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第二章
闇のオークション5
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盾を使わず肉体で攻撃を受けるなんて異常なタンクもいるけれどスキルなどがある以上その方が効率が良いこともあるのかもしれない。
そしてふと思い出したのは八重樫工房には盾は少なかった事。
あのような大型のタンク用の盾だけでなく小型のアタッカーも使えるような盾もあまりなかったなと気がついたのだ。
需要の面では人気が少ない部類ではある。
そもそもモンスターの方が力が強いので受けるよりもかわした方がいいとの考えも根強いからだ。
作り手にも得手不得手がある。
盾はあまり作るのが得意ではないのかもしれない。
圭はオークションで得たお金で八重樫工房の借金を肩代わりしてカレンを味方に引き入れるつもりだった。
結局お金を盾にして交渉することになるので心が痛むところはある。
でも圭の真実の目を自分の能力で守れるまで世間に広く知られるのは危険である。
秘密をバラさないだろうという保証が欲しかったのである。
もしカレンにその気がないのなら八重樫工房には専用装備でも作ってもらうつもりだ。
この先も覚醒者としてレベルアップしてやっていくなら装備の更新は必要になるから無駄になる事はない。
『イスギスの盾
エスギスの妹であるイスギスによって作られた大型の盾。
□□□□□□で起きた真魔大戦の時にエスギスが使用していた。
使用者に守護の力を与え魔を払うがエスギスがイスギスの裏切りにあって盾の力も封印されてしまった。
神が作りし武器であり品質は非常に高く魔力の流れや魔法の発動を補助してくれる。
魔力伝送率が高く使用時に体力と筋力に補正を得られる。
適性魔力等級:D(封印時)
必要魔力等級:G(封印時)』
「はぁっ?」
「何かあった?」
真実の目で見たものは他の人には見えていないということを忘れがちになる。
驚きで声が出てかなみが不思議そうな顔をする。
神が作った武器とは。
文字通りの意味なのかもしれないがこのことをそのまま受け取ると色々な疑問やらが噴き出してくる。
神が存在している。
宗教的な信仰の話ではなく神が実在していると説明通りに受け取るとなってしまうのだ。
こんな世の中なのだから神が存在していてもおかしくないが驚きの事実であることに変わりはない。
さらには神様が作っただなんて信じ難い話である。
その上封印状態にもある。
圭が盾の情報を眺めていると入札が始まった。
スタートは100万円。
10万円単位で入札額が増えていく。
けれど見たところ入札に参加している人もそんなに多くはない。
「……コール、350万」
圭は少し後ろを振り返ってオークションの係員に伝える。
オークションの係員が無線を通じて司会に圭のコールを伝える。
「コール、350万円! ……350、他にいませんか? …………7番のお客様、350万円でご落札です!」
少し値段を跳ね上げただけでもう入札は無くなった。
オークション前の圭なら350万円でもかなりの大金であるが、今はそれぐらいならポンと出せる。
「ふぅーん? 意外なものを買うのね?」
かなみが興味深そうに目を細めて圭を見た。
どう見ても圭が使うようには見えなかった。
とすれば誰か他の人のためのもの。
個人で覚醒者を雇っているのか、あるいは知り合いか。
盾も見ただけでは価値が分かりにくいのに圭は一本釣りで落札した。
かなみは興味深そうに圭の目を覗き込む。
「あの盾に何かあるのかな?」
「ええ、とんでもない秘密が」
「……んー、本当かしら?」
笑顔で真っ直ぐ返されては逆に分からない。
圭の言葉は本当なのだけど圭以外には誰にも知られることのない秘密が盾にはある。
その後かなみは魔力を増幅してくれるというアーティファクトを落札し、オークションは何事もなく終わった。
是非とも今度は仮面がない状態で会いたいなんてかなみは言っていたけれど外の世界に出ればきっと会うこともない。
かなみが圭に気づくこともないだろうと思った。
「無事ご出品なされました商品の落札おめでとうございます。今回ジェイ様がご出品なされた商品の落札価格は2億8500万円。手数料はいただかないことになっておりますのでこのままの金額がジェイ様がお受け取りになられる金額となります」
「おお……」
流石に額が大きくて現実味がない。
「いかがなさいますか。お受け取りは現金、銀行振込、後は当方に預けていくこともできます」
「こちらに預けられるのですか?」
「はい。カードとご通帳も用意させていただきまして、銀行と変わりがなくお預かりさせていただきます。ただ御出金なされたい時にはブラックマーケットを訪れていただく必要はございますが。
ですが銀行よりもきちんとお金の管理はさせていただきます。他にバレることもございません。次回のオークションでもお預けいただいた預金からお支払いもいたせます」
「…………じゃあここに預けます」
「ありがとうございます」
どの道使わない分まで含めた大金を持ち歩くことなど危険だし普通の銀行に入金されればきっと目をつけられる。
普通にお金を持っていく選択肢は難しいところがある。
「ええと一部引き出していきたいんですが」
「もちろんジェイ様のお金ですから御出金なさっても大丈夫です」
「じゃあ、お願いします」
そしてふと思い出したのは八重樫工房には盾は少なかった事。
あのような大型のタンク用の盾だけでなく小型のアタッカーも使えるような盾もあまりなかったなと気がついたのだ。
需要の面では人気が少ない部類ではある。
そもそもモンスターの方が力が強いので受けるよりもかわした方がいいとの考えも根強いからだ。
作り手にも得手不得手がある。
盾はあまり作るのが得意ではないのかもしれない。
圭はオークションで得たお金で八重樫工房の借金を肩代わりしてカレンを味方に引き入れるつもりだった。
結局お金を盾にして交渉することになるので心が痛むところはある。
でも圭の真実の目を自分の能力で守れるまで世間に広く知られるのは危険である。
秘密をバラさないだろうという保証が欲しかったのである。
もしカレンにその気がないのなら八重樫工房には専用装備でも作ってもらうつもりだ。
この先も覚醒者としてレベルアップしてやっていくなら装備の更新は必要になるから無駄になる事はない。
『イスギスの盾
エスギスの妹であるイスギスによって作られた大型の盾。
□□□□□□で起きた真魔大戦の時にエスギスが使用していた。
使用者に守護の力を与え魔を払うがエスギスがイスギスの裏切りにあって盾の力も封印されてしまった。
神が作りし武器であり品質は非常に高く魔力の流れや魔法の発動を補助してくれる。
魔力伝送率が高く使用時に体力と筋力に補正を得られる。
適性魔力等級:D(封印時)
必要魔力等級:G(封印時)』
「はぁっ?」
「何かあった?」
真実の目で見たものは他の人には見えていないということを忘れがちになる。
驚きで声が出てかなみが不思議そうな顔をする。
神が作った武器とは。
文字通りの意味なのかもしれないがこのことをそのまま受け取ると色々な疑問やらが噴き出してくる。
神が存在している。
宗教的な信仰の話ではなく神が実在していると説明通りに受け取るとなってしまうのだ。
こんな世の中なのだから神が存在していてもおかしくないが驚きの事実であることに変わりはない。
さらには神様が作っただなんて信じ難い話である。
その上封印状態にもある。
圭が盾の情報を眺めていると入札が始まった。
スタートは100万円。
10万円単位で入札額が増えていく。
けれど見たところ入札に参加している人もそんなに多くはない。
「……コール、350万」
圭は少し後ろを振り返ってオークションの係員に伝える。
オークションの係員が無線を通じて司会に圭のコールを伝える。
「コール、350万円! ……350、他にいませんか? …………7番のお客様、350万円でご落札です!」
少し値段を跳ね上げただけでもう入札は無くなった。
オークション前の圭なら350万円でもかなりの大金であるが、今はそれぐらいならポンと出せる。
「ふぅーん? 意外なものを買うのね?」
かなみが興味深そうに目を細めて圭を見た。
どう見ても圭が使うようには見えなかった。
とすれば誰か他の人のためのもの。
個人で覚醒者を雇っているのか、あるいは知り合いか。
盾も見ただけでは価値が分かりにくいのに圭は一本釣りで落札した。
かなみは興味深そうに圭の目を覗き込む。
「あの盾に何かあるのかな?」
「ええ、とんでもない秘密が」
「……んー、本当かしら?」
笑顔で真っ直ぐ返されては逆に分からない。
圭の言葉は本当なのだけど圭以外には誰にも知られることのない秘密が盾にはある。
その後かなみは魔力を増幅してくれるというアーティファクトを落札し、オークションは何事もなく終わった。
是非とも今度は仮面がない状態で会いたいなんてかなみは言っていたけれど外の世界に出ればきっと会うこともない。
かなみが圭に気づくこともないだろうと思った。
「無事ご出品なされました商品の落札おめでとうございます。今回ジェイ様がご出品なされた商品の落札価格は2億8500万円。手数料はいただかないことになっておりますのでこのままの金額がジェイ様がお受け取りになられる金額となります」
「おお……」
流石に額が大きくて現実味がない。
「いかがなさいますか。お受け取りは現金、銀行振込、後は当方に預けていくこともできます」
「こちらに預けられるのですか?」
「はい。カードとご通帳も用意させていただきまして、銀行と変わりがなくお預かりさせていただきます。ただ御出金なされたい時にはブラックマーケットを訪れていただく必要はございますが。
ですが銀行よりもきちんとお金の管理はさせていただきます。他にバレることもございません。次回のオークションでもお預けいただいた預金からお支払いもいたせます」
「…………じゃあここに預けます」
「ありがとうございます」
どの道使わない分まで含めた大金を持ち歩くことなど危険だし普通の銀行に入金されればきっと目をつけられる。
普通にお金を持っていく選択肢は難しいところがある。
「ええと一部引き出していきたいんですが」
「もちろんジェイ様のお金ですから御出金なさっても大丈夫です」
「じゃあ、お願いします」
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