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【003】人気
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やはり文房具には人気というものがあるのだ。
ぼくなどは常に馬鹿にされているわけだから、あまり聞きたいとは思わない。そうであっても耳に入ってきてしまうほど、ラベルとよばれる最強の文房具の所持者の人気はすごい。どこできくかといえば――多くの場合、ぼくはたおされている最中に聞く。今日もそうだった。
コンパスにはファンが多いから、みんなコンパスの戦いぶりを見にくるのだ。そして強い文房具というのは、ぼくのようにいかにして死ぬかではなく、『何人たおすか』を意識しているから、数を稼ぐために、ぼくのように弱い文房具を最初に狩りにくる。
ぼくが倒されている間、みんなは安全である。
そこで見物しながら彼らはコンパスを絶賛し、ペンケースに加えられている弱い定規のぼくをバカにする。毎回のことだから、もうなれた。
ランドセルを背おって歩きながら、ぼくはため息をついた。
今は小学校が終わったところで、これからお手伝いだ。
ぼくは叔父さんが経営している古書店の店番をしている。お客さんが入ってきたら、叔父さんに声をかけている。
明治時代や大正時代ごろに翻訳された幻想文学や絶版になった魔術・魔女術書、占星術書などをあつかっている。マダム・シレーヌの著作も置いてあるが、その稀覯本はガラスケースに入れて展示してある。
ぼくなどは常に馬鹿にされているわけだから、あまり聞きたいとは思わない。そうであっても耳に入ってきてしまうほど、ラベルとよばれる最強の文房具の所持者の人気はすごい。どこできくかといえば――多くの場合、ぼくはたおされている最中に聞く。今日もそうだった。
コンパスにはファンが多いから、みんなコンパスの戦いぶりを見にくるのだ。そして強い文房具というのは、ぼくのようにいかにして死ぬかではなく、『何人たおすか』を意識しているから、数を稼ぐために、ぼくのように弱い文房具を最初に狩りにくる。
ぼくが倒されている間、みんなは安全である。
そこで見物しながら彼らはコンパスを絶賛し、ペンケースに加えられている弱い定規のぼくをバカにする。毎回のことだから、もうなれた。
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明治時代や大正時代ごろに翻訳された幻想文学や絶版になった魔術・魔女術書、占星術書などをあつかっている。マダム・シレーヌの著作も置いてあるが、その稀覯本はガラスケースに入れて展示してある。
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