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第一章
伝えられぬ思い2
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「ぐうっ」
槍を横にして柄の真ん中で押し出すようにリュードの腹に当てる。
柄がグリっと当たり意外と痛い。
そのまま反動を活かしてテユノは距離をとる。
また距離が空いて仕切り直しになる。
変則的で柔軟、とてもやりにくい。
努力と才能、両方が見える。
リュードとてやられっぱなしとはいかない。
テユノの突きをかいくぐり再び間合いを詰める。
テユノも負けじと再び距離を詰め、リュードの距離にはさせないようにする。
左利きのテユノは右手が前になるように槍を構えている。
リュードは両手で持っていた剣から左手を放し、近づいてきたテユノの右手を槍ごと包み込むようにつかんだ。
リュードが左手を持ち上げるようにしてテユノを引き寄せると2人がほとんど密着する形になる。
テユノはルフォンよりも身長が高くてルフォンならリュードの胸に飛び込むことになるけれど、テユノ相手に密着するほど距離が近くなると互いの顔に息がかかるようになる。
「はなっ……ちかっ、きゃあああっ!」
掴まれた右手からリュードに視線を移すと真正面の近いところにリュードの顔があった。
ブワッと頭に血が上り顔が真っ赤に染まる。
けれどリュードは一瞬早く動き出し、それに気づくことなかった。
腰に手を回して抱きかかえるようにしてテユノの体を巻き込みながら足を払う。
体が硬直していたテユノは面白いほど簡単にリュードに投げられた。
多少力任せだったけれど別のことに気がいっていたテユノは何の抵抗もできなかった。
「俺の勝ち……でいいか?」
世界が回って、気づいたらリュードの剣が目の前に突きつけられていた。
「…………そうね」
「……テユノ、お前、泣いて……」
「泣いてなんかない、バカ!」
「あぶな! おい、おい!」
テユノは槍をリュードに投げつけ走り去っていってしまった。
槍投げのようにしっかりと投げられて槍先は真っ直ぐリュードに飛んでいって危うく刺さりかけた。
チラッと見えたテユノは泣いているようだった。
急に勝負を仕掛けてきたと思ったら怪我をさせたいのかさせたくないのかよく分からない攻撃、しまいに負けて泣き出すとは全くリュードは理解が追いつかない。
「あーあ、泣かせ、うげっ」
ウォーケックが冷やかしルーミオラに足を踏まれる。
「リューちゃんの変態……」
ルフォンはルフォンで何故か機嫌が悪い。
「とりあえずテユノを追いかけるか……」
いつの間にか物見客までいる状況。
原因がなんであれ自分が関わっていることは確実なのでテユノを追いかけようとした時、何者かがリュードの肩を掴んだ。
「モテるのは仕方ないわ。でも女の子泣かせちゃダメよ?」
危険なオーラを感じたリュードは逃げたい気持ちに駆られるがガッシリと肩を掴まれていて動くことができない。
「そ、そうだね……だから追いかけ……」
「テユノちゃんなら今はそっとしておいてあげなさい。それにちょっとあなたにお灸を据えてあげなきゃいけないわね」
仕掛けられたのは自分だし、それに応じただけなのに。
そんな理不尽な思いを抱え、この日リュードはボロボロになるまで魔人化したメーリエッヒにしごかれた。
「鈍いのも行き過ぎると罪なのよ」
「何が……悪いのか……」
「それが悪いのよ」
槍を横にして柄の真ん中で押し出すようにリュードの腹に当てる。
柄がグリっと当たり意外と痛い。
そのまま反動を活かしてテユノは距離をとる。
また距離が空いて仕切り直しになる。
変則的で柔軟、とてもやりにくい。
努力と才能、両方が見える。
リュードとてやられっぱなしとはいかない。
テユノの突きをかいくぐり再び間合いを詰める。
テユノも負けじと再び距離を詰め、リュードの距離にはさせないようにする。
左利きのテユノは右手が前になるように槍を構えている。
リュードは両手で持っていた剣から左手を放し、近づいてきたテユノの右手を槍ごと包み込むようにつかんだ。
リュードが左手を持ち上げるようにしてテユノを引き寄せると2人がほとんど密着する形になる。
テユノはルフォンよりも身長が高くてルフォンならリュードの胸に飛び込むことになるけれど、テユノ相手に密着するほど距離が近くなると互いの顔に息がかかるようになる。
「はなっ……ちかっ、きゃあああっ!」
掴まれた右手からリュードに視線を移すと真正面の近いところにリュードの顔があった。
ブワッと頭に血が上り顔が真っ赤に染まる。
けれどリュードは一瞬早く動き出し、それに気づくことなかった。
腰に手を回して抱きかかえるようにしてテユノの体を巻き込みながら足を払う。
体が硬直していたテユノは面白いほど簡単にリュードに投げられた。
多少力任せだったけれど別のことに気がいっていたテユノは何の抵抗もできなかった。
「俺の勝ち……でいいか?」
世界が回って、気づいたらリュードの剣が目の前に突きつけられていた。
「…………そうね」
「……テユノ、お前、泣いて……」
「泣いてなんかない、バカ!」
「あぶな! おい、おい!」
テユノは槍をリュードに投げつけ走り去っていってしまった。
槍投げのようにしっかりと投げられて槍先は真っ直ぐリュードに飛んでいって危うく刺さりかけた。
チラッと見えたテユノは泣いているようだった。
急に勝負を仕掛けてきたと思ったら怪我をさせたいのかさせたくないのかよく分からない攻撃、しまいに負けて泣き出すとは全くリュードは理解が追いつかない。
「あーあ、泣かせ、うげっ」
ウォーケックが冷やかしルーミオラに足を踏まれる。
「リューちゃんの変態……」
ルフォンはルフォンで何故か機嫌が悪い。
「とりあえずテユノを追いかけるか……」
いつの間にか物見客までいる状況。
原因がなんであれ自分が関わっていることは確実なのでテユノを追いかけようとした時、何者かがリュードの肩を掴んだ。
「モテるのは仕方ないわ。でも女の子泣かせちゃダメよ?」
危険なオーラを感じたリュードは逃げたい気持ちに駆られるがガッシリと肩を掴まれていて動くことができない。
「そ、そうだね……だから追いかけ……」
「テユノちゃんなら今はそっとしておいてあげなさい。それにちょっとあなたにお灸を据えてあげなきゃいけないわね」
仕掛けられたのは自分だし、それに応じただけなのに。
そんな理不尽な思いを抱え、この日リュードはボロボロになるまで魔人化したメーリエッヒにしごかれた。
「鈍いのも行き過ぎると罪なのよ」
「何が……悪いのか……」
「それが悪いのよ」
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