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第三章
ゴブリンはお宝を見つけました1
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アイアンテールウィーゼルを倒してレビスの能力もさらに確かめながらだいぶ減ってしまった食糧確保のために肉も増やしていく。
レビスそのものの能力には大きな変化はないのであるが魔力を使うようになったことにより体に保有する魔力がちょっとだけ増えた。
水の宝玉のためか魔力にもバフがかかってレビスの動きもキレが増していた。
ドゥゼアも羨ましく思う。
自分が着けとけばなという思いがないわけじゃない。
こうした意外な魔道具が見つかることもあるからダンジョンというやつは侮れない。
「ふむ……良い感じだな」
ドゥゼアはさらにレビスに武器も作ってもらった。
短剣では短く、普通の剣では長くてその中間ぐらいの武器が欲しいと思っていた。
人が扱う上では中途半端な長さになるのでそうした武器はなかったのだけどレビスに望む長さの剣を伝えてその通りにレビスは剣を作った。
剣としてはまだまだレベルは低い。
重心はズレているし切れ味は良くない。
ただ長さはいい感じ。
何回か試してみもらってとりあえず使えそうな感じのものが出来上がったのでそれを使っているが意外と良い感じだった。
見た目も無骨だし改善の余地は大きいけれど重さもあって取り回しがしやすい。
この能力を突き詰めていけば一流の鍛冶職人にもなれそうだ。
「うっ!」
「レビス、無理はするな!」
腕を切り付けられてレビスが顔を歪ませる。
金属の移動が間に合わなくてアイアンテールウィーゼルの尻尾に浅く切られてしまったのだ。
こうして比較してみるとアイアンテールウィーゼルの金属移動は思いの外早い。
土を食べて自分の中に取り込んで来た少ない金属を操っているアイアンテールウィーゼルの金属は自分の魔力にも慣れているし少ない金属を無駄なく移動させるのでレビスよりも金属移動が早い。
さらにはアイアンテールウィーゼルは攻撃に対して本能的に金属を移動させてもいる。
攻撃行動に対して考える間も無く金属を移動させているのだがレビスは思考してから移動させるワンクッションが入る。
その結果攻撃に間に合っていないということが起こる。
ドゥゼアがアイアンテールウィーゼルを後ろから切り付けて倒す。
「大丈夫か?」
「うん……ごめんなさい」
「きっともっと早く動かせるようになる。
だが無理はするな。
ケガをしない範囲でやっていくんだ」
「うん……」
ユリディカがレビスを治療してまたダンジョンの中を探索する。
防具があるという安心感は大きい。
アイアンテールウィーゼルの攻撃なら防具にあたれば致命傷は避けられるので慎重すぎなくても戦えるようになって精神的な余裕が出てきた。
さらに探索範囲を広げるとアイアンテールウィーゼルが2体同時に出てくることも多くなったのだけどドゥゼアたちにとってはさほど問題にはならなかった。
「んー?」
「なんか怪しさ全開だね」
進んでいくと木立というには規模の大きく林ぐらいの木が密集している場所が見えてきた。
明らかに規模が大きいので何かがあると全員が思う。
ドゥゼアの予想ではとうとうボスのお目見えかなと思っていた。
「来るよー!」
ユリディカのミミがピクピクと動いて音を拾う。
「多いな……」
林から飛び出してきたアイアンテールウィーゼルは4体。
これまで3体が最高だったのでそれを上回る数になる。
「ユリディカ、強化!」
「ほいきた!」
力の温存よりも安全を優先する。
ユリディカのチクートが光ってドゥゼアたちの体が強化される。
アイアンテールウィーゼルのうち2体が前に出たドゥゼアの方に向かう。
1体の尻尾を剣で防いでもう1体の尻尾を上体を逸らしてかわす。
ユリディカの強化の効果は高い。
それだけでアイアンテールウィーゼルの動きが良く見えるようになる。
アイアンテールウィーゼルの尻尾にも全く押し負けなくなる。
「やっ!」
アイアンテールウィーゼルの着地を狙ってオルケが火の槍を放った。
金属を動かして槍が突き刺さることは防いだのだけど火が体に燃え広がる。
「こっちだぞ!」
仲間が燃えてもう1体のアイアンテールウィーゼルにも動揺が走る。
その間にドゥゼアはアイアンテールウィーゼルに接近して剣を振り下ろす。
途中まで真っ直ぐ振り下ろされた剣を途中で手首を返して軌道を変える。
予想外のところに剣の軌道が移動した。
当然そこには金属はなく鈍く肉が切り裂かれる。
「はいおわり!」
「楽勝」
振り返るとユリディカとレビスもアイアンテールウィーゼルを1体ずつ倒していた。
強化も必要なかったかもと思うほどに危なげなかった。
「よし、少し休憩しておくか」
林の中で何が起こるかはわからない。
ダンジョンの中では体調も分かりにくいので休める時に休んでおく。
水筒の水を飲んであらかじめ焼いて持ってきていた肉を食べる。
「レビス、体の調子は大丈夫か?」
「……あ、うん、大丈夫」
なんだかぼんやりとしているレビスをドゥゼアが気にかける。
まだまだ能力を使いこなせているとは言い切れないので戦いの中で疲れでも出てしまっているのか心配になった。
レビスそのものの能力には大きな変化はないのであるが魔力を使うようになったことにより体に保有する魔力がちょっとだけ増えた。
水の宝玉のためか魔力にもバフがかかってレビスの動きもキレが増していた。
ドゥゼアも羨ましく思う。
自分が着けとけばなという思いがないわけじゃない。
こうした意外な魔道具が見つかることもあるからダンジョンというやつは侮れない。
「ふむ……良い感じだな」
ドゥゼアはさらにレビスに武器も作ってもらった。
短剣では短く、普通の剣では長くてその中間ぐらいの武器が欲しいと思っていた。
人が扱う上では中途半端な長さになるのでそうした武器はなかったのだけどレビスに望む長さの剣を伝えてその通りにレビスは剣を作った。
剣としてはまだまだレベルは低い。
重心はズレているし切れ味は良くない。
ただ長さはいい感じ。
何回か試してみもらってとりあえず使えそうな感じのものが出来上がったのでそれを使っているが意外と良い感じだった。
見た目も無骨だし改善の余地は大きいけれど重さもあって取り回しがしやすい。
この能力を突き詰めていけば一流の鍛冶職人にもなれそうだ。
「うっ!」
「レビス、無理はするな!」
腕を切り付けられてレビスが顔を歪ませる。
金属の移動が間に合わなくてアイアンテールウィーゼルの尻尾に浅く切られてしまったのだ。
こうして比較してみるとアイアンテールウィーゼルの金属移動は思いの外早い。
土を食べて自分の中に取り込んで来た少ない金属を操っているアイアンテールウィーゼルの金属は自分の魔力にも慣れているし少ない金属を無駄なく移動させるのでレビスよりも金属移動が早い。
さらにはアイアンテールウィーゼルは攻撃に対して本能的に金属を移動させてもいる。
攻撃行動に対して考える間も無く金属を移動させているのだがレビスは思考してから移動させるワンクッションが入る。
その結果攻撃に間に合っていないということが起こる。
ドゥゼアがアイアンテールウィーゼルを後ろから切り付けて倒す。
「大丈夫か?」
「うん……ごめんなさい」
「きっともっと早く動かせるようになる。
だが無理はするな。
ケガをしない範囲でやっていくんだ」
「うん……」
ユリディカがレビスを治療してまたダンジョンの中を探索する。
防具があるという安心感は大きい。
アイアンテールウィーゼルの攻撃なら防具にあたれば致命傷は避けられるので慎重すぎなくても戦えるようになって精神的な余裕が出てきた。
さらに探索範囲を広げるとアイアンテールウィーゼルが2体同時に出てくることも多くなったのだけどドゥゼアたちにとってはさほど問題にはならなかった。
「んー?」
「なんか怪しさ全開だね」
進んでいくと木立というには規模の大きく林ぐらいの木が密集している場所が見えてきた。
明らかに規模が大きいので何かがあると全員が思う。
ドゥゼアの予想ではとうとうボスのお目見えかなと思っていた。
「来るよー!」
ユリディカのミミがピクピクと動いて音を拾う。
「多いな……」
林から飛び出してきたアイアンテールウィーゼルは4体。
これまで3体が最高だったのでそれを上回る数になる。
「ユリディカ、強化!」
「ほいきた!」
力の温存よりも安全を優先する。
ユリディカのチクートが光ってドゥゼアたちの体が強化される。
アイアンテールウィーゼルのうち2体が前に出たドゥゼアの方に向かう。
1体の尻尾を剣で防いでもう1体の尻尾を上体を逸らしてかわす。
ユリディカの強化の効果は高い。
それだけでアイアンテールウィーゼルの動きが良く見えるようになる。
アイアンテールウィーゼルの尻尾にも全く押し負けなくなる。
「やっ!」
アイアンテールウィーゼルの着地を狙ってオルケが火の槍を放った。
金属を動かして槍が突き刺さることは防いだのだけど火が体に燃え広がる。
「こっちだぞ!」
仲間が燃えてもう1体のアイアンテールウィーゼルにも動揺が走る。
その間にドゥゼアはアイアンテールウィーゼルに接近して剣を振り下ろす。
途中まで真っ直ぐ振り下ろされた剣を途中で手首を返して軌道を変える。
予想外のところに剣の軌道が移動した。
当然そこには金属はなく鈍く肉が切り裂かれる。
「はいおわり!」
「楽勝」
振り返るとユリディカとレビスもアイアンテールウィーゼルを1体ずつ倒していた。
強化も必要なかったかもと思うほどに危なげなかった。
「よし、少し休憩しておくか」
林の中で何が起こるかはわからない。
ダンジョンの中では体調も分かりにくいので休める時に休んでおく。
水筒の水を飲んであらかじめ焼いて持ってきていた肉を食べる。
「レビス、体の調子は大丈夫か?」
「……あ、うん、大丈夫」
なんだかぼんやりとしているレビスをドゥゼアが気にかける。
まだまだ能力を使いこなせているとは言い切れないので戦いの中で疲れでも出てしまっているのか心配になった。
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