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第2章 精霊王
26話 魔剣
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ソフィアとの突如戦闘となってしまい、しかも威圧だけで俺たちは逃げ腰になっていた。
「な、なぁシュウはよ射ってもてや!」
ローズが怯えながら訴える。
こちらに視線を向けるソフィア。ゆっくりと近づいて来る。
「ふふっ、面白いおもちゃですね…どうぞ射たせてあげましょう」
ゆっくり、そして優しい口調でこちらに声をかけるソフィア。
俺は後退りしながらも矢を射ったのだが、ソフィアに当たるとまるで解けるかのように消えて行く。
赤い矢も、白い矢も、橙の矢も…全ての攻撃が無駄に終わるのだった。
「なめるなぁっ!」
横からピルスルが飛び出し短剣で斬りつけるのだったが。
わずかばかりの傷を与えたと思うと、すぐに傷が治ってしまう。
俺の後ろからも幾度か魔法や矢が飛んで来るのだが、それらもやはり意味を成していない。
「もう…終わりかぇ?そのおもちゃはガラクタじゃな」
そう言い終わると、ソフィア皆の武器を次々と壊していく。
ガラクタがガラクタになったところで何も変わるまい、と。
「あぁそうそう、皆さま先程から魔法など使われておりましたが。
私は戦の大精霊ソフィア、四大属性や小細工などは一切通りません。
ただ純粋な力のみの戦いを望んでいるのです」
魔法や不思議な力などはすべてソフィアを前に消えてしまうのだと言った。
「嘘やん…こんなん勝てへんよ…」
そしてローズが真っ先に戦意を完全に失っていた。
とは言っても、皆が同じ状況だと言える。
武器も破壊し尽くされ魔法は効かない。戦う術がない…。
「何か…何か無いのか?」
インベントリを覗くと、以前俺たちに振りかけられた薬が一瓶…。
これをかければ弱体化もあり得るか…?
そう思い、藁にもすがる気持ちで取り出すと同時に、ソフィアの口元がニヤけるのが見える。
「ふふっ、私が王に授けたものを何故あなたが持っているのでしょうね?
なかなか面白いじゃないですか」
『どうぞ使ってください、無駄ですけど』ソフィアはそう告げる。
「くそっ…ここで終わりなのかよ…」
「大丈夫ですよ、お仲間達…いえ全人類がすぐにあなた方のもとへ参りますから」
こんな奴になす術なく殺される…。
まぁ仕方ないだろう、次元が違いすぎる。
だが、可能性だけは全て試さなくてはな…。
インベントリにはピルスル用の武器と魔剣、スケルトンからドロップした長剣が約8000。これで武器すべてだ。
とにかくピルスルには武器を渡す。
かなり性能は良いのだが別段能力も無い。能力など付いていても無駄なのだからむしろ丁度いいじゃないか…。
長剣を数本出して後ろに投げ捨てる、こっちはついでだ。勝手に拾え。
それぞれが構え直してソフィアに立ち向かうが、それを見たソフィアもまた笑い出す。
「あっはっはっは、…いやごめんなさいね
力の差を見せつけられ尚抵抗するものだと思っていなかったものですので」
俺もまた装飾の綺麗な剣を取り出し構え直す。
攻撃力10のレギが買ってくれた魔剣だ。
『もう飽きたわ、さようなら』と言いソフィアが手に力を集めている。
俺とピルスルは…ガムシャラに剣を振るうのだった。
その瞬間…。
「キャアァァァァアアア!」
一帯に甲高い声が響き渡る。
ソフィアの手から放たれた真空波が軌道を外れ、遠くの木々をなぎ倒す。
何が起きた?助けでもきたのか?
しかし周りには誰もおらず、俺たちはまた別の混乱を引き起こす。
「お主…それは魔剣か…?」
ならばそれで奴を始末してしまえ、とピルスル。
そんなこと言ってもこれはたかだか攻撃力10の剣、これでどうにかなるとは思えなかったのだ…が。
「貴様…どこでそのような武器を…
言い終わらないうちに俺が斬りつけると、ソフィアは周囲を震わせながら…。
消えて言ったのだった。
生きた心地がしなかった。
それは俺だけではなく戦いに慣れているピルスルもまた例外ではない。
「この剣に精霊を倒す力でもあったってことか…?」
しげしげと剣を見つめる。
うーん、何か能力があったようにも思えないんだが…鑑定すっか。
【魔剣キルディクス:攻撃力6056、倒した魔物の力を吸収し成長する、使用する者を選ぶため低レベルの者ではその身を拝むことすら叶わない、適正レベル25】
「…」
『あー!?私の剣!!』ミドが気付き叫ぶ。
やっぱり買いに行った剣ってこれなのか…まぁそうだと思っていたけれど。
ともかく今はそんな事はどうでも良かった。
助かったという気持ちと、武器をほとんど壊されてしまい悲しんでいる様子。
ミドの持っていた弓も王家に伝わる良いものだったそうで『お爺様、申し訳ありません…』と泣いていたようだ。
落ち着きを取り戻し、街に戻ろうという時にミドが再び魔剣の話をする。
「なぁミド、お前はこれ抜けるのか?」
なので俺は、鞘付きのままこれを渡してみたのだ。
「なんで?剣じゃん抜けないと使えないっしょ」
と、言いながら力を込める…が抜けない。
「なにこれ?!変なの!」
レベル25にならないと抜けないんだろうな多分…じゃあ25になったら渡せってのも面倒だしなぁ…。
「これは振るう者を選ぶ剣だそうだ、俺は手に取った瞬間に抜けることがわかった
だから買わせてもらったまでだ」
「あ、私も抜け…
「ちょっとレギ君あっち行こうか…」
「な、なぁシュウはよ射ってもてや!」
ローズが怯えながら訴える。
こちらに視線を向けるソフィア。ゆっくりと近づいて来る。
「ふふっ、面白いおもちゃですね…どうぞ射たせてあげましょう」
ゆっくり、そして優しい口調でこちらに声をかけるソフィア。
俺は後退りしながらも矢を射ったのだが、ソフィアに当たるとまるで解けるかのように消えて行く。
赤い矢も、白い矢も、橙の矢も…全ての攻撃が無駄に終わるのだった。
「なめるなぁっ!」
横からピルスルが飛び出し短剣で斬りつけるのだったが。
わずかばかりの傷を与えたと思うと、すぐに傷が治ってしまう。
俺の後ろからも幾度か魔法や矢が飛んで来るのだが、それらもやはり意味を成していない。
「もう…終わりかぇ?そのおもちゃはガラクタじゃな」
そう言い終わると、ソフィア皆の武器を次々と壊していく。
ガラクタがガラクタになったところで何も変わるまい、と。
「あぁそうそう、皆さま先程から魔法など使われておりましたが。
私は戦の大精霊ソフィア、四大属性や小細工などは一切通りません。
ただ純粋な力のみの戦いを望んでいるのです」
魔法や不思議な力などはすべてソフィアを前に消えてしまうのだと言った。
「嘘やん…こんなん勝てへんよ…」
そしてローズが真っ先に戦意を完全に失っていた。
とは言っても、皆が同じ状況だと言える。
武器も破壊し尽くされ魔法は効かない。戦う術がない…。
「何か…何か無いのか?」
インベントリを覗くと、以前俺たちに振りかけられた薬が一瓶…。
これをかければ弱体化もあり得るか…?
そう思い、藁にもすがる気持ちで取り出すと同時に、ソフィアの口元がニヤけるのが見える。
「ふふっ、私が王に授けたものを何故あなたが持っているのでしょうね?
なかなか面白いじゃないですか」
『どうぞ使ってください、無駄ですけど』ソフィアはそう告げる。
「くそっ…ここで終わりなのかよ…」
「大丈夫ですよ、お仲間達…いえ全人類がすぐにあなた方のもとへ参りますから」
こんな奴になす術なく殺される…。
まぁ仕方ないだろう、次元が違いすぎる。
だが、可能性だけは全て試さなくてはな…。
インベントリにはピルスル用の武器と魔剣、スケルトンからドロップした長剣が約8000。これで武器すべてだ。
とにかくピルスルには武器を渡す。
かなり性能は良いのだが別段能力も無い。能力など付いていても無駄なのだからむしろ丁度いいじゃないか…。
長剣を数本出して後ろに投げ捨てる、こっちはついでだ。勝手に拾え。
それぞれが構え直してソフィアに立ち向かうが、それを見たソフィアもまた笑い出す。
「あっはっはっは、…いやごめんなさいね
力の差を見せつけられ尚抵抗するものだと思っていなかったものですので」
俺もまた装飾の綺麗な剣を取り出し構え直す。
攻撃力10のレギが買ってくれた魔剣だ。
『もう飽きたわ、さようなら』と言いソフィアが手に力を集めている。
俺とピルスルは…ガムシャラに剣を振るうのだった。
その瞬間…。
「キャアァァァァアアア!」
一帯に甲高い声が響き渡る。
ソフィアの手から放たれた真空波が軌道を外れ、遠くの木々をなぎ倒す。
何が起きた?助けでもきたのか?
しかし周りには誰もおらず、俺たちはまた別の混乱を引き起こす。
「お主…それは魔剣か…?」
ならばそれで奴を始末してしまえ、とピルスル。
そんなこと言ってもこれはたかだか攻撃力10の剣、これでどうにかなるとは思えなかったのだ…が。
「貴様…どこでそのような武器を…
言い終わらないうちに俺が斬りつけると、ソフィアは周囲を震わせながら…。
消えて言ったのだった。
生きた心地がしなかった。
それは俺だけではなく戦いに慣れているピルスルもまた例外ではない。
「この剣に精霊を倒す力でもあったってことか…?」
しげしげと剣を見つめる。
うーん、何か能力があったようにも思えないんだが…鑑定すっか。
【魔剣キルディクス:攻撃力6056、倒した魔物の力を吸収し成長する、使用する者を選ぶため低レベルの者ではその身を拝むことすら叶わない、適正レベル25】
「…」
『あー!?私の剣!!』ミドが気付き叫ぶ。
やっぱり買いに行った剣ってこれなのか…まぁそうだと思っていたけれど。
ともかく今はそんな事はどうでも良かった。
助かったという気持ちと、武器をほとんど壊されてしまい悲しんでいる様子。
ミドの持っていた弓も王家に伝わる良いものだったそうで『お爺様、申し訳ありません…』と泣いていたようだ。
落ち着きを取り戻し、街に戻ろうという時にミドが再び魔剣の話をする。
「なぁミド、お前はこれ抜けるのか?」
なので俺は、鞘付きのままこれを渡してみたのだ。
「なんで?剣じゃん抜けないと使えないっしょ」
と、言いながら力を込める…が抜けない。
「なにこれ?!変なの!」
レベル25にならないと抜けないんだろうな多分…じゃあ25になったら渡せってのも面倒だしなぁ…。
「これは振るう者を選ぶ剣だそうだ、俺は手に取った瞬間に抜けることがわかった
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「ちょっとレギ君あっち行こうか…」
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