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何でそうなる⁉︎

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休憩を終え、せっかくマーレン師がいるからということで、そのままエイディー様たちの魔法の練習をすることになった。
アリシア様は辞退しようとしたけれど、皆の誘いで参加することにしたようだ。
ちなみにマリエルちゃんの特訓はひとまず終了、私は壁作りを頑張ったということで、私たち二人は見学側に回っていた。
魔法が暴発した時を考えて、念のため聖獣の皆様を連れて見学席に移動する。
どうやら、それぞれが得意な攻撃魔法を披露して、マーレン師がアドバイスしていくようだ。

練習を見学しながら、マリエルちゃんが「あっ、セイさんとエイディー様が耳打ちしながら内緒話してる! ぐふふ、この後二人で秘密の特訓ラブ・レッスンを……とか?」とニヤつくのを「マリエルさん、妄想はほどほどにね。じゃないと私、氷魔法の精度を高める練習を始めたくなるかも……」と言って黙らせたりしていた。
マリエルちゃんの膝でくつろいでいたルビィには「何でよ、楽しそうだから続けなさいよ」ってクレームが入ったけど却下却下!
生モノ妄想はほどほどに!

セイの後はアリシア様の番のようだ。
セイはマーレン師の合格をもらったようだけど、その前に魔法を披露したエイディー様は引き続きマーレン師の長~い魔法談義を退屈そうに、隣でロニー様がうんうん、と相槌を打ちながら目を輝かせて聞いているという光景をぼんやりと見つめる。

長い詠唱を唱えるアリシア様を眺めながらマリエルちゃんがため息をついた。
「はあ……なんというか……丸く収まっちゃいましたねぇ」
「そうね、私もちょっとびっくりしてるわ」
アリシア様があんなに可愛らしい方とは思ってもみなかったし。

「正直なところ、アリシア様があんなに素直な方とは……もっと早く解決する方法があったのかもしれないですね」
マリエルちゃんは商人の娘なのに情報収集が足りませんでした、と反省している様子。

「うーん、そもそも私の悪食のことやレイモンド王太子殿下のこととか、誤解を解こうにもきっかけがなかったからねぇ……その点では今回エイディー様の空気を読まなさっぷりが功を奏したというか」
苦笑いで答えると、マーレン師の合格をもらったセイがちょうど私たちのところにやってきて私の隣に座った。
「セイ、お疲れ様」
「ああ、クリステア嬢。エイディーのはわざとみたいだ」
「え?」
どういうこと?

「さっきエイディーに聞いたんだが、幼馴染のアリシア嬢が入学前からエイディーに悪食令嬢だなんて、レイモンド王太子殿下の婚約者にはふさわしくない、貴方も騎士を目指すなら殿下のためを思ってクリステア嬢を排除するために動くべきではないのか⁉︎ と説得してきたんだそうだ」
「ええ……?」
排除って……その割には、エイディー様って初対面からフレンドリーじゃなかった?

「それで、エイディーは実際に本人と話してみないことには……って思って俺たちに話しかけてきたそうだ。あと、聖獣契約者ってところに単純に興味があったらしい」
「ははあ……」
確かに、エイディー様は大型の魔獣に乗って戦う夢を叶えるために情報が欲しいでしょうからね。

「アリシア嬢は昔から強がりで、ついきつい物言いをするけれど、根は優しい子だし、クリステア嬢も噂通りとは限らないから、自分で確かめないとって思ったそうだ。それで、クリステア嬢に話しかけてみたらツンケンしてなくて、普通にいいやつだし、悪食って聞いてたのにメシは美味いしで、これはアリシア嬢の完全な誤解だなと確信したそうだ」
「そ、そうだったの……」

「そうは言っても、クリステア嬢からしてみたらアリシア嬢の態度に思うところはあるだろう、お互いがいないところで片方の誤解を解こうにも相手を庇ってるだけって思われそうだ。だから、今回いい機会だから自分が後でアリシア嬢に怒られてもいいやって思って暴露したんだそうだ」
「ええ……?」

考えてることはアリシア様思いで優しいのに、解決策がダイナミックすぎませんかね、エイディー様⁉︎
「繊細な気遣いを見せながらもやることが脳筋すぎませんか……?」
マリエルちゃんも私と同意見のようだ。
「俺もそう思うが……あいつのそういうところにアリシア嬢も救われている部分もあるんじゃないかな?」
セイは苦笑しながら、白虎様が投げてよこした濡れタオルを危なげなくキャッチし、ゴシゴシと顔を拭いた。

「セイ! 魔法の応用の説明をするってさ!」
「今行く!」
セイはエイディー様がこちらに向かって手招きしながら呼びかけるのに答えると「行ってくる」と言って駆けていった。

「なんだ、さっきの内緒話はそのことかぁ……」
いやマリエルちゃん、何をがっかりしているのかな? ん?
私のアルカイックスマイルを見て、マリエルちゃんが慌てて話題を変える。
「そ、そういえばエイディー様って、アリシア様のこと好きなんですかね?」
「えっ?」

「だってほら、アリシア様のことアリーって愛称で呼ぶくらい親しげだし、クリステア様の誤解を解こうと動いたりしてるし」
「それは確かに……」
「アリシア様は王太子殿下の婚約者になりたがっているし、これはエイディー様の片思いって感じ?」
「そうねぇ……」
エイディー様の行動は好きな子にちょっかいかける男子のようでもあり、世話の焼ける妹のフォローをしているようにも見えるから何とも判断しづらいところよね。

「あら、なんだか面白そうね」
マリエルちゃんの膝の上でうとうとしかけていたルビィが耳を動かして立ち上がった。
「ルビィ?」
「どうやらさっきのことでアリーはエイディーに対してご機嫌ななめのようだし、ワタシたちで二人の仲を取り持つのはど~お?」
ルビィが名案とばかりにウインクした。

「ええ……? それは止めておいた方がよさそうな気が……」
「あら、なんでよ?」
ルビィは私が難色を示したのが不服のようだが、アリシア様みたいなツンギレタイプは周囲が外堀を埋めようとすると頑なに拒んで結果ダメになりそうな気がするのよね。

二人は幼馴染ということもあって、些細なケンカなら仲直りするタイミングなんかも二人のペースにまかせたほうがよさそうじゃない?
どうにも抉れそうなら手助けは必要だとは思うけど……
ルビィにそう説明すると「一理あるわね」と納得してくれた。ホッ。

「じゃあ、とりあえずアリーにそれとなく探りを入れるのはどうかしら? せっかく貴女と和解したことだし、この機会に女子会しましょ!」
「え!」
「女子会⁉︎ わあ、いいですね、それ!」
ルビィの提案にマリエルちゃんが賛同した。
女子会⁉︎ それきっとマリエルちゃんから知識を得たのね?
……ていうか、女子会⁉︎
「……ルビィはその女子会に参加するの?」
「当たり前じゃない」
「そ、そう……」
……女子会⁉︎

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皆様GWはいかがお過ごしでしたでしょうか?
私は久々にのんびりゆったり過ごせました。

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