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それぞれの成長 パーティー編

14.ダンジョンはゲーム感覚で入る場所ではない(3)

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 ということで、俺たちは従魔の勾玉を求めてダンジョンに向かった。

 転移先は四十階層のA地点。主のいる階層だけ転移先が二箇所ある。B地点は階層主を倒した後に入る階段部屋に隣接している転移部屋。

 そこから主の部屋に戻ることはできないので、各階層に用意されているのと同じ、中間地点にある転移部屋に移動するという説明をフィルから受けた。

「てことは、マーダードールベアを倒した後は、B地点から一回外に出て、またA地点に転移して、階層主の部屋まで向かってって感じ?」

「僕もそれを訊いたんだけど、奥に進まないで、入った場所から出ればすぐに再戦できるらしいよ。扉を閉めた瞬間に階層主が復活してるんだって」

「なんというか、聞けば聞くほどゲームだよな。ダンジョンがなければ、そんな風には思わんかったんだろうが」

「何を今更。ステボがある時点で、俺たちからすると十分ゲームでしょ」

 A地点から転移後、談笑しながら階層主の部屋に向かう。

 今回はサクちゃんが率先して【光球】を使い、探知も練習がてら行うと言うので任せた。お陰で俺は【冷涼薄霧】だけで済んだが、ふと疑問が湧く。

「そういやフィルって探知使ってるところ見たことない気がするんだけど?」

「それは、ヤスヒトが任せろって言ってくれてたからね。一応、使えはするよ。半径三十メートルくらいまでならカバーできる。けど、罠までは無理。魔物とか人の気配を察知するので精一杯かな」

「俺も罠は無理だ」

 え⁉ 何そのカミングアウト⁉

「サクちゃん⁉ それ先に言おうよ⁉」

 慌てて探知を発動。目の前の床にスイッチらしきものがあるのを捉える。だが時既に遅し。先頭を歩いていたサクちゃんがしっかりと踏んでしまった。

「サクちゃんストップ!」

 俺の大声でサクちゃんが動きをピタリと止める。

「な、何だ? もしかしてやらかしたか? なんか足元が凹んだんだが」

 サクちゃんが引き攣った横顔を俺に向ける。罠は発動していない。おそらく足を退けた途端に何らかの攻撃が始まる。

 俺は罠の探知はできるが、ヤス君と違って罠の種類までは分からない。当然、解除もできない。

「ど、どうすりゃいい?」

 俺は瞑目して溜め息を吐く。

「フィルよ、俺は今必死に記憶を辿っているところなんだが、床のスイッチで即時発動しない罠って何があったか覚えてるか?」

「地雷、だね」

 血の気が引く。フィルもサクちゃんも顔が真っ青になっている。

 取り敢えず俺とフィルは距離をとる。サブロも抱っこして一緒に。

「お、おい⁉ なんで離れる⁉」

「そんなの、巻き込まれない為に決まってるじゃないか。小規模の爆発だけど、近くにいたら僕たちまで怪我をするかもしれないんだからね」

「サクちゃん、君には選択肢が二つある。一つは足を上げて爆発のダメージを受け、回復術に頼る。一つは飛び退いて爆発のダメージを受け、回復術に頼る」

「どっちも変わんねーじゃねーかバカヤロー! なんとかしてくれ!」
 
 
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