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【一】
しおりを挟むその日、僕らは雑談していた。そこで春香が、礼に聞いた。
「礼は気になる人、いる? 恋愛的な意味で」
「……」
少し沈黙してから、珍しいことに礼が顔を上げた。
「好きかもしれないと思う人はいるけど、SEXしたいとは思わないの」
「「え」」
僕と春香は、SEXはともかく、礼に好きな相手がいるという事実に驚愕した。
何せ彼女は、非常にのほほんとしていて、見た目も十五歳ながらに、いまだ小学生程度にしか見えなかったからだ。
「どこの誰なの!? 教えて!? そもそもどうして教えてくれなかったの! 私たち親友でしょう!?」
「僕もすっごく気になるんだけど!」
「その相手、結婚するのが非常に面倒くさい相手で、それ以前に結婚無理だろうし叶わない恋だから、墓場まで持っていくの! だから親友でも誰が相手でも言えないの!」
「「……」」
礼は変なところで頑固なので、きっと教えてくれないだろうと、僕と春香は判断した。懐かしい記憶だ。
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