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それぞれの成長 パーティー編

18.マーダードールベアーズアトラクション(3)

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 セカンドステージはボルダリング。カラフルなホールドが大量に付いているが、ダミーがあるようで、悪い手本を見せている小型のマーダードールベアは何度もホールドが抜けて落下しスタート地点に戻っている。

 ボフン、トテトテという感じで可愛らしいが、それは飽くまでぬいぐるみだから。生き物ではそうはいかない。芝生が真っ赤になるだろう。

 俺たちなら死にはしないだろうけど……。怪我はまぬがれないな……。

「五十メートルはあるよな」

 サクちゃんが壁を見上げて呟く。上に向かうにつれ、手前にせり出すような傾斜がついている。ゴール地点はその先にある。

「フィル、腕力は大丈夫か?」

「それだけだと無理だね。術でどうにかしてみるよ」

 今回は落下する可能性を考慮し、しょぱなをフィルに行かせた。下からどこにホールドがあるかサクちゃんと二人で教える。

 ふと気づき、探知を使ってみたところ、抜けるホールドの判別ができた。やはり罠扱いになっていると解釈する。

 サクちゃんに黙ってもらい、俺がホールドを指示。

「右の紫色! そうそれ! あっ——」

 フィルの手が滑り、壁から離れて仰向けになる。

「フィル!」

 サクちゃんと叫び声が重なる。俺はすぐに助けに向かおうとしたが、フィルは突風に押し返されて壁に戻った。命綱代わりに【風壁】を張っていたようだと覚る。

「あっ、危ねー……」

「マ、マジで心臓やられるよこれ……」

 ごめーん! というフィルの声が上から降ってくる。いや、無事なら良いよ。

 冷や汗たらたらの展開だったが、十分ほどかけてどうにかゴールした。

「よし、次は俺だな。見てて思ったが、やる方が気楽だな」

「ハハハ、それはそうかもね。でも油断しないでよ」

「しろって方が無理だろ。逆に気負いすぎんように気をつける」

 二番手はサクちゃん。俺が探知で罠ホールドを教え、五分とかからずゴール。長い手足と身体能力の高さが存分に発揮されていた。

 最後は俺とサブロ。最初のホールドを掴んだ時点から【浮遊】を発動し、サブロを抱っこした状態でゴール。

 サクちゃんとフィルからズルいとなじられたが「サブロがいるのにどうしろってのさ」と言うと「それもそうか」と納得した。物分かり良いよね。助かる。

 ラストステージは百メートル先まで続く一本のロープを綱渡り。ご丁寧に熊型の可愛らしい看板に距離の表示付き。

 下は二十五メートル区切りで変化。最初はファーストステージ同様の泡立つ紫色の沼。五十メートル地点までは緑の芝生が広がる地面。

 その先から七十五メートル地点までが槍の並んだ串刺し地帯で、そこからゴールまではうごめくマグマのプールが待ち受ける。

 ファーストステージから思っていたが、多大な命の危険をはらんだアトラクション。一体どこの誰が何の為にこんな悪趣味なものを作ったのか。

 ん? 命の危険?

 俺は顎に手を遣る。意図を考えれば辻褄が合う。
 
 
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