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第七章

出会い、あり3

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「さっさと攻略していくか」

 今回モンスターの死体の回収はしない。
 レッドフォックスは赤い毛皮が美しくモンスターの死体もそこそこの値段で回収してくれる。

 しかしゲートの場所が田舎なためにモンスターの死体を回収して帰るのが面倒である。
 良いホテルに泊まるのにモンスターの死体を積んだトラックを止めておくのも悪い気がしてしまう。

「あれがレッドフォックス……」

「結構綺麗だね」

 適当に歩いていると赤い毛皮の狐が圭たちの前に現れた。
 普通のキツネより一回り大きなぐらいのサイズで毛皮として買い取られるだけはあって赤い毛は意外と綺麗だ。

 顔もシュッとした感じがあって可愛い感じ。

「来るぞ!」

 尻尾を逆立てて圭たちにうなったレッドフォックスは地面を蹴って走り出した。

「わわっ! 毛が燃えてるよ!」

 走りながらレッドフォックスの真っ赤な毛皮が燃え出した。
 レッドフォックスは見た目通りの属性を持っていて戦いの時には毛皮が炎に変わる。

 全身炎に包まれたレッドフォックスは真っ直ぐに魔力を向けて挑発するカレンに向かって走り盾に体当たりした。

「うっ!」

 思いの外体当たりは重たい。
 盾の向こうから伝わってくる熱気がお飾りの炎でないことをカレンに分からせる。

「ほっ!」

 だが圭たちも炎ぐらいでは怯まない。
 波瑠がレッドフォックスを横から切り付ける。

「ごめん、浅い!」

 毛が炎になっているためにどこからが体なのか目測を誤った。
 ナイフの先、ほんの少しだけしか手応えがなくて攻撃が浅かったことを波瑠は感じとった。

「任せろ!」

 圭も波瑠に任せきりではなく追撃の準備をしていた。

「おりゃ!」

 波瑠から離れようと飛び退いたレッドフォックスに圭が詰め寄った。
 しっかりと首を狙って振り下ろした剣はレッドフォックスの首を切る。

「ごめん、ちょっとビビっちゃった」

「まあ仕方ないさ」

 毛が炎になっているので熱い。
 武器がナイフの波瑠は剣などに比べて手が炎に近くなってしまう。

 攻撃が浅くなってしまうのも仕方ない。

「でも、これがあれば大丈夫そうってことは分かったから!」

 今日波瑠は手袋を身につけている。
 いつもは動きの邪魔にならないように手には何も身につけていないのだが、こうして手袋をつけているのには理由がある。

「ちゃんと耐火能力あるみたいで熱くなかったよ」

 事前にどんなモンスターが出てくるのかわかっているので圭たちも対策を取ってきた。
 炎タイプのモンスターということで耐火性能を高めてくれる装備品を優斗とカレンで作ってくれたのである。

 波瑠が身につけている手袋も熱さに対して抵抗力がある装備で直接身につけている手を保護してくれるだけでなく、身につけるだけで体全体に火に対する抵抗をつけてくれるのだ。
 火傷しにくくなったり熱さを感じにくくなるような効果があるらしい。

 最初ということで恐る恐るの攻撃になってしまったけれども手が炎となった毛に近づいても熱さを感じなかったので次からはしっかり攻撃していけそうだと波瑠も意気込んでいる。

「毛皮は元に戻るんだな」

 炎となっていた毛皮はレッドフォックスが死ぬと元の赤い毛に戻った。
 
「流石に燃えているままじゃ大変だものねぇ」

 圭がナイフを取り出してレッドフォックスの腹を開く。

「まだ熱気が残ってるな」

 圭も手袋をつけているので手は熱さを感じないけれど、腕にモンスターの体温ではない熱を感じた。
 レッドフォックスの中から赤い魔石を取り出して薫がそれをタオルで受け取る。

 モンスターの血を拭き取って袋に入れてレッドフォックスの死体はそのまま残していく。
 火傷しにくいといってしにくいだけでしないものではない。

 燃え盛るレッドフォックスに直接攻撃されると厳しいので触れないように気をつけて戦うことにした。

「うわっ、危ねぇ!」

 レッドフォックスもただ体当たりするだけではなく爪や牙も使うし、炎を吐いて攻撃してくることもあった。
 カレンの盾では炎を防ぎきれないので大地の力で壁を出してギリギリ守ったりと意外と危ない場面もあったりした。

「夜滝ねぇ!」

「はいよ!」

 レッドフォックスに対して力を発揮したのは夜滝である。
 水属性を得意とする夜滝はレッドフォックスに対して非常に相性が良く、魔法を使ってバンバンと倒していくことができた。

 水に濡らして鎮火するだけでもレッドフォックスの勢いは大きく削がれ、圭たちでも戦いやすくなる。

「ピピピー!」

 ついでにフィーネも意欲的に戦っていた。
 右手を圭の剣に似せた形にしてレッドフォックスの懐に潜り込んでズバズバと切り裂くのだ。

 あれぐらいの熱気ならなんともないらしいけど戦った後のフィーネはアツアツで圭たちは触れられないぐらいになっている。
 炎が熱いという特徴以外のところの能力は高くなく、炎対策をしてきた圭たちはレッドフォックスを相手にしてもなんの問題もなかった。

「しっかし……ボスいねーな」

 結構ゲートの中を歩き回ってレッドフォックスを倒してきた。
 ボスを倒してさっさとゲートを閉じてしまいたいのにボスが見つけられないでいた。
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