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勝ち取らねば!
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私たちは輝夜を部屋に残して食堂代わりの会議室へ向かった。
室内に入ると、ニール先生やセイたちは先に食べ始めていたので、とりあえずミリアを紹介しておくことにした。
「皆様、今日から侍女のミリアが私の世話係として参りましたのでよろしくお願いいたしますね」
「ミリアと申します。よろしくお願いいたします」
深々と礼をしたミリアを見たニール先生がふと気づいたような顔をした。
「よろしく……あれ? 君、確か何年か前の卒業生だよね? 珍しくミセス・ドーラと仲がいい生徒がいたから覚えがあるよ」
「ええ、ミセス・ドーラにはとてもよくしていただきました」
おお、聖獣や魔獣にしか興味の無さそうなニール先生が覚えてるくらいだから、ミセス・ドーラとはかなり懇意にしていたのかもしれないね。
私がアイテムボックスから料理を取ろうとすると、ミリアが「それは私が」と遮り、席へ誘導した。
うーん……これが貴族として普通のこととはいえ、ここは学生寮だし、自分でできることはやらないとだよねぇ。ミリアはいつご飯食べるの? って話にもなるし。
……あとでミリアと業務内容を相談しなきゃだわ。
「そういえばクリステア嬢、今日はお疲れ様」
「あ……っ、こちらこそ本日は同行いただいてありがとうございました」
ニール先生にお礼を言うのを忘れていた私は慌ててニール先生にそう返した。
「いやいや。僕は連れて行っただけだからねぇ。今度是非お父上とお話がしたいと伝えてもらえたら嬉しいな」
……それって、あれでしょ?
レオン様のお話しが聞きたいなって、そう言うことでしょ? 多分、無理だよ。
「え……ええ、父に伝えておきますね。ただ、父も忙しいものですからお会いできるかどうかは……」
……お父様の引きっぷりを思うに、実現しなさそうだけど。
「まあ、公爵様だから忙しいだろうねぇ。まあ、ダメ元で聞いておいてよ」
「は、はあ……」
ニール先生のメンタルの強さたるや、見習わないといけないわ……
ああそうだ。厨房について話しておかなくちゃ。
「あの、ミセス・ドーラで思い出したのですが、特別寮の厨房のことなのですけれど……」
「うん?」
「厨房を使いたいのですが」
「……解体したいものがあるのかい?」
ちっがあああぁう!
「いえ、料理するために厨房を使いたいのです」
激しく突っ込みたい気持ちを抑えつつ、努めてにっこりと笑顔で答える。
「ミリアくんが作るってことかな? えーと……先日も言ったと思うけど、今は……」
「解体に使ってらっしゃるんですよね? 存じております。ミセス・ドーラに相談しましたところ、ニール先生から明け渡していただくようにとのお話がありまして」
「ええー⁉︎」
ええー? じゃないよ、もう!
元は厨房なんだからね⁉︎
「あそこが使えないと解体に困るんだけどなぁ……」
ニール先生は頭をポリポリとかいて困りきった様子だ。だけど、こちらとしても厨房があるならぜひそこを使わせていただきたい。
本来厨房は掃除しやすいよう、排水施設や水回りがちゃんとしているから、それを一から作るのはコストがかかるんだもの。
そういう点で解体部屋にもちょうどいいってのはよくわかるけど……
「我が家では裏庭を解体場にしておりましたけど、ここではそういうわけにはいきませんか?」
「外だと生徒に見られた時騒がれて大変なんだよねぇ」
「ああ……」
それは確かに。でもここ、一般の生徒は来ないよね?
「寮の裏庭なら人目につかぬのではないか? 」
私の隣で様子を見ていた黒銀が突然割って入った。
「えっ? えーと、うん、まぁできなくもないね。でも雨の日に困るから……」
「ならば、雨をしのぐために屋根でもつければよかろう」
ゴニョゴニョと渋る様子のニール先生に対して、黒銀がビシッと指摘する。
「あーうん、屋根ね、うん。予算がどうかなぁ……?」
「それなら我が家で寄付します!」
ハイッ! と私はすかさず答える。
小屋とまではいかなくても雨風しのげる程度のものなら、私のレシピで稼いだポケットマネーでもなんとかなりそうだし。
なんなら、土魔法で壁と屋根を作っちゃうもんね!
「ええぇ……うん、はい。わかりました」
なおも渋る様子のニール先生を黒銀や真白が睨みつけたことで、ニール先生の解体部屋は厨房として元の姿に戻ることになったのだった。
やったー!
「では、ニール先生。できるだけ早めに解体の荷物などを片付けてくださいね?」
「えー……はい。頑張ります」
白黒コンビの圧で再びしおしおになったニール先生を見て気の毒とは思うけど、私、やりました!
私とニール先生とのやりとりを黙って見ていたセイが苦笑していたり、白虎様と朱雀様が満面の笑顔で私を見ていたのは、気にしないでおこう……
---------------------------
ミセス・ドーラとミリアのお話は、文庫版一巻の書き下ろしで、おまけの番外編として掲載されております。気になる方はぜひ読んでみてくださいね( ´ ▽ ` )
---------------------------
現在四巻の書籍化が7月末に発売予定で進行中です。
それに伴い7月15日頃に該当話を引き下げいたします。
その他詳細については、近況ページやTwitterにて情報解禁、またはわかり次第、随時お知らせ予定ですので、よろしくお願いいたします( ´ ▽ ` )
引き下げまで残りあと数日ですので読み返しておきたい方はお早めに!
室内に入ると、ニール先生やセイたちは先に食べ始めていたので、とりあえずミリアを紹介しておくことにした。
「皆様、今日から侍女のミリアが私の世話係として参りましたのでよろしくお願いいたしますね」
「ミリアと申します。よろしくお願いいたします」
深々と礼をしたミリアを見たニール先生がふと気づいたような顔をした。
「よろしく……あれ? 君、確か何年か前の卒業生だよね? 珍しくミセス・ドーラと仲がいい生徒がいたから覚えがあるよ」
「ええ、ミセス・ドーラにはとてもよくしていただきました」
おお、聖獣や魔獣にしか興味の無さそうなニール先生が覚えてるくらいだから、ミセス・ドーラとはかなり懇意にしていたのかもしれないね。
私がアイテムボックスから料理を取ろうとすると、ミリアが「それは私が」と遮り、席へ誘導した。
うーん……これが貴族として普通のこととはいえ、ここは学生寮だし、自分でできることはやらないとだよねぇ。ミリアはいつご飯食べるの? って話にもなるし。
……あとでミリアと業務内容を相談しなきゃだわ。
「そういえばクリステア嬢、今日はお疲れ様」
「あ……っ、こちらこそ本日は同行いただいてありがとうございました」
ニール先生にお礼を言うのを忘れていた私は慌ててニール先生にそう返した。
「いやいや。僕は連れて行っただけだからねぇ。今度是非お父上とお話がしたいと伝えてもらえたら嬉しいな」
……それって、あれでしょ?
レオン様のお話しが聞きたいなって、そう言うことでしょ? 多分、無理だよ。
「え……ええ、父に伝えておきますね。ただ、父も忙しいものですからお会いできるかどうかは……」
……お父様の引きっぷりを思うに、実現しなさそうだけど。
「まあ、公爵様だから忙しいだろうねぇ。まあ、ダメ元で聞いておいてよ」
「は、はあ……」
ニール先生のメンタルの強さたるや、見習わないといけないわ……
ああそうだ。厨房について話しておかなくちゃ。
「あの、ミセス・ドーラで思い出したのですが、特別寮の厨房のことなのですけれど……」
「うん?」
「厨房を使いたいのですが」
「……解体したいものがあるのかい?」
ちっがあああぁう!
「いえ、料理するために厨房を使いたいのです」
激しく突っ込みたい気持ちを抑えつつ、努めてにっこりと笑顔で答える。
「ミリアくんが作るってことかな? えーと……先日も言ったと思うけど、今は……」
「解体に使ってらっしゃるんですよね? 存じております。ミセス・ドーラに相談しましたところ、ニール先生から明け渡していただくようにとのお話がありまして」
「ええー⁉︎」
ええー? じゃないよ、もう!
元は厨房なんだからね⁉︎
「あそこが使えないと解体に困るんだけどなぁ……」
ニール先生は頭をポリポリとかいて困りきった様子だ。だけど、こちらとしても厨房があるならぜひそこを使わせていただきたい。
本来厨房は掃除しやすいよう、排水施設や水回りがちゃんとしているから、それを一から作るのはコストがかかるんだもの。
そういう点で解体部屋にもちょうどいいってのはよくわかるけど……
「我が家では裏庭を解体場にしておりましたけど、ここではそういうわけにはいきませんか?」
「外だと生徒に見られた時騒がれて大変なんだよねぇ」
「ああ……」
それは確かに。でもここ、一般の生徒は来ないよね?
「寮の裏庭なら人目につかぬのではないか? 」
私の隣で様子を見ていた黒銀が突然割って入った。
「えっ? えーと、うん、まぁできなくもないね。でも雨の日に困るから……」
「ならば、雨をしのぐために屋根でもつければよかろう」
ゴニョゴニョと渋る様子のニール先生に対して、黒銀がビシッと指摘する。
「あーうん、屋根ね、うん。予算がどうかなぁ……?」
「それなら我が家で寄付します!」
ハイッ! と私はすかさず答える。
小屋とまではいかなくても雨風しのげる程度のものなら、私のレシピで稼いだポケットマネーでもなんとかなりそうだし。
なんなら、土魔法で壁と屋根を作っちゃうもんね!
「ええぇ……うん、はい。わかりました」
なおも渋る様子のニール先生を黒銀や真白が睨みつけたことで、ニール先生の解体部屋は厨房として元の姿に戻ることになったのだった。
やったー!
「では、ニール先生。できるだけ早めに解体の荷物などを片付けてくださいね?」
「えー……はい。頑張ります」
白黒コンビの圧で再びしおしおになったニール先生を見て気の毒とは思うけど、私、やりました!
私とニール先生とのやりとりを黙って見ていたセイが苦笑していたり、白虎様と朱雀様が満面の笑顔で私を見ていたのは、気にしないでおこう……
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ミセス・ドーラとミリアのお話は、文庫版一巻の書き下ろしで、おまけの番外編として掲載されております。気になる方はぜひ読んでみてくださいね( ´ ▽ ` )
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現在四巻の書籍化が7月末に発売予定で進行中です。
それに伴い7月15日頃に該当話を引き下げいたします。
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引き下げまで残りあと数日ですので読み返しておきたい方はお早めに!
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