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【三十七】偽りと絶望の神産みⅡ
しおりを挟む目が覚めると、俺は口枷をはめられていた。天井から手枷でつるされていた。
そんな俺を、椅子に座り長い足を組んで、ユーガ殿下が肉食獣のような瞳で見ている。実に楽しそうな顔だ。俺は、こんな殿下を知らない。
「ふ、っ……ンん」
俺の内側を、樹の根が貫いている。ああ、前と同じだ。乳首にも根が絡みつき、蠢いている。
「舌をかみ切られては困るからな」
「ん、ン――」
「俺が本当にお前のように汚れた存在を愛すると思ったのか?」
「!!」
目を見開いた俺は、その言葉を理解したくなくて首を振る。すると吹き出してから、冷淡な目をしたユーガ殿下が歩み寄ってきた。そして俺の口枷に指で触れた。
「存分に孕め。お前は苗床だ、大切な。それ以外の価値はない」
目眩がした。俺は、分かった気がした。俺から手を離された時、きっとミネスはこんな気持ちになったのだろう。裏切り、とは、言ってはならないか。俺に言う資格は無い。俺にはやはり、味方などいないのだ。
「う、っ……」
「罪人印がよく似合うな。さて、その黒い薔薇、地の国の神の力で満たしてやろうか」
「……っ、ん、ふ」
「神の力ならばそれも可能だ。地の国は、どの国よりも魔術に長けている。そうすれば、もう俺には逆らえなくなるからな」
クスクスと笑ってから、パチンと殿下が指を鳴らした。瞬間、黒薔薇が光を放った。同時に、俺の体が熱くなる。強すぎる快楽は、求めていたはずなのに怖い。口枷を外されたのだが、呼吸に必死になるしか出来なかった。
「まずは樹の神の子だ」
「ひ、ぁ……ああああ」
俺の正面に光が溢れた。そこには、いつか見た種によく似たものが出現していた。宙に浮かぶそれを見て満足げに頷いた後、殿下が笑った。
「次は、砂の神の子を産め」
「あ、あああ、うあああ、いやあああ」
全身から魔力が抜けていく感覚がした。気持ち良い。だめだ、気が狂う。
びっしりと汗を掻いた俺の体が、ガクンと揺れた。
今度は、溢れた光の中に、砂の城のようなものが出現した。
「最後は風の神の残滓だ」
「いやああああああああああ!」
肌の内側を鳥の羽のような快楽が駆け抜けた。そうして最後に、卵が出現した。
もう何も考えられない。
「初回で三体も兵器を生めるのだから、本当に良い器だな」
「――、――」
「俺に従う限り、今後も生活の保障はする。ネルス殿下は、ただ生み続ければ良い」
その声が響き終わる直前、俺を貫いていた樹が消失した。俺は不安定な姿勢でつるされているだけとなった。そんな俺の太股を持ち上げると、殿下が焼き印を舐めた。ビリビリと魔力が流れ込んでくる。それが気持ち良くて、俺は夢中で首を振った。
「ああ、淫らだな」
残酷な声に、俺は苦しくなった。俺の枷を殿下が緩めたから、俺は床に座り込んだ。そんな俺を、無理に殿下が押し倒し、挿入してきた。剛直にいきなり抉られたというのに、俺の体は確かに悦んでいた。
「あ、ああ」
「そうか。まだ俺が好きか。健気だな」
「あ、あ、あ……あああ!」
乱暴に殿下が動く。激しい抽挿に、俺が泣きながら喘ぐ。気持ち良い。もうそれしか考えられない。ユーガ殿下は俺の根元を掴んで、射精を封じながら、最奥を責め立ててくる。そのまま俺は、中だけで果てさせられた。足の指先を丸めて耐えていると、乳首を噛まれ、俺は気絶した。
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