。
泊りがけで行く時に水や食料に野営道具を持ち運ぶ負担が無くなるのも大きいだろ、それらを持って移動する大変さがわからないのか?
う~ん、ごちゃごちゃ言われ続けてる…戦闘スキル持ちじゃないからとか言う理由で不当に分け前とか減らされそうな雰囲気だなこれ。
ここで別れるのもありか、これ以上幼馴染たちの嫌な部分は見たくないしな…。
「わかったよ、俺は冒険者にはならない」
「え?」
「戦い向きのスキルじゃないからな、無理はしないで別な道を探すよ」
「何を言っているんだ?」
「今まで楽しかった、お前らは英雄を目指せよ」
「ま、待って」
「じゃあな、元気で暮らせよ!」
俺は走って教会から離れ、その足で冒険者ギルドに行き登録した。
冒険者にならないと言ったが嘘だ、身分証になるし狩った魔物を売る場所を利用しない手はないからな。有料だが代わりに解体してくれるサービスが有ると知った今は登録しないと言う選択肢は無い。
…後で訊かれたら、お前らと一緒に冒険者登録しないと言う意味だと誤魔化しておこう。
まぁ、このまま別な街へ行くつもりだから村に帰るあいつらと会うことはとうぶん無いけどな。
*
2日間ほど歩いて隣街に着いた。
ここまで来る間に収納スキルを調べたのだが、思った以上に使える物だった。
視界に入っている物なら土に根付いている木以外は生えてる草花でも収納できた。
草がそのまま収納出来ると言うことは当然生き物がそのまま収納可能と言うことで、ツノ兎やら灰色狼なども生きたまま入れられた。今のところ戦って勝てそうにない相手でも収納することで対処出来るのだからこのスキル凄すぎでしょ。
問題があるとすれば、冒険者ギルドで解体してもらう時に暴れられる可能性が有るってことくらいかな? 一匹ずつなら灰色狼倒せるだろうか?
*
「むごい…」
「やったお前が言うなよ」
水の中に鉄の檻を沈めてその中に灰色狼を出したら数分で溺死した。
いや、生きたままなんだけどどうしたら良いかと冒険者ギルドで相談したら、『水に沈めて溺死させてはどうか?』みたいな案を出した職員がいて、『なら念のために檻の中に入れてみては?』と俺が追加で案を出してやってみたんだけど、討伐対象とは言え生き物がもがき苦しみながら死んでいくのを見るのは憂鬱な気分になる。
「あと20匹くらい居るんだけど、どうしますか?」
「傷の無い灰色狼は貴重だがこれを20回も見せられるのはなぁ…」
「は? 何言ってるんですか! 無傷の毛皮ですよ! それを台無しにするって言うんですか!」
ええ…。
俺も解体するおじさんも引いてるのに案内してくれた受付のお姉さんがテンション高めてノリノリなんだが…。
「この時期の毛皮は最高品質なのに討伐部位の牙しか持ち帰らない人達ばかりでたまに丸ごと持ち帰って来ても刃物傷や魔法の跡が付いてて使える部分が少ないし、毛皮目的の依頼だと難易度が上がるので誰もやりたがらないし!」
「あ、はい。続けます」
「お願いしますね!」
受付のお姉さんに、無傷の灰色狼の死体4匹で死亡確認してもらい、俺と解体するおじさんは別室で待機するこたにしました。
出来るだけ現場で倒そう、その為には強くなろうと思った。
灰色狼を全て買い取って貰った代金を見たら生きたまま持って来ても良いかなと考え直したが。
1匹にそこそこの宿屋に朝食付きで2月ほど泊まれる値が付いてそれが17匹分、いきなり小金持ちになってしまった。
毎年この時期に灰色狼を生きたまま捕獲すれば人生安泰なのでは?
******
主人公:アベル
年齢 :12歳
家族 :父母、兄3人妹2人
出身 :農村
スキル:収納庫
戦闘力:英雄を夢見て鍛えていたので12歳にしてはそれなりに戦える
備考 :村では村長くらいしか字の読み書きが出来ないので教えてもらう機会など無くアベルは字が読めない。
収納した物リストを目に表示する機能などがあるのだが字が読めないので今のところあまり役立っていない。
中に入った物を忘れて取り出せなくなる前に字を覚えよう。
2ヶ月しか変わらないのに俺を兄と呼んでいたマルコは剣術、いつも俺の影に隠れて周りの顔を伺っていたルビンは体術、俺のお嫁さんになると言っていたサユは魔術のスキルを手に入れた。
俺が戦闘スキルを手に入れたら一緒に冒険者ギルドへ登録しに行こうねと話していたのだが、俺が手に入れたのは収納スキルだった。
収納を手に入れたことを知った俺は、戦利品を持ち帰り安くなってラッキーだなと思ったのだが、幼馴染たちはそう考えなかったらしい。
「戦闘スキルじゃないのかよ、ダッセー」
「荷物持ちとして入れてやるよ、アベル」
「あたしたちの足手まといにならないでよね!」
「収納スキルだったからと言って今までの鍛錬で身に付けた力を失うわけじゃないんだが」
「はあ? 荷物持ちくせに戦う気?」
「馬鹿じゃないの? 」
背負い袋とか気にせず即戦闘に入れるのってメリットあると思うんだけどなぁ、倒した魔物を全部持ち帰ることが出来るのって部位を選んで持ち帰る他の人たちよりも稼げるしさぁ。
泊りがけで行く時に水や食料に野営道具を持ち運ぶ負担が無くなるのも大きいだろ、それらを持って移動する大変さがわからないのか?
う~ん、ごちゃごちゃ言われ続けてる…戦闘スキル持ちじゃないからとか言う理由で不当に分け前とか減らされそうな雰囲気だなこれ。
ここで別れるのもありか、これ以上幼馴染たちの嫌な部分は見たくないしな…。
「わかったよ、俺は冒険者にはならない」
「え?」
「戦い向きのスキルじゃないからな、無理はしないで別な道を探すよ」
「何を言っているんだ?」
「今まで楽しかった、お前らは英雄を目指せよ」
「ま、待って」
「じゃあな、元気で暮らせよ!」
俺は走って教会から離れ、その足で冒険者ギルドに行き登録した。
冒険者にならないと言ったが嘘だ、身分証になるし狩った魔物を売る場所を利用しない手はないからな。有料だが代わりに解体してくれるサービスが有ると知った今は登録しないと言う選択肢は無い。
…後で訊かれたら、お前らと一緒に冒険者登録しないと言う意味だと誤魔化しておこう。
まぁ、このまま別な街へ行くつもりだから村に帰るあいつらと会うことはとうぶん無いけどな。
*
2日間ほど歩いて隣街に着いた。
ここまで来る間に収納スキルを調べたのだが、思った以上に使える物だった。
視界に入っている物なら土に根付いている木以外は生えてる草花でも収納できた。
草がそのまま収納出来ると言うことは当然生き物がそのまま収納可能と言うことで、ツノ兎やら灰色狼なども生きたまま入れられた。今のところ戦って勝てそうにない相手でも収納することで対処出来るのだからこのスキル凄すぎでしょ。
問題があるとすれば、冒険者ギルドで解体してもらう時に暴れられる可能性が有るってことくらいかな? 一匹ずつなら灰色狼倒せるだろうか?
*
「むごい…」
「やったお前が言うなよ」
水の中に鉄の檻を沈めてその中に灰色狼を出したら数分で溺死した。
いや、生きたままなんだけどどうしたら良いかと冒険者ギルドで相談したら、『水に沈めて溺死させてはどうか?』みたいな案を出した職員がいて、『なら念のために檻の中に入れてみては?』と俺が追加で案を出してやってみたんだけど、討伐対象とは言え生き物がもがき苦しみながら死んでいくのを見るのは憂鬱な気分になる。
「あと20匹くらい居るんだけど、どうしますか?」
「傷の無い灰色狼は貴重だがこれを20回も見せられるのはなぁ…」
「は? 何言ってるんですか! 無傷の毛皮ですよ! それを台無しにするって言うんですか!」
ええ…。
俺も解体するおじさんも引いてるのに案内してくれた受付のお姉さんがテンション高めてノリノリなんだが…。
「この時期の毛皮は最高品質なのに討伐部位の牙しか持ち帰らない人達ばかりでたまに丸ごと持ち帰って来ても刃物傷や魔法の跡が付いてて使える部分が少ないし、毛皮目的の依頼だと難易度が上がるので誰もやりたがらないし!」
「あ、はい。続けます」
「お願いしますね!」
受付のお姉さんに、無傷の灰色狼の死体4匹で死亡確認してもらい、俺と解体するおじさんは別室で待機するこたにしました。
出来るだけ現場で倒そう、その為には強くなろうと思った。
灰色狼を全て買い取って貰った代金を見たら生きたまま持って来ても良いかなと考え直したが。
1匹にそこそこの宿屋に朝食付きで2月ほど泊まれる値が付いてそれが17匹分、いきなり小金持ちになってしまった。
毎年この時期に灰色狼を生きたまま捕獲すれば人生安泰なのでは?
******
主人公:アベル
年齢 :12歳
家族 :父母、兄3人妹2人
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スキル:収納庫
戦闘力:英雄を夢見て鍛えていたので12歳にしてはそれなりに戦える
備考 :村では村長くらいしか字の読み書きが出来ないので教えてもらう機会など無くアベルは字が読めない。
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