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第3章:成長『食品展示会編』
100 ソーセージ
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ソーセージの香ばしい香りに手招きされたマサキたちはソーセージを販売している出店の前に立った。
テーブルの上には鉄板が設置されており、その上でソーセージが踊っている。まるで祭りなどで出されている屋台のようだ。
その鉄板の上で踊っているソーセージこそがマサキたちをここまで誘い込んだ香りの正体だ。
「それじゃ遠慮せずに最初の試食をー」
マサキはリンゴに言われた通り遠慮することなく、鉄板の横に置かれている試食品のソーセージを手に取った。爪楊枝が刺さった一口サイズのソーセージだ。
見た目はごく普通のソーセージ。食品展示会で出店するほどではないほどの庶民的な食べ物。だからこそマサキは躊躇うことなく一番最初に手に取れたのかもしれない。
「どうぞどうぞ。私たちの自信作です。気に入ったらぜひとも購入お願いします」
マサキたちに向かって出店者の妖精が笑顔で言った。
出店者の妖精はシェフの真っ白で清潔感のあるコック服装を着ている。髪色はルーネスたち姉妹と似ている薄緑色だ。
首元には妖精サイズのネームプレートがかけられているが小さすぎて文字が読めない。
魔法がかかっていない普段通りのマサキとネージュなら声をかけられただけで怯んでしまうのだが、魔法がかかっている間は怯むことも臆することもしない。
マサキに釣られて他の三人も試食品のソーセージを取った。透明状態のクレールのところだけ参加証とソーセージがぷかぷかと浮いている異様な光景だ。
そして四人同時にソーセージを口へと運んだ。一口サイズなのでそのまま一口で口へと入れて爪楊枝を取り出す。
「爪楊枝はこちらにどうぞ」
出店者の妖精が優しく声をかけたその瞬間、マサキたちは叫んだ。
「「「うまぁああああああああい!!」」」
思わず叫びたくなるほどの美味しさだったのである。
「やば、今まで食べたどんなソーセージよりも美味い。一口サイズなのに噛んだ瞬間に肉汁が『ぶわぁー』って溢れ出た。体積以上の肉汁で口の中全体に肉の旨味と脂の甘さが広がったんだが。そんでクセもないし柔らかい……たった一口でこんなに……恐ろしいほど美味いぞ……」
「魔法がかかってなかったら気絶してましたよ……」
「そ、そうだった。美味しいもの食べたらネージュ気絶するんだったわ。魔法がかかってて本当によかった……」
絶賛するマサキとネージュ。その横では参加証がブンブンと振り回されている。透明状態のクレールも気に入ったようだ。
さらにその横でダールは頬に手を当ててもぐもぐと一口サイズのソーセージをしっかりと味わっていた。
「アタシもこんなに美味しいソーセージを食べたのは初めてッスよ。ソーセージってこんなにも美味しくなるんッスね。妹たちにも食べさせたかったッス」
そんなダールの言葉に出店者の妖精が口を開いた。
「それでしたらこちらの試供品をお持ち帰りください」
「いいんッスか?」
「はい。もちろんです。そのための試供品ですからね」
「ありがとうございますッス!」
妖精は一本のソーセージが袋詰めされている試供品をダールに渡した。
ダールが試供品を受け取ると案内役のサバドがダールに茶色い袋を渡す。
「こちらの袋を試供品やパンフレットなどを入れるのにお使いください」
茶色の袋はタイジュグループが製造している袋だ。
物理的なダメージでは絶対に破れない魔法がかかっている袋。そして食品の保存にも優れているいわゆる魔法のような袋なのである。
そんな時、マサキの頭の上にいるイングリッシュロップイヤーのルナが珍しく暴れ出した。
「ンッンッ! ンッ! ンッ!」
「ちょ、どうしたルナちゃん!」
「ンッンッ!」
突然暴れだすルナに困惑するマサキ。
「もしかしてルナちゃんもソーセージ食べたいのか?」
「ンッンッ!」
いつも以上に力強く鳴くルナ。
美味しそうにソーセージを食べているマサキたちの姿を見てルナも食べたくなったのである。
「でもウサギさんってソーセージとか食べちゃいけない食べ物なんじゃないですか?」
「だよな。ごめんなルナちゃん。ソーセージは食べさせれないんだよ」
「ンッンッ!」
ウサギは草食動物だ。肉などは食べないし加工食品なども口にしない。食べたとしても命に別状はないがなるべくなら食べさせない方がいいのである。
ルナの機嫌を損ねないためにもマサキとネージュはルナのもふもふな体を優しく撫でた。
その時、出店者の妖精がマサキたちに向かって口を開く。
「お客様安心してください」
「え? もしかしてこのソーセージ、ルナちゃんでも食べれたりするの?」
「いいえ。こちらのソーセージはウサギ様にはおすすめできません。けれど、どうしてもソーセージを食べたいというウサギ様のご要望にお答えしたソーセージならあります」
「おおー」
「それはこちらです!」
出店者の妖精が出したのは『ウサギ用のソーセージ』だ。動物用やペット用という表記ではなくウサギだけに焦点を当ててピンポイントに作った『ウサギ用』のソーセージだ。見た目はマサキたちが先ほど食べた試食品のソーセージとなんら変わらない。
出店者の妖精は『ウサギ用のソーセージ』に爪楊枝を刺した。そして『ウサギ用のソーセージ』を持ちながらルナの方へと飛んだ。
飛んでくるソーセージを見てルナは興奮し始める。
「ンッンッ!」
「ウサギ様どうぞ、お召し上がりください!」
「ンッンッ!」
ルナは一口サイズのソーセージを小さな口でパクパクと食べ始めた。
食べるのが下手なので一口で食べようとしない。そのせいで口から溢れた食べカスがマサキの頭の上に落ちていく。
「ウサギ様どうですかお味の方は?」
「ンッンッ! ンッンッ!」
「気に入ってもらえたようで嬉しいです」
「ンッンッ! ンッンッ!」
どうやらルナもソーセージの味に満足したらしい。
満場一致でこのソーセージは絶品。衝撃的な美味さを誇っていた。
そんな極上のソーセージをもう一口食べようとマサキは手を伸ばした。
しかしその手を案内役の妖精サバドが止めた。
「マサキ様! この先にもたくさんの試食品がありますよー。ここでたくさん食べたら最後まで辿り着けなくなります」
「た、確かにそうだ。ペース配分を考えなきゃ……」
「気になる店舗一店舗につき一回の試食をおすすめしますよ」
「うん。そうしよう。みんなも食べ過ぎには気を付けろよ……って……」
注意するのが遅かった。遅すぎた。
ネージュとダールの口には試食品のソーセージが大量に入っていた。もはや頬袋に食べ物を詰めるハムスターのようになっている。
貧乏兎だった頃のクセで食べれるものはなんでも食べてしまったのである。
「ク、クレールは食べてないよな?」
透明状態のクレールがどれだけソーセージを頬に詰めているのかは見えない。しかしネージュたちのように大量に食べていることははっきりと分かった。
なぜなら爪楊枝が十本ほど不自然に浮いているからだ。
爪楊枝を捨てるよりも先に試食品に手を伸ばしたということが理解できる。
「手遅れだったか……ってもう一匹の……リンゴさんはどこ行った? なんでネージュたちに注意してくれなかったんだよー」
「リンゴーどこー?」
マサキとサバドはもう一匹の案内役のリンゴを探し始めた。
サバドの呼びかける声にリンゴはすぐに答える。
「ここだよー」
その声はマサキの頭上から聞こえてくる。しかしマサキの頭上にはイングリッシュロップイヤーのルナしかいない。
そしてマサキは鏡のようなものがない限り自分の頭上を確認することができない。なのでサバドが羽を羽ばたかせ上昇し、リンゴを探し始める。
「ここだよってどこだよー」
「ここここー!」
「あっ、いた!」
サバドはリンゴを見つけた。
リンゴはルナのもふもふの背中にしがみついて顔を擦り付けていたのだった。
「すごいもふもふで気持ちいいんだよ~」
リンゴは参加証をマサキの首にかける際にルナのもふもふでふわふわの毛並みを知ってしまった。その魅力に取り憑かれてしまい案内役という役目を忘れてもふもふを堪能していたのである。
リンゴを責めないでほしい。リンゴは何一つ悪くない。ルナのもふもふの毛並みには、それほどの依存性や中毒性があるということなのだ。
「もーう。ルーネスに見られたら怒られちゃうよー」
「そ、そうだったー。し、仕事に戻らないと!」
どんなに依存性があり気持ちがいいもふもふでも、姉そして代表のルーネスの名前さえ出してしまえばリンゴは切り替えることができるのだ。
リンゴはサバドに敬礼をしながらもふもふのルナから離れ案内役の仕事に戻った。
マサキの目の前にリンゴが移動した。マサキの黒瞳には二匹の妖精がぷかぷかと浮かんでいる姿が映る。
「よしっ、これからは、極力食べてみたいものだけ食べながら進もう。お腹いっぱいになったら最後まで楽しめないからな」
「はい!」
「了解ッス!」
もぐもぐとさせながらリンゴのように敬礼をするネージュとダール。
先ほどよりも頬に詰めている量が多くなっている気がするがマサキは気にせずに次に進もうとする。
「あの、パンフレットだけもらっていいですか? 全部見て回ってから購入するかどうか決めたいので……」
「もちろんですよ。お客様は皆様そうしてます。ここで決めなくても、今日決めなくていいのですよ。試供品などで実際に調理などしてから、ゆっくりと必要な商品を考えて購入するかをご検討ください」
「あ、ありがとうございます!」
マサキはソーセージを出店している妖精の言葉を受けて思考する。
(確かに、あとでゆっくり考えた方がいいよな。ソーセージならいろんな料理と組み合わせることができるし無人販売所でも提供できるかもしれない。ここのパンフレットは絶対に必要だ。というか店で扱わなくても普通に食べたい。あんなに美味しいソーセージを一口しか食べれないなんて無理だ。舌が死ぬ。家に帰ったら絶対に注文しよう。注文方法とか知らないけどパンフレットに書いてあるだろう)
マサキは左手でパンフレットを受け取った。
「兄さん! アタシのところに入れてくださいッス!」
片手しか空いていないマサキはパンフレットを持ってしまうと両手が塞がってしまう。なのでダールは持っている茶色い袋の口を大きく開けて中へと入れるように指示した。
「そんじゃ荷物係よろしくな」
「了解ッス!」
ダールは、気になる店舗の試供品やパンフレットを持つ荷物係になった。
「それでは進みましょうー」
「気になる店舗があれば仰ってくださいねー」
マサキたちは順路通りに進み始めた。
テーブルの上には鉄板が設置されており、その上でソーセージが踊っている。まるで祭りなどで出されている屋台のようだ。
その鉄板の上で踊っているソーセージこそがマサキたちをここまで誘い込んだ香りの正体だ。
「それじゃ遠慮せずに最初の試食をー」
マサキはリンゴに言われた通り遠慮することなく、鉄板の横に置かれている試食品のソーセージを手に取った。爪楊枝が刺さった一口サイズのソーセージだ。
見た目はごく普通のソーセージ。食品展示会で出店するほどではないほどの庶民的な食べ物。だからこそマサキは躊躇うことなく一番最初に手に取れたのかもしれない。
「どうぞどうぞ。私たちの自信作です。気に入ったらぜひとも購入お願いします」
マサキたちに向かって出店者の妖精が笑顔で言った。
出店者の妖精はシェフの真っ白で清潔感のあるコック服装を着ている。髪色はルーネスたち姉妹と似ている薄緑色だ。
首元には妖精サイズのネームプレートがかけられているが小さすぎて文字が読めない。
魔法がかかっていない普段通りのマサキとネージュなら声をかけられただけで怯んでしまうのだが、魔法がかかっている間は怯むことも臆することもしない。
マサキに釣られて他の三人も試食品のソーセージを取った。透明状態のクレールのところだけ参加証とソーセージがぷかぷかと浮いている異様な光景だ。
そして四人同時にソーセージを口へと運んだ。一口サイズなのでそのまま一口で口へと入れて爪楊枝を取り出す。
「爪楊枝はこちらにどうぞ」
出店者の妖精が優しく声をかけたその瞬間、マサキたちは叫んだ。
「「「うまぁああああああああい!!」」」
思わず叫びたくなるほどの美味しさだったのである。
「やば、今まで食べたどんなソーセージよりも美味い。一口サイズなのに噛んだ瞬間に肉汁が『ぶわぁー』って溢れ出た。体積以上の肉汁で口の中全体に肉の旨味と脂の甘さが広がったんだが。そんでクセもないし柔らかい……たった一口でこんなに……恐ろしいほど美味いぞ……」
「魔法がかかってなかったら気絶してましたよ……」
「そ、そうだった。美味しいもの食べたらネージュ気絶するんだったわ。魔法がかかってて本当によかった……」
絶賛するマサキとネージュ。その横では参加証がブンブンと振り回されている。透明状態のクレールも気に入ったようだ。
さらにその横でダールは頬に手を当ててもぐもぐと一口サイズのソーセージをしっかりと味わっていた。
「アタシもこんなに美味しいソーセージを食べたのは初めてッスよ。ソーセージってこんなにも美味しくなるんッスね。妹たちにも食べさせたかったッス」
そんなダールの言葉に出店者の妖精が口を開いた。
「それでしたらこちらの試供品をお持ち帰りください」
「いいんッスか?」
「はい。もちろんです。そのための試供品ですからね」
「ありがとうございますッス!」
妖精は一本のソーセージが袋詰めされている試供品をダールに渡した。
ダールが試供品を受け取ると案内役のサバドがダールに茶色い袋を渡す。
「こちらの袋を試供品やパンフレットなどを入れるのにお使いください」
茶色の袋はタイジュグループが製造している袋だ。
物理的なダメージでは絶対に破れない魔法がかかっている袋。そして食品の保存にも優れているいわゆる魔法のような袋なのである。
そんな時、マサキの頭の上にいるイングリッシュロップイヤーのルナが珍しく暴れ出した。
「ンッンッ! ンッ! ンッ!」
「ちょ、どうしたルナちゃん!」
「ンッンッ!」
突然暴れだすルナに困惑するマサキ。
「もしかしてルナちゃんもソーセージ食べたいのか?」
「ンッンッ!」
いつも以上に力強く鳴くルナ。
美味しそうにソーセージを食べているマサキたちの姿を見てルナも食べたくなったのである。
「でもウサギさんってソーセージとか食べちゃいけない食べ物なんじゃないですか?」
「だよな。ごめんなルナちゃん。ソーセージは食べさせれないんだよ」
「ンッンッ!」
ウサギは草食動物だ。肉などは食べないし加工食品なども口にしない。食べたとしても命に別状はないがなるべくなら食べさせない方がいいのである。
ルナの機嫌を損ねないためにもマサキとネージュはルナのもふもふな体を優しく撫でた。
その時、出店者の妖精がマサキたちに向かって口を開く。
「お客様安心してください」
「え? もしかしてこのソーセージ、ルナちゃんでも食べれたりするの?」
「いいえ。こちらのソーセージはウサギ様にはおすすめできません。けれど、どうしてもソーセージを食べたいというウサギ様のご要望にお答えしたソーセージならあります」
「おおー」
「それはこちらです!」
出店者の妖精が出したのは『ウサギ用のソーセージ』だ。動物用やペット用という表記ではなくウサギだけに焦点を当ててピンポイントに作った『ウサギ用』のソーセージだ。見た目はマサキたちが先ほど食べた試食品のソーセージとなんら変わらない。
出店者の妖精は『ウサギ用のソーセージ』に爪楊枝を刺した。そして『ウサギ用のソーセージ』を持ちながらルナの方へと飛んだ。
飛んでくるソーセージを見てルナは興奮し始める。
「ンッンッ!」
「ウサギ様どうぞ、お召し上がりください!」
「ンッンッ!」
ルナは一口サイズのソーセージを小さな口でパクパクと食べ始めた。
食べるのが下手なので一口で食べようとしない。そのせいで口から溢れた食べカスがマサキの頭の上に落ちていく。
「ウサギ様どうですかお味の方は?」
「ンッンッ! ンッンッ!」
「気に入ってもらえたようで嬉しいです」
「ンッンッ! ンッンッ!」
どうやらルナもソーセージの味に満足したらしい。
満場一致でこのソーセージは絶品。衝撃的な美味さを誇っていた。
そんな極上のソーセージをもう一口食べようとマサキは手を伸ばした。
しかしその手を案内役の妖精サバドが止めた。
「マサキ様! この先にもたくさんの試食品がありますよー。ここでたくさん食べたら最後まで辿り着けなくなります」
「た、確かにそうだ。ペース配分を考えなきゃ……」
「気になる店舗一店舗につき一回の試食をおすすめしますよ」
「うん。そうしよう。みんなも食べ過ぎには気を付けろよ……って……」
注意するのが遅かった。遅すぎた。
ネージュとダールの口には試食品のソーセージが大量に入っていた。もはや頬袋に食べ物を詰めるハムスターのようになっている。
貧乏兎だった頃のクセで食べれるものはなんでも食べてしまったのである。
「ク、クレールは食べてないよな?」
透明状態のクレールがどれだけソーセージを頬に詰めているのかは見えない。しかしネージュたちのように大量に食べていることははっきりと分かった。
なぜなら爪楊枝が十本ほど不自然に浮いているからだ。
爪楊枝を捨てるよりも先に試食品に手を伸ばしたということが理解できる。
「手遅れだったか……ってもう一匹の……リンゴさんはどこ行った? なんでネージュたちに注意してくれなかったんだよー」
「リンゴーどこー?」
マサキとサバドはもう一匹の案内役のリンゴを探し始めた。
サバドの呼びかける声にリンゴはすぐに答える。
「ここだよー」
その声はマサキの頭上から聞こえてくる。しかしマサキの頭上にはイングリッシュロップイヤーのルナしかいない。
そしてマサキは鏡のようなものがない限り自分の頭上を確認することができない。なのでサバドが羽を羽ばたかせ上昇し、リンゴを探し始める。
「ここだよってどこだよー」
「ここここー!」
「あっ、いた!」
サバドはリンゴを見つけた。
リンゴはルナのもふもふの背中にしがみついて顔を擦り付けていたのだった。
「すごいもふもふで気持ちいいんだよ~」
リンゴは参加証をマサキの首にかける際にルナのもふもふでふわふわの毛並みを知ってしまった。その魅力に取り憑かれてしまい案内役という役目を忘れてもふもふを堪能していたのである。
リンゴを責めないでほしい。リンゴは何一つ悪くない。ルナのもふもふの毛並みには、それほどの依存性や中毒性があるということなのだ。
「もーう。ルーネスに見られたら怒られちゃうよー」
「そ、そうだったー。し、仕事に戻らないと!」
どんなに依存性があり気持ちがいいもふもふでも、姉そして代表のルーネスの名前さえ出してしまえばリンゴは切り替えることができるのだ。
リンゴはサバドに敬礼をしながらもふもふのルナから離れ案内役の仕事に戻った。
マサキの目の前にリンゴが移動した。マサキの黒瞳には二匹の妖精がぷかぷかと浮かんでいる姿が映る。
「よしっ、これからは、極力食べてみたいものだけ食べながら進もう。お腹いっぱいになったら最後まで楽しめないからな」
「はい!」
「了解ッス!」
もぐもぐとさせながらリンゴのように敬礼をするネージュとダール。
先ほどよりも頬に詰めている量が多くなっている気がするがマサキは気にせずに次に進もうとする。
「あの、パンフレットだけもらっていいですか? 全部見て回ってから購入するかどうか決めたいので……」
「もちろんですよ。お客様は皆様そうしてます。ここで決めなくても、今日決めなくていいのですよ。試供品などで実際に調理などしてから、ゆっくりと必要な商品を考えて購入するかをご検討ください」
「あ、ありがとうございます!」
マサキはソーセージを出店している妖精の言葉を受けて思考する。
(確かに、あとでゆっくり考えた方がいいよな。ソーセージならいろんな料理と組み合わせることができるし無人販売所でも提供できるかもしれない。ここのパンフレットは絶対に必要だ。というか店で扱わなくても普通に食べたい。あんなに美味しいソーセージを一口しか食べれないなんて無理だ。舌が死ぬ。家に帰ったら絶対に注文しよう。注文方法とか知らないけどパンフレットに書いてあるだろう)
マサキは左手でパンフレットを受け取った。
「兄さん! アタシのところに入れてくださいッス!」
片手しか空いていないマサキはパンフレットを持ってしまうと両手が塞がってしまう。なのでダールは持っている茶色い袋の口を大きく開けて中へと入れるように指示した。
「そんじゃ荷物係よろしくな」
「了解ッス!」
ダールは、気になる店舗の試供品やパンフレットを持つ荷物係になった。
「それでは進みましょうー」
「気になる店舗があれば仰ってくださいねー」
マサキたちは順路通りに進み始めた。
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