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それぞれの成長 パーティー編
閑話 面倒見の良い二人(1)
しおりを挟む一週間前――。
アルネスダンジョン十階層の主部屋。一面真っ白な、立方体の内側のようなその部屋で、三人の若い冒険者が階層主であるホブゴブリンと対峙していた。
ミリー、オライアス、トロアのパーティーである。
ミリーは、成人男性と体格の変わらないホブゴブリンの周囲を素早く駆け回りながら、両手に持ったナイフで斬りつけていく。一五〇センチにやっと届いた小柄な体格を活かして、対処しにくい低い位置から斬撃を繰り出す。
だが、目に見えて浅い。ホブゴブリンの肌に浅く傷をつけるだけ。加えて、戦闘視野の配慮もまだ未熟。取り敢えず速く攻撃しさえすれば良いという考えで動いている為、ホブゴブリンの動きに注意できていない。
更には、声掛け。戦闘開始から三分が過ぎようとしているにも拘らず、未だに一言も発していない。弟のオライアスは大剣を構えたまま動けず、トロアも下手に【石弾】を撃ち込めばミリーに当たる危険がある為、戦闘に参加できずにいた。
そんな三人の姿を、壁に背を預けて眺める二人がいる。
クロエとナッシュだ。
クロエは腕を絡めるようにして愛槍を抱え、ナッシュは腕組みしている。二人に共通しているのは、無表情であるということ。二人は、ミリーたちのパーティーの引率役を買って出た振りをして、内実、処遇の見極めにきていた。
「ナッシュ、どうすんだい?」
「駄目だな。指示した鍛練はしっかりやってたみたいだが、戦い方がお粗末すぎる」
「私も同意見だよ。じゃあ、連れてくってことで良いね?」
「ああ、ミリーとオライアスは、お前とビンゴのおっさんに任せる」
二人は、トロア絡みで目を掛けるようになったミリーのパーティーを避難させることを決めた。駄目で元々のつもりだったが、やはり肩は落ちた。
ノッゾのパーティーが魔物化した一件から不穏な気配は感じていたものの、その後、ヒューガの口から伝えられたのがアルネスの街での集団魔物化の危惧。
この先、猫の手も借りたくなるのが目に見えているので、戦い方次第では戦力として加えるつもりでいたが、とてもではないが参加させることはできないと判断した。
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