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第四章
試練お手伝い交渉1
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「お待ちしておりました」
ちゃんと話し合ってルフォンの同意も得られた。
また結婚しろとか言うのなら怒るけど周りに助けもいない困ってる女の子をルフォンも放ってはおけない。
サキュルラストの力になろうと決めてから2日後にリュードたちは再び領主の城を訪れた。
開かれた門の前で例の執事がすでにリュードたちを待っていた。
「ずっとここでお待ちに?」
「もちろんでございます。いつ来られるか分かりませんから」
軽い冗談に軽い冗談で返してくる。
まさか本当ではないだろうと思うけれど表情はあまり冗談を言っているように見えないから分かりにくい。
「ずっと待ってるわけがないから……」
それにしても結構遠くから城は見えていたのにリュードがついた時にはピッと執事は立っていた。
流石にずっと待っていたなんてあり得ないからどこかのタイミングで出てきたのだろうけど、どこでリュードが来ると分かったのか。
ちょっとだけ疑問に思ったけれど細かく聞くのも怖い気がしてリュードは気にしないことにした。
やると決めた次の日ではなくさらに1日空けて2日後に訪れたのは準備を整えていたからである。
本来は宿でも取ってちょっとのんびりと町の様子でも見ながら次に行く道を調べる予定だった。
食料品や消耗品の買い出しもするつもりだった。
ところがついて初日にレヴィアンに絡まれて、次にサキュルラストに絡まれることになった。
そのためにその日は宿を取ることでいっぱいになってしまった。
考えていた旅の準備などを何一つ出来ずにこのまま行くことはできなかった。
大人の試練でどこに行くのかも分からないけどそこら辺でやれることでもなさそうだし最低限の準備は必要だと判断した。
なので1日かけて旅の準備を整えてからサキュルラストのところに来たのである。
大きな町の方が大体物価が安く物も良いので補給を後回しでいたので買い物に時間もかかってしまった。
何か美味いものでも食べるつもりだったのにお店をちゃんと調べる時間もなかった。
「うむ、よく来てくれた!」
通されたのはサキュルラストの執務室だった。
大きなデスクが2つ置いてあり、姉であるレストもサキュルラストの職務を補助していた。
やってきたリュードを見てサキュルラストが破顔する。
断られる可能性など微塵も考えていない笑顔である。
「それで、受けてくれるのか?」
「ああ、一応はそのつもりだ」
「本当か!?」
「ただし大人の試練についてもうちょっとちゃんと話を聞かせてもらうことや俺にウソをつかないことが条件だ」
ある程度の話は聞いたけどまだ詳細な話も聞いていない。
細かな条件によってはここから断ることもあるだろう。
乗り越えられないものは試練でもなんでもないから出来ることをさせられるのだろうが、したくもないことをやるつもりはない。
人の道を外れたことやルフォンを裏切るようなことはリュードは絶対にやらない。
あとは複雑な事情が多そうだけどそれを一々秘密にされては対応に遅れが出る可能性がある。
言いたくもないようなことを無理矢理聞き出したりはしないけれどウソをつかれては困る。
「分かった。
大人の試練といっても難しい内容じゃないよ。
今年の大人の試練は要するに魔物を倒せばいいんだ」
大人の試練も時代ごと、あるいは1年ごとにでも変わる。
はるか昔、国になる前はバラバラだった血人族の各氏族のところに行って証をもらうことが大人の試練だった。
単にくれば渡してくれる人もいた時もあるし何かしらの条件を課す人もいた。
戦って認められなきゃいけないなんて条件を出す人もいて非常に困難な時代もあった。
各々の氏族長が出してくる大人の試練は内容がバラバラで個人的な好みや恨みといった受ける側にはどうしようもない問題で均一な内容ではなかった。
では今はどうなのか。
国として血人族はそれぞれの氏族という形はありながらも単一の国家のもとに統一されている。
大人の試練という風習も血人族の中では受け継がれてきて、今では国が執り行っている。
けれどリュードたちのように年を跨げば何歳というような一斉に同一年齢とみなすシステムはなく、大人の試練をする年齢になると国の方からこれがあなたの大人の試練ですよと指定される。
人数が多ければ何人かの試験監督を設けて戦って自分の力を証明させるような試練もある。
過去には多くの人が同時期に大人の試練を受けることになったのでそのための大規模な施設を設けたこともあった。
今でも大人の試練のために使われたり、子供の訓練用に利用されることもあるのだけどサキュルラストの大人の試練はダンジョン攻略と魔物討伐だった。
魔物の討伐は今では大人の試練として一般的な方法で指定の場所に行き、付近にいる魔物を討伐することが試練となっている。
ダンジョン攻略も魔物と戦う点では魔物討伐と変わりはないがちゃんとボスを倒すことが必要となる。
ダンジョン攻略は一般的な方法ではなかったけれど他に大人の試練を受ける人がいなければ魔物討伐よりも管理はしやすい。
ティアローザにはダンジョンが多いというのも大人の試練でダンジョンを使える理由の1つであった。
魔物を倒すだけなら分かりやすい。
リュードもその方が得意でうってつけの内容である。
ちゃんと話し合ってルフォンの同意も得られた。
また結婚しろとか言うのなら怒るけど周りに助けもいない困ってる女の子をルフォンも放ってはおけない。
サキュルラストの力になろうと決めてから2日後にリュードたちは再び領主の城を訪れた。
開かれた門の前で例の執事がすでにリュードたちを待っていた。
「ずっとここでお待ちに?」
「もちろんでございます。いつ来られるか分かりませんから」
軽い冗談に軽い冗談で返してくる。
まさか本当ではないだろうと思うけれど表情はあまり冗談を言っているように見えないから分かりにくい。
「ずっと待ってるわけがないから……」
それにしても結構遠くから城は見えていたのにリュードがついた時にはピッと執事は立っていた。
流石にずっと待っていたなんてあり得ないからどこかのタイミングで出てきたのだろうけど、どこでリュードが来ると分かったのか。
ちょっとだけ疑問に思ったけれど細かく聞くのも怖い気がしてリュードは気にしないことにした。
やると決めた次の日ではなくさらに1日空けて2日後に訪れたのは準備を整えていたからである。
本来は宿でも取ってちょっとのんびりと町の様子でも見ながら次に行く道を調べる予定だった。
食料品や消耗品の買い出しもするつもりだった。
ところがついて初日にレヴィアンに絡まれて、次にサキュルラストに絡まれることになった。
そのためにその日は宿を取ることでいっぱいになってしまった。
考えていた旅の準備などを何一つ出来ずにこのまま行くことはできなかった。
大人の試練でどこに行くのかも分からないけどそこら辺でやれることでもなさそうだし最低限の準備は必要だと判断した。
なので1日かけて旅の準備を整えてからサキュルラストのところに来たのである。
大きな町の方が大体物価が安く物も良いので補給を後回しでいたので買い物に時間もかかってしまった。
何か美味いものでも食べるつもりだったのにお店をちゃんと調べる時間もなかった。
「うむ、よく来てくれた!」
通されたのはサキュルラストの執務室だった。
大きなデスクが2つ置いてあり、姉であるレストもサキュルラストの職務を補助していた。
やってきたリュードを見てサキュルラストが破顔する。
断られる可能性など微塵も考えていない笑顔である。
「それで、受けてくれるのか?」
「ああ、一応はそのつもりだ」
「本当か!?」
「ただし大人の試練についてもうちょっとちゃんと話を聞かせてもらうことや俺にウソをつかないことが条件だ」
ある程度の話は聞いたけどまだ詳細な話も聞いていない。
細かな条件によってはここから断ることもあるだろう。
乗り越えられないものは試練でもなんでもないから出来ることをさせられるのだろうが、したくもないことをやるつもりはない。
人の道を外れたことやルフォンを裏切るようなことはリュードは絶対にやらない。
あとは複雑な事情が多そうだけどそれを一々秘密にされては対応に遅れが出る可能性がある。
言いたくもないようなことを無理矢理聞き出したりはしないけれどウソをつかれては困る。
「分かった。
大人の試練といっても難しい内容じゃないよ。
今年の大人の試練は要するに魔物を倒せばいいんだ」
大人の試練も時代ごと、あるいは1年ごとにでも変わる。
はるか昔、国になる前はバラバラだった血人族の各氏族のところに行って証をもらうことが大人の試練だった。
単にくれば渡してくれる人もいた時もあるし何かしらの条件を課す人もいた。
戦って認められなきゃいけないなんて条件を出す人もいて非常に困難な時代もあった。
各々の氏族長が出してくる大人の試練は内容がバラバラで個人的な好みや恨みといった受ける側にはどうしようもない問題で均一な内容ではなかった。
では今はどうなのか。
国として血人族はそれぞれの氏族という形はありながらも単一の国家のもとに統一されている。
大人の試練という風習も血人族の中では受け継がれてきて、今では国が執り行っている。
けれどリュードたちのように年を跨げば何歳というような一斉に同一年齢とみなすシステムはなく、大人の試練をする年齢になると国の方からこれがあなたの大人の試練ですよと指定される。
人数が多ければ何人かの試験監督を設けて戦って自分の力を証明させるような試練もある。
過去には多くの人が同時期に大人の試練を受けることになったのでそのための大規模な施設を設けたこともあった。
今でも大人の試練のために使われたり、子供の訓練用に利用されることもあるのだけどサキュルラストの大人の試練はダンジョン攻略と魔物討伐だった。
魔物の討伐は今では大人の試練として一般的な方法で指定の場所に行き、付近にいる魔物を討伐することが試練となっている。
ダンジョン攻略も魔物と戦う点では魔物討伐と変わりはないがちゃんとボスを倒すことが必要となる。
ダンジョン攻略は一般的な方法ではなかったけれど他に大人の試練を受ける人がいなければ魔物討伐よりも管理はしやすい。
ティアローザにはダンジョンが多いというのも大人の試練でダンジョンを使える理由の1つであった。
魔物を倒すだけなら分かりやすい。
リュードもその方が得意でうってつけの内容である。
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