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【60】巻き戻しの言葉。④
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『たとえ行く先が地獄だとしても、誠心誠意を込めてお供いたします。たとえこの身を地獄の業火で焼かれようとも』
そして――始祖王のやりに倒れた時もユーリスは、『地獄の業火』と口にしていた。
俺はこの言葉だと確信していた。
失っていた前世の記憶の中に、ユーリスに大していつか己が笑った記憶がよぎった。
『俺と共に来るというのなら、地獄になど決して連れて行ってはやらない。俺は、明るい未来を想像する。例えばお前と二人で、お前が好きな薬草でも眺めて、のんびりとお茶をするような、ゆったりとした生活を保守してやる。いわゆるスローライフだな』
頭の中に響いた声と、それを聞いた時に、似合わないと言って笑っていたユーリスの顔の記憶に、俺はきつく手を握った。
「巻き戻しワードが分かった」
「そうか、ではそれを魔法円に古代文字でつづってくれ――……なるほど、その言葉で時間軸の痕跡をたどった限り、始祖王の古き体に聖剣が突き刺さった直後となっているから、十分前に戻るのなら、ちょうど良いだろう」
「ありがとう、エクエス。それにライネル、お前の主人は俺が今度こそ死なせない」
「お待ちしております」
「――ラクラス」
最後に俺はラクラスを見た。
「力が使えなくなり、召還獣としてお前を従えることができなくなっても」
「ああ」
「俺はお前を、大切な友だとずっと思い続ける。だから、俺のことは気にしないでくれ」
「――いやだ」
「ラクラス?」
「フェルのことを気にしないのは無理だ。フェルは俺の友でもない。フェルは、俺の全てだ――召喚関係なんか関係ない。戻ったその時には、もうお前の隣にいてやる」
ラクラスの声に俺は微笑した。
そして魔法円の中央に立ち、両手を組んだ。目を伏せる。
脳裏にエクエスから教わった呪文を思い浮かべて、俺はつぶやいた。
「地獄の業火」
すると、ハッとして俺は目を開けていた。周囲の空気が変わっていた。
そして――始祖王のやりに倒れた時もユーリスは、『地獄の業火』と口にしていた。
俺はこの言葉だと確信していた。
失っていた前世の記憶の中に、ユーリスに大していつか己が笑った記憶がよぎった。
『俺と共に来るというのなら、地獄になど決して連れて行ってはやらない。俺は、明るい未来を想像する。例えばお前と二人で、お前が好きな薬草でも眺めて、のんびりとお茶をするような、ゆったりとした生活を保守してやる。いわゆるスローライフだな』
頭の中に響いた声と、それを聞いた時に、似合わないと言って笑っていたユーリスの顔の記憶に、俺はきつく手を握った。
「巻き戻しワードが分かった」
「そうか、ではそれを魔法円に古代文字でつづってくれ――……なるほど、その言葉で時間軸の痕跡をたどった限り、始祖王の古き体に聖剣が突き刺さった直後となっているから、十分前に戻るのなら、ちょうど良いだろう」
「ありがとう、エクエス。それにライネル、お前の主人は俺が今度こそ死なせない」
「お待ちしております」
「――ラクラス」
最後に俺はラクラスを見た。
「力が使えなくなり、召還獣としてお前を従えることができなくなっても」
「ああ」
「俺はお前を、大切な友だとずっと思い続ける。だから、俺のことは気にしないでくれ」
「――いやだ」
「ラクラス?」
「フェルのことを気にしないのは無理だ。フェルは俺の友でもない。フェルは、俺の全てだ――召喚関係なんか関係ない。戻ったその時には、もうお前の隣にいてやる」
ラクラスの声に俺は微笑した。
そして魔法円の中央に立ち、両手を組んだ。目を伏せる。
脳裏にエクエスから教わった呪文を思い浮かべて、俺はつぶやいた。
「地獄の業火」
すると、ハッとして俺は目を開けていた。周囲の空気が変わっていた。
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