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二人?の過去
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「はー、美味しかったぁ」
マリエルちゃんが皿洗いをしながら満足そうに言った。
「からあげやポテトサラダを何度もおかわりしていたものね。皆びっくりしてたわよ」
私はマリエルちゃんから皿を受け取っては拭き上げていった。
黒銀や真白は何回も一緒に食事をしたことがあるから驚きはしなかったけれど、白虎様たちは自分の分がなくなるんじゃないかとひやひやしていたみたいだもの。
「あはは……久々のクリステアさんのごはんがいただけるのが嬉しくて、つい……」
「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、これからは毎日のことなんだし」
「そう! これからは毎日のようにクリステアさんのごはんが……ぐふふ」
マリエルちゃん、キャラがブレてきてないかしら? 美少女がそんな笑い方したら台無しじゃないの。
「そうねぇ。マリエルのサラダの盛り付けは素敵だったし、ポテトサラダだったかしら? あれも美味しかったわぁ」
ルビィが機嫌良さそうに拭き終えたお皿を転移魔法で食器棚に片付ける。器用ね……
「ルビィ、ポテトサラダはマヨが決め手なんですよ! すなわちマヨが至高!」
皿を洗い終えたマリエルちゃんが濡れた手を拭っていた手拭いをグッと握りしめ、力説した。
いやどんだけマヨ推しなの。
「ルビィ、マヨネーズには卵が使われていたけれど、大丈夫でした?」
ルビィは基本野菜しか食べないと言っていたので気になった。
美味しそうに全部平らげていたから大丈夫だとは思うけれど。
「ああ、あれくらいなら全然気にならないし、美味しかったわよ? むしろ、マリエルの言う通りあれはマヨネーズがないと美味しくないんじゃないの?」
「ええまあ……」
「じゃあいいじゃない。ワタシ、美味しくないものはちゃんと美味しくないって言うから平気よ」
マッシュポテトと他の野菜をあわせた時点で
ルビィ用に取り分けるべきだったかなと反省していたところだったから少し安心した。
……美味しくないって言われないように気をつけよう。私が平気じゃないから。
「もう! ルビィったら、クリステアさんの料理が美味しくないわけがないじゃないですか! そんなこと言うなら私の料理を食べさせますからね! ……うぅ、どんな罰ゲーム……!」
……マリエルちゃん、自分で言って傷つくのはやめよう?
「よしっと、これで片付けるお皿は最後かしら?」
ルビィはお皿に触れてもいないのに、パンパンと手……じゃない、前足を叩いた。
「ええ。お手伝いありがとう。それで、あの……ルビィに聞きたいことがあって」
「あら、ワタシに? 何かしら?」
ルビィがこてん、と首を傾げる。
可愛いー! ……っと、いけない。つい。
「輝夜のことなんですけど」
気を取り直してコホンと咳払いをしてから切り出した。
「ああ、あの間抜けな猫のこと?」
ルビィったら、ナチュラルに毒舌を吐くわね……
「間抜けかどうかはともかく。輝夜とは知り合いなんですか?」
私が質問すると、ルビィは一瞬きょとんとした様子を見せたものの、すぐにお腹を抱えて笑い出した。
「アッハハハ! あー、可笑しい。やぁねぇ、知り合いとかそんなんじゃないわよ。ただ、以前あの姿になる前に私を狙って襲いかかってきたから返り討ちにしてやったってだけの話よ」
ケタケタとひとしきり笑ったあと、ようやく落ち着いた様子のルビィがふふん、と鼻を鳴らしながら答えた。
「えっ、輝夜がルビィを?」
以前の姿というと、私と出会う前の話だけど何だか申し訳ない気持ちになる。
「ええそう。私はカーバンクルだから、人からも魔獣からも狙われやすいのよねぇ」
ルビィの説明によると、十年ほど前に契約主が亡くなってからしばらくの間はあてもなく国中を旅して回っていたそう。
そして数年前、旅の途中で魔獣姿の輝夜と遭遇し、ルビィのことを食べようと襲いかかってきたところを、魔法で翻弄させまくった挙句、輝夜の縄張りから遠く離れた地に強制的に転移させたんですって。
「うふふっ、転移先は魔獣だらけで、いつもどこかしらで命を狙われるような場所だったから命からがらに逃げ出したんじゃないのかしら? よく生きてたわねって思ったくらいよ~」
え、えげつな……
「ワタシの魔石を食べて力をつけようと思ったんでしょうけど、カーバンクルを舐めんじゃないわよってのよねぇ」
オーホホホと高笑いするルビィに私とマリエルちゃんは思わず顔をひきつらせた。
ルビィの話によると、時期的にどうやら私と魔獣契約を結ぶ少し前の出来事だったみたいで、輝夜が魔獣だらけの場所からどうにか逃げ切ったところに、お兄様やレイモンド王太子殿下が遠乗りにやってきた。そして、これ幸いと二人に襲いかかって食べようとしたものの、二人に持たせたお弁当にこもった私の魔力の気配に惹かれて、お兄様を泳がせて私の元へやってきた、と。
あの時の輝夜は魔力的にもかなりギリギリだったみたいだから、お兄様やレイモンド王太子殿下が襲われなかったのは本当に運が良かったんだわ。
私の魔力が美味しそうだったからよかったのね。ちょっと複雑だけど。
「ええと……輝夜がご迷惑をおかけしたようで……」
「あら、貴女と契約する前の話なんだから、貴女が気にすることなんてないのよ。それにワタシも暇つぶしだと思ってつい遊んじゃったしぃ?」
じゃあね~と部屋に戻るルビィとマリエルちゃんに挨拶をしてから私も自室へ向かう。
ルビィに出会ってからの輝夜って散々だったみたい。
明日の朝ごはんにはおかかを追加してあげようと決めた私なのだった。
マリエルちゃんが皿洗いをしながら満足そうに言った。
「からあげやポテトサラダを何度もおかわりしていたものね。皆びっくりしてたわよ」
私はマリエルちゃんから皿を受け取っては拭き上げていった。
黒銀や真白は何回も一緒に食事をしたことがあるから驚きはしなかったけれど、白虎様たちは自分の分がなくなるんじゃないかとひやひやしていたみたいだもの。
「あはは……久々のクリステアさんのごはんがいただけるのが嬉しくて、つい……」
「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、これからは毎日のことなんだし」
「そう! これからは毎日のようにクリステアさんのごはんが……ぐふふ」
マリエルちゃん、キャラがブレてきてないかしら? 美少女がそんな笑い方したら台無しじゃないの。
「そうねぇ。マリエルのサラダの盛り付けは素敵だったし、ポテトサラダだったかしら? あれも美味しかったわぁ」
ルビィが機嫌良さそうに拭き終えたお皿を転移魔法で食器棚に片付ける。器用ね……
「ルビィ、ポテトサラダはマヨが決め手なんですよ! すなわちマヨが至高!」
皿を洗い終えたマリエルちゃんが濡れた手を拭っていた手拭いをグッと握りしめ、力説した。
いやどんだけマヨ推しなの。
「ルビィ、マヨネーズには卵が使われていたけれど、大丈夫でした?」
ルビィは基本野菜しか食べないと言っていたので気になった。
美味しそうに全部平らげていたから大丈夫だとは思うけれど。
「ああ、あれくらいなら全然気にならないし、美味しかったわよ? むしろ、マリエルの言う通りあれはマヨネーズがないと美味しくないんじゃないの?」
「ええまあ……」
「じゃあいいじゃない。ワタシ、美味しくないものはちゃんと美味しくないって言うから平気よ」
マッシュポテトと他の野菜をあわせた時点で
ルビィ用に取り分けるべきだったかなと反省していたところだったから少し安心した。
……美味しくないって言われないように気をつけよう。私が平気じゃないから。
「もう! ルビィったら、クリステアさんの料理が美味しくないわけがないじゃないですか! そんなこと言うなら私の料理を食べさせますからね! ……うぅ、どんな罰ゲーム……!」
……マリエルちゃん、自分で言って傷つくのはやめよう?
「よしっと、これで片付けるお皿は最後かしら?」
ルビィはお皿に触れてもいないのに、パンパンと手……じゃない、前足を叩いた。
「ええ。お手伝いありがとう。それで、あの……ルビィに聞きたいことがあって」
「あら、ワタシに? 何かしら?」
ルビィがこてん、と首を傾げる。
可愛いー! ……っと、いけない。つい。
「輝夜のことなんですけど」
気を取り直してコホンと咳払いをしてから切り出した。
「ああ、あの間抜けな猫のこと?」
ルビィったら、ナチュラルに毒舌を吐くわね……
「間抜けかどうかはともかく。輝夜とは知り合いなんですか?」
私が質問すると、ルビィは一瞬きょとんとした様子を見せたものの、すぐにお腹を抱えて笑い出した。
「アッハハハ! あー、可笑しい。やぁねぇ、知り合いとかそんなんじゃないわよ。ただ、以前あの姿になる前に私を狙って襲いかかってきたから返り討ちにしてやったってだけの話よ」
ケタケタとひとしきり笑ったあと、ようやく落ち着いた様子のルビィがふふん、と鼻を鳴らしながら答えた。
「えっ、輝夜がルビィを?」
以前の姿というと、私と出会う前の話だけど何だか申し訳ない気持ちになる。
「ええそう。私はカーバンクルだから、人からも魔獣からも狙われやすいのよねぇ」
ルビィの説明によると、十年ほど前に契約主が亡くなってからしばらくの間はあてもなく国中を旅して回っていたそう。
そして数年前、旅の途中で魔獣姿の輝夜と遭遇し、ルビィのことを食べようと襲いかかってきたところを、魔法で翻弄させまくった挙句、輝夜の縄張りから遠く離れた地に強制的に転移させたんですって。
「うふふっ、転移先は魔獣だらけで、いつもどこかしらで命を狙われるような場所だったから命からがらに逃げ出したんじゃないのかしら? よく生きてたわねって思ったくらいよ~」
え、えげつな……
「ワタシの魔石を食べて力をつけようと思ったんでしょうけど、カーバンクルを舐めんじゃないわよってのよねぇ」
オーホホホと高笑いするルビィに私とマリエルちゃんは思わず顔をひきつらせた。
ルビィの話によると、時期的にどうやら私と魔獣契約を結ぶ少し前の出来事だったみたいで、輝夜が魔獣だらけの場所からどうにか逃げ切ったところに、お兄様やレイモンド王太子殿下が遠乗りにやってきた。そして、これ幸いと二人に襲いかかって食べようとしたものの、二人に持たせたお弁当にこもった私の魔力の気配に惹かれて、お兄様を泳がせて私の元へやってきた、と。
あの時の輝夜は魔力的にもかなりギリギリだったみたいだから、お兄様やレイモンド王太子殿下が襲われなかったのは本当に運が良かったんだわ。
私の魔力が美味しそうだったからよかったのね。ちょっと複雑だけど。
「ええと……輝夜がご迷惑をおかけしたようで……」
「あら、貴女と契約する前の話なんだから、貴女が気にすることなんてないのよ。それにワタシも暇つぶしだと思ってつい遊んじゃったしぃ?」
じゃあね~と部屋に戻るルビィとマリエルちゃんに挨拶をしてから私も自室へ向かう。
ルビィに出会ってからの輝夜って散々だったみたい。
明日の朝ごはんにはおかかを追加してあげようと決めた私なのだった。
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