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【33】苦手な下ネタは自分から突っ込めば、こちら側には深入りされないかもしれない。③

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 その日の夜は、ハロルドに、二人で飲みたいと言われた。俺にあてがわれた迎賓館の部屋に、夜会後にハロルドがやってきたのである。さてこの部屋であるが――召喚獣は立ち入れないようになっていた。理由は、召喚獣専用の迎賓館が隣接していて、帝国のもてなしの形式として、召喚獣は全てそちらの部屋を一つずつあてがわれるからだった。これはラクラスだからではなく、全てにおいてであるらしい。

 寝台のとなりのソファに座り、俺とハロルドは夜更けまで酒を飲んだ。
 ――そして俺は酔っ払ったらしい。

「ン……」

 目が覚めると、朝の光が差し込んでいた。
 瞬きをして、それから目をこすろうとして、体が動かないことに気づいた。
 え? 見れば、俺は、ギュッと抱きしめられていた。
 ベッドの上で、シーツをかぶっている。隣で俺を抱きしめて眠っているのは、上半身の服を脱ぎ捨てている、ハロルドだった。え? え!? 絨毯を一瞥すれば、ハロルドのシャツが落ちている。その隣には、俺の下着が落ちている。は? 俺は焦った。ちょっと待て。必死に記憶をたどる。昨日、昨日――ダメだ、途中から記憶が全くない。まさかこれは世に言う朝チュン!? と、狼狽えた時、さらにギュッと抱きしめられた。肌と肌が密着する。俺も裸だった。硬直した俺は、真っ赤になった自信がある。思わずきつく目を閉じた。心臓の音が聞こえるのだが、それがどちらのものなのかわからない。

「……ん? ああ、起きたのか」
「……」
「おはよう、フェル」
「お、お、おはよう――え、あの、俺達……昨日、あの……」
「ああ」
「ヤ、ヤったのか? まさか、ヤ、ヤってないだろうな?」

 俺は率直に尋ねることにした。するとハロルドが少し黙った。
 じっと俺を見ている。そして、ふっと笑った。穏やかな笑みだ。

「確かめてみるか?」
「え」
「今からヤって」
「な」

 そう言うと、俺を抱きしめ直してから、ハロルドが俺の上に乗った。え、え!?

「ま、待て。待ってくれ――っ」

 そして首筋に口づけられた。動揺して、俺は涙ぐんだ。
 すると、そんな俺にハッとしたようにハロルドが息を呑み、そして苦笑してから体を離してくれた。


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