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27話 やって来た冒険者と村の方針

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 翌日の早朝、朝ご飯もそこそこに、支度をして村の朝の見回りをこなす。他の自警団メンバーとすれ違いざまに朝の挨拶をする。

「おはようございます」

「ああ、おはよう、ふあ~~、眠い、」

「お疲れのご様子ですね、」

「・・・まあね、昨日は夜の見張りだったから、今から家に帰って一眠りさ」

「お疲れ様です」

「そっちも見回りご苦労さん、それじゃあ」

自警団メンバーの人はゆっくりとした足取りで帰宅していった。さあてと、今日も朝から見回りをこなすか。

昨日から村に来ている徴税官の人達は、そのまま村長さんの家に泊ったみたいだ。

・・・冒険者も現れなかったし、大丈夫かなあ。

あれこれ考えていても仕方が無い、村の中の見回りをしよう。ゆっくりと歩きながら村の中を見回る。

さすがにゴブリンがいつ攻めてくるのかわからない状況では、畑仕事どころではない様だ。村の皆は家の中に篭って過ごしている。

俺も本当は怖いのだが、自警団に入れて貰った以上、きっちりと役目を果たそうと思う、この村にお世話になっていると言うのもあるが、やはりミランダさんにお世話になりっぱなしというのも肩身が狭いので、自分から何かしなくてはと思ってしまう。気にしすぎなのかな。

村の中の見回りも一段落して、村の入り口の様子を見に来た時だった、門番をしている自警団メンバーと挨拶をして、しばらく村から伸びる道を眺めていたら、遠くの方から三人の人影が見えてきた。

「おや? あれは誰かな、」

「どうしたの? ヨシダさん」

「遠くの方から人がやって来るみたいですよ」

「どれどれ、あ! 本当だ、冒険者かな? 」

しばらく様子を見ていると、少しづつこちらに近づいて来ていた、遠くから見ると何やら武装している男女の様だ。まさか山賊じゃないよな。道を堂々と歩いて来ているから、多分山賊じゃないと思いたい。

三人組みの男女が村の入り口までやって来た、そこで向こうから挨拶をしてきた。

「こんにちは、俺達はレクリオ村が出した依頼を受けた者ですが、ここがレクリオ村で間違いないですか? 」

三人組みの男女の一人がこちらに伺ってきた、門番の村人が対応する。

「ええ、ここがレクリオ村ですよ、あんた方は? 」

男女のうちの女性が答える。

「私達はクノックスの町の冒険者ギルドに所属している冒険者です、依頼を受けてやって来ました」

おお、なんと、この年端も行かない少年少女達が冒険者だったとは、三人共、見た目が15、6歳ぐらいにしか見えない。しかし、冒険者と名乗ったので、こちらの出した依頼を引き受けてくれたという事だろう。

冒険者達を見ると、一人は少年戦士といった感じだろうか、皮鎧に鉄の剣を帯剣している。

もう一人は少女で魔法使いの様な格好をしている、裾の短い普通の服を着ていて、手には木の杖のワンドを持っている。

もう一人も見た目が少女で弓を持っている、背中に矢筒を背負い身軽そうな皮の胸当てを装備している、おそらく弓使いだろう。耳が少しだけ長いので、おそらくエルフかハーフエルフかもしれない。

村人の門番が冒険者に対応する。

「おお、来てくれましたか、冒険者さん、いや~助かります、ゴブリンの足跡が見つかった時は怖かったですし、いつゴブリンが襲ってくるかもわからないので、ヒヤヒヤしとりました、さあ、村の中へ」

少年冒険者が代表して他の二人に声を掛ける。

「それじゃあ、行こうか」

「うん」

「おっけー」

三人の冒険者は村の中へと足を踏み入れる、そこで村人の門番から俺に頼み事をしてきた。

「ヨシダさん、まずは冒険者さん達に事情を説明しなくちゃならないから、ヨシダさんが村長さん家まで冒険者さん方を案内して貰えるかい」

「ええ、いいですよ、」

俺は三人の冒険者に向かい、村の中を案内する。

「どうぞ、こちらへ、今からこの村の村長さんのところまでご案内致します、」

「どうも」

俺の案内で村の中を歩く、それにしても本当に少年少女だな、駆け出し冒険者ってやつなのかもしれない。おっと、折角来てくれたんだ、頼らせて貰おう。意外と強いのかもしれないからな。

「この俺に任しとけよ、ゴブリンなんて一撃さ、村の中では一番の剣の使い手だったんだぜ」

「調子いい事言って、うしろには気をつけなさいよね」

「まあ、楽勝でしょ、一日仕事だわ」

三人の冒険者達は元気がある、若者はこういう時いいなあと思う。

三人の冒険者を村長さんのところまで案内した。

「村長さん、居ますか? 冒険者の方がお見えになりましたよ」

しばらくして、ゆっくりとした足取りで村長さんが出迎えてきた。

「おお、待っておりましたぞ、ささ、どうぞ中へ」

言われて、冒険者達が村長さん家に上がる、詳しい話は村長さんがするだろう、俺は見回りの仕事に戻る。

そうか、とうとう冒険者が来てくれたか、これで村の守りもより確かなものになったな。しかし、大丈夫なんだろうか、あんな年端も行かない少年少女達で、駆け出しっぽいのは見て解るが、それでも少しでも多く戦力は必要だからな。あてにさせて貰おう。

村長さん宅に冒険者達を案内して、その後は村の中の見回りをした。

夕方頃、村の皆を集めて村長さんから話があった。皆不安や疲れのいろが見えている。

「皆に集まって貰ったのは他でもない、ゴブリンについてじゃ、知っての通り、いつゴブリンが攻めてくるのか解ってはおらん、そこで、今日から冒険者方の協力を得て村の守りを厚くしようと思う、そこで皆に願うが、もしゴブリンが攻めてきたらワシの家の納屋に集まって貰いたい、冒険者が言うには、村人を守るにはどこか一箇所におった方がええという事じゃ、そして自警団の者達は可能な限り手伝って貰いたい、」

村人の一人から質問があった。

「いつ襲われるのかわかっていないのだろう、その間はどうすればいいんだ」

村長さんが答える。

「なるべく普通に過ごして貰いたい、ゴブリン共に余計な警戒を抱かせないためじゃ、冒険者方は村の中央付近に待機して頂いて、何か不測の事態に対処して頂くという事じゃ、」

村人達からどよめきが起こる、無理も無い、いつもの生活をしろと言われても中々出来る事ではない。

村長さんはパールさんにも何やら言っている様だ。

「パールや、お主の魔法も頼らせて貰う事になりそうじゃ、自警団と共に行動してくれぬか? 」

「はい、ご主人様、私でよければ微力ながらお力添え致します」

「すまぬな、頼む」

どうやらパールさんも戦う事になったみたいだ、魔法使いが戦力として居るだけでも有り難い。

「我等も共に行動しようぞ」

そこで、徴税官の二人が名乗りを上げた。

「よ、よろしいのですか? 徴税官殿、危険な事になるやもしれませぬぞ」

「なに、構わん、民を守るのも王国の人間の務めだ、前線には立てんが、納屋の守りぐらいの事はやってのけるぞ」

「はは、感謝致しますぞ、徴税官殿、」

どうやら徴税官達も戦線に加わる様だ、意外といい人なのかな、徴税官というともっとお堅いイメージがあったんだが。意外と熱い男なのかもしれないな。

村長さんが皆に指示をする。

「それでは皆の者、ゴブリンが来たら、納屋に逃げ込むように、後は冒険者方にお任せするという事じゃ、よいかの、皆の者」

村人達はどよめきながらも一様に頷いた、これで村の中にゴブリンが侵入して来ても、村人達が村長さん家の納屋に逃げ込む手筈になった。その方が守り易いのかもしれない。後は俺達自警団も出来るだけ冒険者の手伝いをする事だな、はっきり言って戦う事は苦手なのだが、そうも言ってられない状況だ。パールさんも戦うと言っていたし、冒険者の働きに頼らせて貰おう。

その日はそれで解散した、村人達は不安な表情をしていたが、もしゴブリンが襲ってきたら納屋に逃げるという事に理解し、それぞれ自分の家へ帰って行った。

さあ、ここからが正念場かもしれない。俺も出来る事をやっていこう。






















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