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それぞれの成長 元戦乙女隊編

5.凸凹フィットアドベンチャーと家電系術師(1)

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 坑道の脇にある岩を背もたれにして、悪ガキ共が出てくるのを待つ。その間、小腹が空いたので【異空収納】からホットドッグを取り出してかぶりつく。

 暇がなくてケチャップが作れていないが、サルサソースらしきものは作れているので代用。腸詰めが噛み切れるときのポクッと小気味良い音、滲み出るあぶら、みじん切りにして水に晒した玉ねぎのシャキシャキした歯触りと甘み。

 後からくるピリッとした辛味と、香辛料の風味を楽しみつつ、昼食前のちょっとした軽食を済ませる。

 うむ、我ながら上出来。

 水球で喉を潤し、うんうん頷く。それから近くに設けられている洗い場を勝手に使わせてもらいケツミガキで歯を磨く。

 そういや今朝は磨いてなかったな、と思いながら口をゆすぎ、顔を洗い、手拭いで拭き取る。使った物はすべて【殺菌光】で滅菌処理してから【異空収納】に収める。

 本当に便利な術を開発したものだと思う。あとはウォシュレットが完成すれば完璧なのだが、ジェット噴射で空を飛ぶ夢を見てから怖くて研究を一時停止している。尻に受けた水圧で空など飛びたくはない。どうでもいいな。

 三十分ほど過ぎたが、悪ガキ共は出てきていない。一体いつまで粘る気なのかと辟易しながら待つ。一時間経っても出てこなかったらこっちから入ってやろう。

 そんな風に思った矢先に、なんだか騒がしくなった。出入口からドワーフの鉱夫が次々に駆け出してくる。皆一様に慌てている。

 あの悪ガキ共、また何かやったな、と目尻が痙攣。坑道に追い込んだのは失敗だったかと出入口に向かうと、焦ったような声が掛かった。

「おい、兄ちゃん、駄目だ! 行くんじゃねえ!」

「危ねぇぞ! 戻れ! 死んじまう!」

 出てきた鉱夫ドワーフたちが、戻ってこいと手招きする。

「何があったんですかー?」

「いいから離れろ! 馬鹿ガキ共が竜神様の怒りに触れたんだ!」

「早くそこから離れろ! 浄化の息吹がくるぞ!」

 浄化の息吹?

 それは一体なんぞやと出入口の脇で首を傾げたところで、轟々と鳴った。何の音だと坑道を覗き見ると、奥から炎が押し寄せてきていた。

「なあっ――⁉」

 俺は咄嗟に脇へと飛び退いた。

 轟っと一段と大きな音が鳴り、出入口から炎が噴き出す。五メートルは離れたのだが、それでも熱風が肌を撫でにやってきた。

 十秒ほど、視界は赤々としていた。それがおさまってからも、しばらく俺は動けなかった。悪ガキ共のことで頭が真っ白になっていた。


 
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