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新しい剣

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 シンが目を覚ますと、タイミング良く朝食を運ぶフェルトがやってくる。
「あ、目が覚めたんですね。
 怪我の具合はどうです?」
 歩き続けて疲労は大きかったが、傷は思った以上に治りが早い。
 肩を回しても痛みを感じず、今すぐにでも剣を振れそうなほどだった。
「それは良かった。
 パティがずっと付き添ってたみたいですし、そのおかげですかね?
 君が寝ている横で不貞腐れている姿が想像できますよ」
 フェルトはシンの顔をみてクスクスと笑っている。
 近くには『好きに使え』という書きなぐったメモ書きとマナの感じられる一本の剣。
 調子が悪いというのに、わざわざ拵えたのだろう。
 シンにも簡単に扱えるほどに細いそれを渡そうとしていたが、昨晩はタイミングを逃したのだろう。
 そう思うとシンもおかしく感じてしまい表情が緩むのだった。

 フェルトと食事を終え、シンは気になっていたことを聞いてみる。
「そういえばパティはどこに行ってるの?」
「3人でダンジョンに向かいましたよ?
 なんでもゴリアテを残してきたのは失敗だったとかなんとか」
「どういうことなんだろう……?
 食べ物は置いてきたし、別に慌てて助けに向かわなくても……あっ!」
 シンはゲイルやヴァルの言葉を思い出す。
 調べたいことがあるからコアを壊さずに一旦戻るのだと。
 もしもゴリアテが正気を取り戻して帰還しようと思ったら?
 危険な3階層を通るよりも、まずはコアを破壊して魔物の消滅を待つだろうか?
 もしかしたら、どの程度の時間で魔物やダンジョンが消えるのかもわからないので、安全のために小部屋にこもっている可能性はある。
 きっとそれを確認しに向かったのだろう。
 シンは少し悩んだが、強い魔族の2人がいるのだから自分が何かできることなど無いのだろうと思い町に戻ることにした。
「そういえば、パティが新しい魔道具を借りていくって言ってましたよ。
 銃なんかに頼ってないで身体も鍛えろーって言っておけって。
 やっ、私の意見じゃないですからねっ」
 フェルトからそれを聞くと、やはりパティはお怒りのようにも感じられてしまうシン。
 話の途中で疲れて寝てしまい、だからこそ体力をーーなんて言ってきたのだろう。
「せっかく剣も渡されたんだし、使わなきゃだよねぇ。
 そんなに遠くないし、僕も運動がてら魔物退治しながら戻ることにするよ」
 せっかくお金を貯めて買ったグラビティソードだったが、シンには少し重いと感じていた。
だから銃に心移りした、というわけではないが、たしかに使用頻度は減っていたのだ。
 力をつけ、更には自分の力で剣の強化を施したい。
 そうしてまた思い入れのあるグラビティソードを使ってやろうと。
 そう決意をしたシンであった。
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