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【五十三】幸せの定義Ⅱ
しおりを挟む「――本当に、俺の好みだ、お前は」
「……」
「虐め甲斐が増えた。そうか、悔恨か。良いな」
「!」
「そうだ。お前は弟の手を離した。さぞ怖い思いをしただろうな。お前のせいで」
心臓を鷲掴みにされたようになった。全身に冷水を浴びせかけられた心地だ。
「お前は罪人だものな、ネルス。罰を受けるべきだ。報いを受けるべきだ。そうだな?」
「……っ、俺は……俺だって本当は……」
「言い訳か?」
「ッ」
「俺が存分に罰を与えてやる。さて、何が良いかな?」
魔王は俺を無理矢理立たせると、背後にあった寝台に突き飛ばした。そして強引にのし掛かり、服を引き裂いた。
「あ」
首筋にいつもより強く噛みつかれ、俺は恐怖した。
「あ、ああ」
「しかし兄弟か。それは良い案だ。もう一人孕め」
「――、っ」
魔王が魔力を指に絡めて、俺の内側に塗り込め始めた。全身を灼熱が絡め取る。
「あ、ダメ……ダメ……いや、それは嫌だ、もう出来ない……いやああ」
「罰なのだから、嫌で当然だろう?」
どんどん魔力が強くなり、俺の内側で渦巻き始める。
「あ、あ、あ」
そこへ魔王が押し入ってきた。陰茎で魔力をかき混ぜるように、腰を動かしている。その度に、俺の体の奥が熱くなっていく。この夜、俺は散々内部に放たれた。
――魔王との二人目の子供が生まれたのは、それから三日後の事である。
俺が再び吐血したのも、その日の事だった。全身から膨大な魔力を抜き取られるような形で黒い光を産んだ直後、僕は絨毯の上にくずおれた。ああ、今度こそ死ぬのだろうか。そう考えていると、光を片手にした後、どこかへやってから、魔王が俺を見おろした。
「限界か、その体」
「……」
「自分を殺めた相手をこれほど気持ち良くしてやる懐の広い主を持って、本当に幸せな人生だっただろう?」
「……」
「お前はもう、俺の事が好きになってしまったはずだ。刻印が教えるから分かる」
それを聞いて、俺は激情に支配された。確かに魔王の事しか考えられないが、こんな感覚が恋情などとは認めがたい。怒りだ、紛れもない憤怒だ。どうすれば、魔王に一矢報いる事が出来るだろうか? 魔王は、何をすれば傷つく?
「ベリアス様」
「ん?」
「……何を失ったら悲しい?」
「そうだな。今、息絶えようとしているお前を見て、延命処置の魔術を構築しはじめているのだから、一応妃となった事でもあるし、ネルスを失えば悲しむ事も少しはあるだろう」
不思議そうな表情で、魔王が答えた。それが本心だと教えるように、黒薔薇の刻印が熱を孕む。そうか、俺か。ならば、俺が消えれば――そこに待っているのは、俺にとっての幸福だ。俺は、魔王を許せない。
一気に、これまでの人生における辛さが甦る。元をたどれば、全て魔王が悪いのだ。
テーブルに乗る果物ナイフを見る。足は自由にならないが、手は、無事だ。
魔王が視線を逸らした時、それとなく俺は、林檎とナイフを手に取った。
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