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第4章:恋愛『一億三千年前の記憶編』
259 贈り物
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美味しそうな食べ物を探すため、そしてマルトーに依頼したローブが完成するまでの時間潰しに、小人族の国を歩き回ったギンたち。
セレネの嗅覚を頼りに美味しそうな食べ物を探すも一店舗も見つかることはなくマルトーの鍛冶屋に戻ってきていた。
「ンッンッ」
「虫料理とか魔獣の肉とか……どれも食べたくないよな。それにブドウたちに食べさせたくない」
「ンッンッ。ンッンッ」
「唯一まともなのが酒だけ。まあ、一日二食なんて贅沢なことするなって神様が言ってるのかもな」
この世界のこの時代の食事は一日一食が当たり前。それも食事をする時間は人それぞれ違う。
ギンの場合は寝る前の深夜帯だ。行商人としての仕事が終わり疲労が溜まった体に栄養を送るための食事。そして明日の仕事に備えての食事。そのような考えで一日一食の食事を深夜帯にしているのだ。
ただ、小腹を満たす軽食は、昼に一度だけとるのが習慣になっているため、軽食をとらずに小人族の国にやってきたギンとセレネの小腹は空いて仕方がないのである。
対して奴隷生活が人生のほとんどである兎人ちゃんたちは、小腹が空くという感覚はなかった。空腹という感覚が当たり前だからだ。
「でもせっかくブラックさんから金貨を頂いたし、なんか食べさせてあげたいよな」
「ンッンッ」
「でも不味いもの食べさせるのもな……飯の時間も近いし、食べないって選択肢もあるしな。でもでも、やっぱり食べさせたいよな」
「ンッンッ」
苦悩するギンは、ゾウのように大きなセレネの周りをぶつぶつと呟きながら歩く。そのギンを漆黒の瞳で追いながら可愛らしい声をセレネは漏らすのである。
そしてセレネのもふもふの背中の上に乗っている兎人ちゃんたちも、ぶつぶつと呟きながら歩くギンを宝石のように輝いている瞳で追うのである。
そんな苦悩するギンに助けの手を差し伸べるのは、脳内で再生される女性の声、『心の声さん』だ。
《マスター。小人族の国の名物を食べさせてみるのはどうでしょうか?》
(俺のトラウマ料理をか? 可哀想すぎるだろ)
《それでも一度は食べさせてみるのはいかがでしょうか? 名物になっている由縁を知るのも経験の一つですよ。マスターだって名物を食べて良い経験をしたはずです》
(良い経験じゃなくてトラウマな。でもまあ、経験って言われたら食べさせてみるのもありだけど、俺、ブドウたちに嫌われないかな?)
《嫌われることはないでしょう》
(はぁ……わかったよ。小人族の国の名物、そんでもって俺のトラウマ料理を食べさせてみるか……ちょうどこの先にあるし)
ギンは街灯に照らされている真っ直ぐの道を黒瞳に映した。その後、ため息を吐きながら歩き出す。
セレネは何かを察したのか、歩き出すギンには付いていかなかった。
「ンッンッ」
「そうだった。セレネにとってもトラウマ料理だったよね」
「ンッンッ」
「わかったよ。そこで待っててくれ。俺一人で買いに行ってくる」
「ンッンッ」
セレネをマルトーの鍛冶屋の前に待たせたギンは、一人で歩き出した。
セレネのもふもふの背中の上からギンの背中が遠くなるのを兎人ちゃんたちは、不安そうな表情で見続けている。
そしてギンの姿が見えなくなっても、その路地をただひたすらに見続けていた。
ギンの姿が見えなくなってから十五分ほどで、兎人ちゃんたちが見続けている路地にギンの姿が現れる。
その瞬間、兎人ちゃんたちは、丸くて小さなウサ尻尾を横に縦にと振りはじめる。そしてそれぞれ形の違ったウサ耳の先をピクピクと動かす。これは兎人族が嬉しい時によく見せる反応、仕草なのだ。
「ンッンッ」
「買ってきたのはいいが……本当にこれを食わせていいものなのか……というか本当に食べ物なのか……」
ギンが左手で持っているのは、小人族の国名物の『魔獣の目玉焼き』だ。
目玉焼きと言ってもタマゴの目玉焼きではなく、本物の目の玉を使った目玉焼き。しかも焼かれているのは表面のみで中身はドロドロの液状の汁が詰まっている。
その日の魔獣の討伐状況によって焼かれる目玉の種類が変わるが味付けのタレは同じ。そして何の魔獣の目玉を使っているのか『魔獣の目玉焼き』を作っている店主すら知らない。珍味中の珍味なのだ。
過去にギンとセレネは『魔獣の目玉焼き』を食べてトラウマを植え付けられたことがある。見た目だけではなく味も最悪なのだ。
だからなのかギンは、左手に持っている『魔獣の目玉焼き』に光属性の魔法をかけた。味を変化するための魔法ではない。見た目のグロさを誤魔化すための魔法だ。
「視界妨害」
光属性の魔法を使ってセルフでモザイクをかけたのである。
ギンは、モザイクがかかった『魔獣の目玉焼き』を持っていない方の右手で、セレネの背中の上にいる兎人ちゃんたちを手招きして呼ぶ。
セレネの背中の上で『魔獣の目玉焼き』を食べて、そのあまりの不味さに吐いてセレネの背中を汚してしまうのを未然に防ごうという考えだ。
「えーっとだな。これがこの国の名物。一度は食べた方がいいって、経験した方がいいって『心の声さん』が言っててだな。だから不味くても俺のこと嫌いにならないでね」
《嫌われたくないからって私に責任を押し付けないでください。我が子を崖に落とす気持ちで食べさせるのですよ》
(なんだそれ。とにかく俺はこの子たちに嫌われたくない。俺の気持ちがわかる『心の声さん』には、わかってると思うが……)
ギンは目の前にまで来てくれた兎人ちゃんたちと目線の高さを合わせるために、その場に蹲み込んだ。
その際、左手で持っている『魔獣の目玉焼き』が兎人ちゃんたちの視界に入るが、ギンがかけた光属性の魔法の効果で見た目のグロさ加減を軽減することに成功する。よってこの時点で気持ち悪がられることはなかった。
「味はどうしようもないけど……とりあえず人生経験だと思って食べてみて。不味かったらすぐに吐き捨てていいからさ」
ギンの言葉を聞いた兎人ちゃんたちは、小さな串で目玉を刺した。そして落とさないようにと慎重に口元へと運んでいく。
「あぁ、あああ、ぁああああぁ……」
ギンは目玉を食べようとする兎人ちゃんたちを見てられず、変な声が漏れ続ける。
そのまま兎人ちゃんたちは手を止めることなく、目玉を口の中へと運んだ。そしてもぐもぐと咀嚼を繰り返す。
「ど、どう? 無理して食べなくてもいいんだぞ?」
心配の眼差しを向けるギンだったが、想像していたものとは全く別の光景が目の前にあった。
それは、美味しそうに『魔獣の目玉焼き』を食べ続ける兎人ちゃんたちの姿だ。
『魔獣の目玉焼き』は、一パック六個入り。三個入り数を減らすことは出来ずに、仕方なく六個入りを注文したのだが、それを兎人ちゃんたちは均等に二個ずつ食べてしっかりと完食した。
「お、美味しかったの?」
その問いかけに兎人ちゃんたちは、満面の笑みで首を縦に振った。
そんな予想とは違った兎人ちゃんたち姿を見たギンは安堵の他に、兎人ちゃんたちが過酷な奴隷時代を過ごしていたのだと思い知らされる。
(三人は奴隷商にいた頃、どんな食事を与えられてきたんだ。食材は? 味は? 量は? 頻度は? それだけじゃない。皮だけのボロボロの体にされるまでどんなことをされてきたんだよ。俺とセレネが吐き出すほど不味い食べ物をあんなに美味しそうに食べるだなんて…………)
「…………死ぬ気で死なないようにがんばったんだな」
ギンは右手でブドウ、イチゴ、ミカン、三人の兎人ちゃんの頭を順番に優しく撫でた。
三人の頭を撫で終わると、しゃがんでいたギンは立ち上がり、マルトーの鍛冶屋に向かって歩き出す。
「依頼した商品が出来たかもしれないから受け取りに行ってくるわ。それとついでにこのゴミも捨ててもらう」
そう言うとギンはマルトーの鍛冶屋の扉を開けて中に入っていった。
それを見届けた兎人ちゃんたちは、静かにセレネのもふもふの背中の上へと戻っていく。セレネのもふもふの背中の上はもう兎人ちゃんたちの定位置になりつつあるのだ。
ギンが店内へ入ってきたのを感じたマルトーは、鍛冶場の方から顔を覗かせせる。
「戻ってきたか。ちょうど出来上がったところだ」
「おっ、無事に出来ましたか。良かったです。あと、このゴミ何ですが……」
「そこの木箱に投げ入れといていいぞ」
「ありがとうございます。では、風属性の魔法」
ギンは投げ入れることはせずに、風属性の魔法を使い、『魔獣の目玉焼き』の容器をゴミが入っている木箱の中に入れた。
「気絶するほど不味かったもんをまた食べたのか?」
「気絶するほどって、俺、気絶しましたっけ?」
「ああ。外にいる白い魔獣と一緒にうちの前でぶっ倒れてただろ。覚えてるぞ。それがなかったらお前さんには出会わなかったかもしれないからな」
「そ、そうでしたっけ? 気絶したことすら覚えてないです。前後の記憶を失うほど強烈な味だったってことですね。不味かったってことだけは覚えてるので…………なので俺は食べてないですよ。人生経験のために食べさせたかった子たちがいただけです」
「そうか。小さな従業員に食べさせたってことか」
「小さな従業員?」
誰のことだかわからず、ギンは小首を傾げた。
「これから小さなローブを着させようとしている相手のことだよ。ってきりうちで作ったローブを制服にするもんかと思ったぞ」
「ん~。まあ、そんな感じかもしれませんが、同じローブを作ってもらったのは着心地がいいからですよ。でも従業員か。そういう選択肢もあるっちゃあるよな……」
ギンは兎人ちゃんたちの人生の新たな選択肢を見つける。そういった選択肢は多くても困らない。むしろ多い方がたくさんの未来を選択できるとギンは思っている。
元奴隷の兎人ちゃんたちには、なおさらたくさんの人生の選択肢を与えたいとも思っているのだ。
そんなことを考えていると鍛冶場の中から一人の女性が顔を出してマルトーに向かって声をかけてきた。
「アナター! 最終確認終わったわよー」
「あいよ。そんじゃ持ってくるから待ってろ」
マルトーに声をかけた女性はマルトーの妻で小人族のサーントルだ。鍛冶屋の役割としては、主に衣服などの仕立てを担当している。ギンが着用しているローブも依頼したローブもそのほとんどがサーントルが仕立てた、ものだ。
サーントルが顔だけ出してこちら側に来ないのは、人間族に対して小人族の特徴でもある身長の低さをコンプレックスに思っているからだ。
それでも人間族のギンに顔だけ見せているのは、ギンに対してだけは他の人間族とは違い、少しだけ心を許しているのである。
マルトーが鍛冶場に入ると、作り立てのローブを持ってすぐにギンの元へと戻ってくる。
「火竜の鱗を溶かして塗っておいた。お前さんのよりはかなり丈夫に仕上がったぞ。受け取れ」
「あ、ありがとうございます。でも、いいんですか? 貴重な鱗を」
「いいんだよ。溶かしたのは少しだけだ。大事に使ってくれ」
「はい! 感謝します!」
ギンはマルトーからローブを受け取ると深く頭を下げ感謝を告げた。
マルトーとサーントルの二人はギンの丁寧な態度に笑顔で応える。
「また三十日後、粉を運んでくれよ。魔法使い。それが夫婦揃っての唯一の楽しみだからな」
「だから魔法使いじゃないですから! ただの行商人です。では三十日後にまた抹茶の粉末を持ってきますね」
ギンは扉の前で再び深く頭を下げて感謝を示すと、マルトーに渡されたローブを大事に抱えながら店を出た。
店を出るとすぐにセレネとセレネの背中の上にいる兎人ちゃんたちの姿が映る。
「お待たせ」
まず最初にギンは、セレネの頬を撫でる。大人しく待っていてくれたセレネへのご褒美のようなものだ。
その次にギンの手に持つローブを不思議そうに見ている兎人ちゃんたちにそのローブを渡すため、セレネの背中の上に乗る。
「このローブは、お前たちへの贈り物。プレゼントってやつだ。三枚とも同じものだけど……そうだな。これがブドウで、これがイチゴ。そんでこれがミカンのにしようか。いつまでもそのボロボロの布だと、さすがに可哀想だしな。大事にしてね」
ローブを受け取った兎人ちゃんたちは、涙目になりながらギンに飛びついてそのまま抱きついた。
「おっ、ちょ、あぶっ」
セレネの背中の上で飛びつかれてバランスを崩しかけるギン。危うく落下するところであったが、なんとか踏みとどまる。
「よしよし。とりあえず着てみてよ」
そのギンの言葉に兎人ちゃんたちはボロボロの布を脱ぎ始めた。しかし、すぐにギンは着替えようとしている兎人ちゃんたちを止めた。
「ちょいちょいちょい! ストップ! ストップ!」
自分で着替えるように言っておきながらすぐに着替えをやめさせたのには理由がある。
兎人ちゃんたちが着ているボロボロの布の下には肌着のようなものを一切身につけていなかったのである。
セレネのもふもふの背中の上で見えないからといっても、街中で全裸にさせるのは忍びないのだ。
「野宿する場所を探してから着替えよう。一瞬とは言え、街中で女の子を全裸にさせるのはちょっとな……」
ギンの言葉にを聞いた兎人ちゃんたちは、着替えるのをやめる。
しかしそれは、ギンが安堵するまでのわずか数秒の時間だけだった。
兎人ちゃんたちは、ギンの隙を見て、すかさずボロボロの布を脱ぎ捨てた。
「お、おい! ちょっ!」
そのまま目にも留まらぬ速さで、ギンから受け取った黒いローブに着替えた。
この黒いローブは、前側を開け閉めできるタイプになっており、肌着を着ていない兎人ちゃんたちの裸体を晒すことはなかった。
「ちゃんと自分の意思も持ってて偉いな」
と、言われたことだけではなく、自分の意思で行動した兎人ちゃんたちに感心するギン。そのまま黒いローブを着た兎人ちゃんたちへの感想を溢す。
「みんな似合ってるよ! めっちゃ可愛い! 可愛すぎるだろ。こんなに可愛い子供見たことがないんだが……少し大きいけど、すぐに成長するだろうから問題ないだろう。それにしても似合ってるな。めっちゃいいぞ。魔法も使えそう! というか今度、護身用のために魔法を教えるか。この世の中何が起きるかわかんないしな。それに奴隷商から逃げ出したんだからなおさらだよな」
ギンは、黒いローブを着た兎人ちゃんたちへの感想から、徐々に独り言をぶつぶつと溢すようになった。今後のことを色々と思考してしまっているのだ。
そんな自分の世界に入ってしまったギンを見た兎人ちゃんたちは、セレネの背中から降りていく。そしてセレネの正面に立ちくるくると回り始めた。
セレネにも黒いローブを着た自分たちを見てもらいたかったのだ。
「ンッンッ! ンッンッ! ンッンッ! ンッンッ!」
セレネもギン同様に兎人ちゃんたちを可愛いと褒めているのが、漏らす声の音量やリズム、音域などでなんとなく兎人ちゃんたちに伝わる。
セレネに自分たちの姿を見せ終えると、再びセレネのもふもふの背中の上へと戻っていく。ブドウ、イチゴ、ミカンの順番でセレネの背中に乗ると、再びギンに抱き付いき始めた。
今度は飛び付いたりせず、体重を預けるように抱き付いた。これが声を出すことができない兎人ちゃんたちなりの感謝の伝え方なのだ。
「喜んでくれたみたいで嬉しいよ」
ギンは兎人ちゃんたちの頭を順番に撫でて、兎人ちゃんたちの感謝の気持ちに対する返事をした。
「それじゃ、もう一つ贈り物を」
そう言うとギンは左手の手のひらを兎人ちゃんたちに向けた。そして、瞳を閉じて唱える。
「祝福の魔法」
すると、兎人ちゃんたちに向けている手のひらから、光の粉が兎人ちゃんたちに降り注いだ。
「これは祝福の魔法。幸せになりますようにっておまじないだよ」
ギンから祝福の魔法の効果の説明を受ける兎人ちゃんたちは、宙に舞っている光の粉を小さな手のひらで優しく掴み取ろうとする。
夜の暗さも相まって光の粉は幻想的に消えていった。
「さてと。仕事も終わってローブも渡せたし、野宿する場所を探そう。とりあえず兎人族の国を目指すぞ」
「ンッンッ!」
ギンたちの次なる目的地。それはブラックに教えてもらった兎人族の国の南西にある広い土地。そこを拠点とするために目指すのである。
セレネの嗅覚を頼りに美味しそうな食べ物を探すも一店舗も見つかることはなくマルトーの鍛冶屋に戻ってきていた。
「ンッンッ」
「虫料理とか魔獣の肉とか……どれも食べたくないよな。それにブドウたちに食べさせたくない」
「ンッンッ。ンッンッ」
「唯一まともなのが酒だけ。まあ、一日二食なんて贅沢なことするなって神様が言ってるのかもな」
この世界のこの時代の食事は一日一食が当たり前。それも食事をする時間は人それぞれ違う。
ギンの場合は寝る前の深夜帯だ。行商人としての仕事が終わり疲労が溜まった体に栄養を送るための食事。そして明日の仕事に備えての食事。そのような考えで一日一食の食事を深夜帯にしているのだ。
ただ、小腹を満たす軽食は、昼に一度だけとるのが習慣になっているため、軽食をとらずに小人族の国にやってきたギンとセレネの小腹は空いて仕方がないのである。
対して奴隷生活が人生のほとんどである兎人ちゃんたちは、小腹が空くという感覚はなかった。空腹という感覚が当たり前だからだ。
「でもせっかくブラックさんから金貨を頂いたし、なんか食べさせてあげたいよな」
「ンッンッ」
「でも不味いもの食べさせるのもな……飯の時間も近いし、食べないって選択肢もあるしな。でもでも、やっぱり食べさせたいよな」
「ンッンッ」
苦悩するギンは、ゾウのように大きなセレネの周りをぶつぶつと呟きながら歩く。そのギンを漆黒の瞳で追いながら可愛らしい声をセレネは漏らすのである。
そしてセレネのもふもふの背中の上に乗っている兎人ちゃんたちも、ぶつぶつと呟きながら歩くギンを宝石のように輝いている瞳で追うのである。
そんな苦悩するギンに助けの手を差し伸べるのは、脳内で再生される女性の声、『心の声さん』だ。
《マスター。小人族の国の名物を食べさせてみるのはどうでしょうか?》
(俺のトラウマ料理をか? 可哀想すぎるだろ)
《それでも一度は食べさせてみるのはいかがでしょうか? 名物になっている由縁を知るのも経験の一つですよ。マスターだって名物を食べて良い経験をしたはずです》
(良い経験じゃなくてトラウマな。でもまあ、経験って言われたら食べさせてみるのもありだけど、俺、ブドウたちに嫌われないかな?)
《嫌われることはないでしょう》
(はぁ……わかったよ。小人族の国の名物、そんでもって俺のトラウマ料理を食べさせてみるか……ちょうどこの先にあるし)
ギンは街灯に照らされている真っ直ぐの道を黒瞳に映した。その後、ため息を吐きながら歩き出す。
セレネは何かを察したのか、歩き出すギンには付いていかなかった。
「ンッンッ」
「そうだった。セレネにとってもトラウマ料理だったよね」
「ンッンッ」
「わかったよ。そこで待っててくれ。俺一人で買いに行ってくる」
「ンッンッ」
セレネをマルトーの鍛冶屋の前に待たせたギンは、一人で歩き出した。
セレネのもふもふの背中の上からギンの背中が遠くなるのを兎人ちゃんたちは、不安そうな表情で見続けている。
そしてギンの姿が見えなくなっても、その路地をただひたすらに見続けていた。
ギンの姿が見えなくなってから十五分ほどで、兎人ちゃんたちが見続けている路地にギンの姿が現れる。
その瞬間、兎人ちゃんたちは、丸くて小さなウサ尻尾を横に縦にと振りはじめる。そしてそれぞれ形の違ったウサ耳の先をピクピクと動かす。これは兎人族が嬉しい時によく見せる反応、仕草なのだ。
「ンッンッ」
「買ってきたのはいいが……本当にこれを食わせていいものなのか……というか本当に食べ物なのか……」
ギンが左手で持っているのは、小人族の国名物の『魔獣の目玉焼き』だ。
目玉焼きと言ってもタマゴの目玉焼きではなく、本物の目の玉を使った目玉焼き。しかも焼かれているのは表面のみで中身はドロドロの液状の汁が詰まっている。
その日の魔獣の討伐状況によって焼かれる目玉の種類が変わるが味付けのタレは同じ。そして何の魔獣の目玉を使っているのか『魔獣の目玉焼き』を作っている店主すら知らない。珍味中の珍味なのだ。
過去にギンとセレネは『魔獣の目玉焼き』を食べてトラウマを植え付けられたことがある。見た目だけではなく味も最悪なのだ。
だからなのかギンは、左手に持っている『魔獣の目玉焼き』に光属性の魔法をかけた。味を変化するための魔法ではない。見た目のグロさを誤魔化すための魔法だ。
「視界妨害」
光属性の魔法を使ってセルフでモザイクをかけたのである。
ギンは、モザイクがかかった『魔獣の目玉焼き』を持っていない方の右手で、セレネの背中の上にいる兎人ちゃんたちを手招きして呼ぶ。
セレネの背中の上で『魔獣の目玉焼き』を食べて、そのあまりの不味さに吐いてセレネの背中を汚してしまうのを未然に防ごうという考えだ。
「えーっとだな。これがこの国の名物。一度は食べた方がいいって、経験した方がいいって『心の声さん』が言っててだな。だから不味くても俺のこと嫌いにならないでね」
《嫌われたくないからって私に責任を押し付けないでください。我が子を崖に落とす気持ちで食べさせるのですよ》
(なんだそれ。とにかく俺はこの子たちに嫌われたくない。俺の気持ちがわかる『心の声さん』には、わかってると思うが……)
ギンは目の前にまで来てくれた兎人ちゃんたちと目線の高さを合わせるために、その場に蹲み込んだ。
その際、左手で持っている『魔獣の目玉焼き』が兎人ちゃんたちの視界に入るが、ギンがかけた光属性の魔法の効果で見た目のグロさ加減を軽減することに成功する。よってこの時点で気持ち悪がられることはなかった。
「味はどうしようもないけど……とりあえず人生経験だと思って食べてみて。不味かったらすぐに吐き捨てていいからさ」
ギンの言葉を聞いた兎人ちゃんたちは、小さな串で目玉を刺した。そして落とさないようにと慎重に口元へと運んでいく。
「あぁ、あああ、ぁああああぁ……」
ギンは目玉を食べようとする兎人ちゃんたちを見てられず、変な声が漏れ続ける。
そのまま兎人ちゃんたちは手を止めることなく、目玉を口の中へと運んだ。そしてもぐもぐと咀嚼を繰り返す。
「ど、どう? 無理して食べなくてもいいんだぞ?」
心配の眼差しを向けるギンだったが、想像していたものとは全く別の光景が目の前にあった。
それは、美味しそうに『魔獣の目玉焼き』を食べ続ける兎人ちゃんたちの姿だ。
『魔獣の目玉焼き』は、一パック六個入り。三個入り数を減らすことは出来ずに、仕方なく六個入りを注文したのだが、それを兎人ちゃんたちは均等に二個ずつ食べてしっかりと完食した。
「お、美味しかったの?」
その問いかけに兎人ちゃんたちは、満面の笑みで首を縦に振った。
そんな予想とは違った兎人ちゃんたち姿を見たギンは安堵の他に、兎人ちゃんたちが過酷な奴隷時代を過ごしていたのだと思い知らされる。
(三人は奴隷商にいた頃、どんな食事を与えられてきたんだ。食材は? 味は? 量は? 頻度は? それだけじゃない。皮だけのボロボロの体にされるまでどんなことをされてきたんだよ。俺とセレネが吐き出すほど不味い食べ物をあんなに美味しそうに食べるだなんて…………)
「…………死ぬ気で死なないようにがんばったんだな」
ギンは右手でブドウ、イチゴ、ミカン、三人の兎人ちゃんの頭を順番に優しく撫でた。
三人の頭を撫で終わると、しゃがんでいたギンは立ち上がり、マルトーの鍛冶屋に向かって歩き出す。
「依頼した商品が出来たかもしれないから受け取りに行ってくるわ。それとついでにこのゴミも捨ててもらう」
そう言うとギンはマルトーの鍛冶屋の扉を開けて中に入っていった。
それを見届けた兎人ちゃんたちは、静かにセレネのもふもふの背中の上へと戻っていく。セレネのもふもふの背中の上はもう兎人ちゃんたちの定位置になりつつあるのだ。
ギンが店内へ入ってきたのを感じたマルトーは、鍛冶場の方から顔を覗かせせる。
「戻ってきたか。ちょうど出来上がったところだ」
「おっ、無事に出来ましたか。良かったです。あと、このゴミ何ですが……」
「そこの木箱に投げ入れといていいぞ」
「ありがとうございます。では、風属性の魔法」
ギンは投げ入れることはせずに、風属性の魔法を使い、『魔獣の目玉焼き』の容器をゴミが入っている木箱の中に入れた。
「気絶するほど不味かったもんをまた食べたのか?」
「気絶するほどって、俺、気絶しましたっけ?」
「ああ。外にいる白い魔獣と一緒にうちの前でぶっ倒れてただろ。覚えてるぞ。それがなかったらお前さんには出会わなかったかもしれないからな」
「そ、そうでしたっけ? 気絶したことすら覚えてないです。前後の記憶を失うほど強烈な味だったってことですね。不味かったってことだけは覚えてるので…………なので俺は食べてないですよ。人生経験のために食べさせたかった子たちがいただけです」
「そうか。小さな従業員に食べさせたってことか」
「小さな従業員?」
誰のことだかわからず、ギンは小首を傾げた。
「これから小さなローブを着させようとしている相手のことだよ。ってきりうちで作ったローブを制服にするもんかと思ったぞ」
「ん~。まあ、そんな感じかもしれませんが、同じローブを作ってもらったのは着心地がいいからですよ。でも従業員か。そういう選択肢もあるっちゃあるよな……」
ギンは兎人ちゃんたちの人生の新たな選択肢を見つける。そういった選択肢は多くても困らない。むしろ多い方がたくさんの未来を選択できるとギンは思っている。
元奴隷の兎人ちゃんたちには、なおさらたくさんの人生の選択肢を与えたいとも思っているのだ。
そんなことを考えていると鍛冶場の中から一人の女性が顔を出してマルトーに向かって声をかけてきた。
「アナター! 最終確認終わったわよー」
「あいよ。そんじゃ持ってくるから待ってろ」
マルトーに声をかけた女性はマルトーの妻で小人族のサーントルだ。鍛冶屋の役割としては、主に衣服などの仕立てを担当している。ギンが着用しているローブも依頼したローブもそのほとんどがサーントルが仕立てた、ものだ。
サーントルが顔だけ出してこちら側に来ないのは、人間族に対して小人族の特徴でもある身長の低さをコンプレックスに思っているからだ。
それでも人間族のギンに顔だけ見せているのは、ギンに対してだけは他の人間族とは違い、少しだけ心を許しているのである。
マルトーが鍛冶場に入ると、作り立てのローブを持ってすぐにギンの元へと戻ってくる。
「火竜の鱗を溶かして塗っておいた。お前さんのよりはかなり丈夫に仕上がったぞ。受け取れ」
「あ、ありがとうございます。でも、いいんですか? 貴重な鱗を」
「いいんだよ。溶かしたのは少しだけだ。大事に使ってくれ」
「はい! 感謝します!」
ギンはマルトーからローブを受け取ると深く頭を下げ感謝を告げた。
マルトーとサーントルの二人はギンの丁寧な態度に笑顔で応える。
「また三十日後、粉を運んでくれよ。魔法使い。それが夫婦揃っての唯一の楽しみだからな」
「だから魔法使いじゃないですから! ただの行商人です。では三十日後にまた抹茶の粉末を持ってきますね」
ギンは扉の前で再び深く頭を下げて感謝を示すと、マルトーに渡されたローブを大事に抱えながら店を出た。
店を出るとすぐにセレネとセレネの背中の上にいる兎人ちゃんたちの姿が映る。
「お待たせ」
まず最初にギンは、セレネの頬を撫でる。大人しく待っていてくれたセレネへのご褒美のようなものだ。
その次にギンの手に持つローブを不思議そうに見ている兎人ちゃんたちにそのローブを渡すため、セレネの背中の上に乗る。
「このローブは、お前たちへの贈り物。プレゼントってやつだ。三枚とも同じものだけど……そうだな。これがブドウで、これがイチゴ。そんでこれがミカンのにしようか。いつまでもそのボロボロの布だと、さすがに可哀想だしな。大事にしてね」
ローブを受け取った兎人ちゃんたちは、涙目になりながらギンに飛びついてそのまま抱きついた。
「おっ、ちょ、あぶっ」
セレネの背中の上で飛びつかれてバランスを崩しかけるギン。危うく落下するところであったが、なんとか踏みとどまる。
「よしよし。とりあえず着てみてよ」
そのギンの言葉に兎人ちゃんたちはボロボロの布を脱ぎ始めた。しかし、すぐにギンは着替えようとしている兎人ちゃんたちを止めた。
「ちょいちょいちょい! ストップ! ストップ!」
自分で着替えるように言っておきながらすぐに着替えをやめさせたのには理由がある。
兎人ちゃんたちが着ているボロボロの布の下には肌着のようなものを一切身につけていなかったのである。
セレネのもふもふの背中の上で見えないからといっても、街中で全裸にさせるのは忍びないのだ。
「野宿する場所を探してから着替えよう。一瞬とは言え、街中で女の子を全裸にさせるのはちょっとな……」
ギンの言葉にを聞いた兎人ちゃんたちは、着替えるのをやめる。
しかしそれは、ギンが安堵するまでのわずか数秒の時間だけだった。
兎人ちゃんたちは、ギンの隙を見て、すかさずボロボロの布を脱ぎ捨てた。
「お、おい! ちょっ!」
そのまま目にも留まらぬ速さで、ギンから受け取った黒いローブに着替えた。
この黒いローブは、前側を開け閉めできるタイプになっており、肌着を着ていない兎人ちゃんたちの裸体を晒すことはなかった。
「ちゃんと自分の意思も持ってて偉いな」
と、言われたことだけではなく、自分の意思で行動した兎人ちゃんたちに感心するギン。そのまま黒いローブを着た兎人ちゃんたちへの感想を溢す。
「みんな似合ってるよ! めっちゃ可愛い! 可愛すぎるだろ。こんなに可愛い子供見たことがないんだが……少し大きいけど、すぐに成長するだろうから問題ないだろう。それにしても似合ってるな。めっちゃいいぞ。魔法も使えそう! というか今度、護身用のために魔法を教えるか。この世の中何が起きるかわかんないしな。それに奴隷商から逃げ出したんだからなおさらだよな」
ギンは、黒いローブを着た兎人ちゃんたちへの感想から、徐々に独り言をぶつぶつと溢すようになった。今後のことを色々と思考してしまっているのだ。
そんな自分の世界に入ってしまったギンを見た兎人ちゃんたちは、セレネの背中から降りていく。そしてセレネの正面に立ちくるくると回り始めた。
セレネにも黒いローブを着た自分たちを見てもらいたかったのだ。
「ンッンッ! ンッンッ! ンッンッ! ンッンッ!」
セレネもギン同様に兎人ちゃんたちを可愛いと褒めているのが、漏らす声の音量やリズム、音域などでなんとなく兎人ちゃんたちに伝わる。
セレネに自分たちの姿を見せ終えると、再びセレネのもふもふの背中の上へと戻っていく。ブドウ、イチゴ、ミカンの順番でセレネの背中に乗ると、再びギンに抱き付いき始めた。
今度は飛び付いたりせず、体重を預けるように抱き付いた。これが声を出すことができない兎人ちゃんたちなりの感謝の伝え方なのだ。
「喜んでくれたみたいで嬉しいよ」
ギンは兎人ちゃんたちの頭を順番に撫でて、兎人ちゃんたちの感謝の気持ちに対する返事をした。
「それじゃ、もう一つ贈り物を」
そう言うとギンは左手の手のひらを兎人ちゃんたちに向けた。そして、瞳を閉じて唱える。
「祝福の魔法」
すると、兎人ちゃんたちに向けている手のひらから、光の粉が兎人ちゃんたちに降り注いだ。
「これは祝福の魔法。幸せになりますようにっておまじないだよ」
ギンから祝福の魔法の効果の説明を受ける兎人ちゃんたちは、宙に舞っている光の粉を小さな手のひらで優しく掴み取ろうとする。
夜の暗さも相まって光の粉は幻想的に消えていった。
「さてと。仕事も終わってローブも渡せたし、野宿する場所を探そう。とりあえず兎人族の国を目指すぞ」
「ンッンッ!」
ギンたちの次なる目的地。それはブラックに教えてもらった兎人族の国の南西にある広い土地。そこを拠点とするために目指すのである。
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大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
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【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
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近くの川まで散歩しに来たら、
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キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
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魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
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※カクヨム、なろうでも公開しています
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
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剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
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※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
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転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
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ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
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辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
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