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【二十五】痛みと快楽Ⅰ
しおりを挟む結局の所、風の国の兵士達とヴェルスの行為は変わらなかった。俺を抱き潰しては、戦場に出て行くのだ。俺は次第に無気力になっていった。だが――ある日、ヴェルスが机に置いた剣を見て、ゴクリと唾液を飲み込んだ。
ベリアス将軍を手にかけた時の事を思い出す。魔力が無くとも、元々あまり魔術が使えなかった俺には関係無い。俺には、剣があるではないか。
その日、ヴェルスが不在の時、俺は必死に体を起こして、部屋の外の気配を窺った。残っている兵士達が酒を飲んでいた。乱雑に剣が置いてあるのが分かる。俺は気配を殺して、その剣を奪った。そしてそのまま、地の国の砦を逃げ出した。
――もう、俺は性欲処理の道具としてなど、生きるつもりは無い。
そうだ、まだ生きているのだから、これからの道を切り開かなければ。
そのためには、この首輪をなんとかして外さなければ。
黒薔薇の刻印は、どうにもならないのだとしても。
そうして俺は走り抜け、近くにあった地の国の小さな街へと入った。
「やってくれるねぇ」
肩を叩かれたのは、その時だった。凍り付いた俺に、いつの間にか後ろに立っていたヴェルスが残忍な笑みを向けた。
「剣はなぁ、一本でも戦場以外でなくすと怒られるから、全てに魔術がかけてあるんだよ。残念だったな」
「っ」
「まぁ良い。このまま、献上してやる。丁度、この街は公爵領地の一つなんだ。変態として有名なマーニラ公爵閣下の――歓楽街なんだよ。娼館だらけだ」
「な」
「もっと鍛えてもらうと良い」
ヴェルスはそう言うと、俺の手首を引き、無理矢理歩き始めた。抵抗しようにも、首輪がそれを許さない。涙ぐみながら、俺は丘の上にある邸宅へと連れて行かれた。その城のような大豪邸で、俺は仮面を付けているマーニラ公爵に引き渡された。ニタニタと笑いながら俺を見ていた公爵は、ヴェルスが帰った後、俺の首輪に触れた。
「どうやらヴェルスは正確には気づかなかったようだが、これは風の国の王族のみが所持する奴隷の輪だな。王族にまで可愛がられたのか。相当出自が良いか、生贄だったか。もっとも、手の甲に冒険者印の痕跡があるのだから、どうせ貧乏で身売りしたような輩なのだろうな。外見が綺麗だというのも災難だな」
そう言うと公爵は、俺の顎をきつく掴んだ。
「私は綺麗なモノが嫌いだ。戦でこの顔に火傷を負ってからな。貴様の体も、すぐに醜く変えてやる。まずは逃げ出せないように、足の指を切り落とすとするか」
俺は戦慄し、恐怖から震えた。快楽以外でこれほど震えるのは、久しぶりだった。
「っく、冗談だ」
「!」
「麗人が恐怖で凍り付く顔が好きでな」
俺から手を離すと、公爵が俺を抱き起こした。そして俺を、地下室へと連れて行った。そこには様々な、卑猥な玩具が並んでいた。それを見て目を見開いていると、強引に公爵が俺の服を開けた。
「ん? 黒薔薇の刻印だと? 火の国の縁者か?」
「……」
「随分と興味深い体だな。どれ、味見をするか」
俺を寝台に座らせると、萎えている俺の陰茎を、公爵が握った。そしてねっとりと筋を舐めあげてから、チラリと俺を見た。
「甘い味が残っているな。魔力は空だが――この味は、神の味だ。王弟であるから、地の神の力を引く私には分かる。これは良いもらい物をしたようだ。ヴェルス団長にはあとで褒美を与えるよう、陛下に進言するか」
そう言ってから、公爵が俺の陰茎を口に含んだ。
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