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【二十七】罪Ⅰ
しおりを挟む今日は目隠しをされ、木馬に乗せられている。公爵が木馬の端を蹴る度、俺は声を上げて泣いた。襲いかかってくるのは、今は痛みだ。だが、公爵が指を鳴らせば、それは快楽に変わる。もう訳が分からない。
ただ泣くしか出来ない日々の中で、俺はもう考えるのを放棄した。
痛くなければそれで良い。
「お願いだ、もう、もう痛くしないでくれ、いやぁ」
「――どうすれば、痛みを与えられなくなると思う?」
「分からない、分からな――あ、ああ、助けて」
「どうすれば、助かると思う?」
「あ、は、お願い、お願いだから、もうやめてくれ」
ボロボロと泣きながら俺が言うと、公爵が俺の目隠しを取った。そして俺の耳元で囁いた。乳首を摘まみながら、公爵は言ったのだ。
「調べておいたぞ、お前の身元を」
「あ、あ……」
「ネルス殿下、か。よりにもよって敵国で兵器を生み出すとはな」
「ッ、ぁ……ああ……あ……あああああ気持ち良い、やぁああ」
「――さて。今日はプレゼントがあるんだ」
公爵はそう言ってから、扉の方を見た。
「入ってくれ」
ギシリと音がし、扉が開く。涙で滲んだ瞳を向け、直後俺は目を見開いた。
「まさか」
「――お久しぶりですね、ネルス兄上」
「ミネス……ミネスなのか? っく、あ、あああああ!」
俺が成長した弟の名を呼んだ時、公爵が木馬を蹴った。壮絶な快楽に襲われ、無我夢中で俺は首を振る。
「感動の対面だな。樹の国の末期に、増援に言った地の国で、弟君を救出保護していたんだ」
「ええ。地の国は、これまで僕を保護してくれました。僕を見捨てて逃げた兄上とは違い、慈しんで育ててくれましたね。大変恩義を感じていますよ」
冷たい表情で、ミネスは俺を見ている。一目で分かったが、今年で――俺はもう十八になっているから、十歳になったはずのミネスは、少しだけ大人びて見えた。
「さすがは僕を置いていっただけあって、堕落が早い。淫乱だと噂には聞いていましたが、これほどとは。僕を見ても、快楽に飲まれている」
冷徹な声、子供らしからぬ言葉を、ミネスは放つ。俺は快楽と悔恨に同時に苛まれて、体を震わせた。
「亡命国家の樹立準備は既に整っているが、計画通りミネス殿下が即位するという事で構わないのだろうね?」
「ええ。兄上には、そんな資格はありませんから。今後は政略の道具になってもらう事とします」
「君は大人だな」
俺の口の中に指を入れ、舌を弄びながら、公爵が笑った。
踵を返し、ミネスは出て行く。俺の中で、何か糸のようなものが切れた。絶望感が襲ってくる。ああ、恨まれている。自業自得だと、分かっている。それでも辛い。だが、生きていてくれて嬉しい。しかしこの気持ちを、どう伝えれば良いのか分からない。
「暫く木馬で遊んでいると良い。私はミネス殿下と会談をしてくる」
「いやああああ、痛い、いやああああ」
「お前が悪いんだ」
俺の頬を伝う涙を舐めてから、公爵が歩き去った。その日、俺はずっと痛みに耐えていた。気絶したのがいつだったのかは分からない。
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