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流されやすいのかも
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※※※
「って言ったのに、忙しくてデートの予定が取れないんだ」
ハナの部屋の真ん中で、弦人が悔しそうに言った。
「その前に、勝手に部屋に入るの、やめてもらっていいですか」
ハナは迷惑そうな顔を隠さない。
その日、買い物から帰ってきたハナが部屋に入ると、部屋の真ん中で寛ぐ弦人と、部屋の隅にジッと立っている市原がいたので、一瞬悲鳴を上げかけたのだった。
「大体、忙しいのに何でここにくる暇はあるんですか」
「仕事の合間を縫って来てるんだよ。まとまったデートの時間が取れないの」
弦人は不貞腐れたように言った。
「嫌だなぁ。今日なんて、これから別の組の組長の所に行かなきゃだめなんだよー。あの人怖いんだよなぁ。ヤクザみたいな威嚇してくるのやめてほしいんだよね。おかしいでしょ」
ヤクザがヤクザみたいな威嚇する事の何がおかしいのだろうか、とハナは思ったが、何も言わないでおいた。
「ま、そんなわけで、纏まったデートの時間取れないから、せめてこうしてたまに部屋に来てもいいよね?部屋ならお店の人達の目につかないもんね?」
「隣の部屋に同じお店で働くキャストがいますよ」
「カンナちゃんだっけ?あの子は大丈夫でしょ。前のデートの時だって協力してくれてたし」
弦人の言葉に、そうだけど、ハナは小さく呟いた。
「あ、もう行く時間だ。じゃあハナちゃん、また後でねー」
さっさと立ち上がって部屋を出ていこうとする弦人に、ハナは慌てて言った。
「待って。部屋に勝手に入るの、許可してないですからね!」
「許可?必要ないでしょ?」
あっさりと言い放つ弦人に、ハナは一瞬怯んでしまった。
そのまま弦人は市原を引き連れて出ていった。
「必要無いわけないじゃん……」
そう言ったハナの反論は、一切弦人には届かなかった。
こうして、弦人は時間の合間を見つけては、ハナの部屋に寄るようになった。
初めは弦人がいるのが嫌で堪らなかったハナだったが、別に何をされるでもなくするわけでもなく、ただ部屋でゴロゴロと寛ぎながらたまによくわからない仕事の愚痴のようなものを垂れ流しているだけなので、すぐに慣れてなんとも思わなくなってきてしまった。
むしろ、来たら一緒にお茶を飲むくらいの余裕まで出てきた。
「私って、流されやすいのかもしれない」
ハナはふと呟いた。
「流されやすいって?」
部屋でゴロゴロしていた弦人が聞き返した。
「だって、こんなの絶対に嫌だったはずなのに、強引に居座られたらこうして受け入れちゃってるから。ちゃんと拒否らなきゃだめなのに」
ハナはボソボソと答えた。
弦人は身体を起こして、ハナに近寄った。
「それはつまり、もう少し押せば、ハナちゃん俺の彼女になる決心つくって事?」
「それだけは無いです」
ハナがキッパリと言うので、弦人は不貞腐れた。
「思わせぶりな事言わないでよー」
「思わせぶりなことなんで一言も言ってません」
ハナは近寄ってきた弦人から身体を離した。
「何度も言ってますが、私には彼氏がいるんです。他の人の彼女になりません」
「もう暫く連絡が取れていない彼氏?それって、自然消め……」
ハナは弦人が言い切る前に耳を塞いだ。
「聞かないふりする気?」
「どうとでも思って結構です」
ハナはそっぽを向いた。
ハナは隼を信じていた。
必ず生きていて、また自分に会いに来てくれると。
数日後、ある話を耳にするまでは。
「って言ったのに、忙しくてデートの予定が取れないんだ」
ハナの部屋の真ん中で、弦人が悔しそうに言った。
「その前に、勝手に部屋に入るの、やめてもらっていいですか」
ハナは迷惑そうな顔を隠さない。
その日、買い物から帰ってきたハナが部屋に入ると、部屋の真ん中で寛ぐ弦人と、部屋の隅にジッと立っている市原がいたので、一瞬悲鳴を上げかけたのだった。
「大体、忙しいのに何でここにくる暇はあるんですか」
「仕事の合間を縫って来てるんだよ。まとまったデートの時間が取れないの」
弦人は不貞腐れたように言った。
「嫌だなぁ。今日なんて、これから別の組の組長の所に行かなきゃだめなんだよー。あの人怖いんだよなぁ。ヤクザみたいな威嚇してくるのやめてほしいんだよね。おかしいでしょ」
ヤクザがヤクザみたいな威嚇する事の何がおかしいのだろうか、とハナは思ったが、何も言わないでおいた。
「ま、そんなわけで、纏まったデートの時間取れないから、せめてこうしてたまに部屋に来てもいいよね?部屋ならお店の人達の目につかないもんね?」
「隣の部屋に同じお店で働くキャストがいますよ」
「カンナちゃんだっけ?あの子は大丈夫でしょ。前のデートの時だって協力してくれてたし」
弦人の言葉に、そうだけど、ハナは小さく呟いた。
「あ、もう行く時間だ。じゃあハナちゃん、また後でねー」
さっさと立ち上がって部屋を出ていこうとする弦人に、ハナは慌てて言った。
「待って。部屋に勝手に入るの、許可してないですからね!」
「許可?必要ないでしょ?」
あっさりと言い放つ弦人に、ハナは一瞬怯んでしまった。
そのまま弦人は市原を引き連れて出ていった。
「必要無いわけないじゃん……」
そう言ったハナの反論は、一切弦人には届かなかった。
こうして、弦人は時間の合間を見つけては、ハナの部屋に寄るようになった。
初めは弦人がいるのが嫌で堪らなかったハナだったが、別に何をされるでもなくするわけでもなく、ただ部屋でゴロゴロと寛ぎながらたまによくわからない仕事の愚痴のようなものを垂れ流しているだけなので、すぐに慣れてなんとも思わなくなってきてしまった。
むしろ、来たら一緒にお茶を飲むくらいの余裕まで出てきた。
「私って、流されやすいのかもしれない」
ハナはふと呟いた。
「流されやすいって?」
部屋でゴロゴロしていた弦人が聞き返した。
「だって、こんなの絶対に嫌だったはずなのに、強引に居座られたらこうして受け入れちゃってるから。ちゃんと拒否らなきゃだめなのに」
ハナはボソボソと答えた。
弦人は身体を起こして、ハナに近寄った。
「それはつまり、もう少し押せば、ハナちゃん俺の彼女になる決心つくって事?」
「それだけは無いです」
ハナがキッパリと言うので、弦人は不貞腐れた。
「思わせぶりな事言わないでよー」
「思わせぶりなことなんで一言も言ってません」
ハナは近寄ってきた弦人から身体を離した。
「何度も言ってますが、私には彼氏がいるんです。他の人の彼女になりません」
「もう暫く連絡が取れていない彼氏?それって、自然消め……」
ハナは弦人が言い切る前に耳を塞いだ。
「聞かないふりする気?」
「どうとでも思って結構です」
ハナはそっぽを向いた。
ハナは隼を信じていた。
必ず生きていて、また自分に会いに来てくれると。
数日後、ある話を耳にするまでは。
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