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―― 第一章 ――
【十八】微睡みの朝(☆)
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翌朝、僕は今では、いつもとなった通り、クライヴ殿下の腕の中で目を覚ました。まだ眠気が強いから、ゆっくりと瞬きをしていると、クライヴ殿下が僕を見ているのが分かった。僕の髪を優しく撫でながら、クライヴ殿下は穏やかな瞳をしている。
僕は無意識にクライヴ殿下の胸元の服を掴み、額を押し付けた。
そしてそのまま睡魔に再び飲み込まれた。
温かい腕の中が、心地良くてたまらない。過去は常に緊張していた全身が、今は安堵に蕩けている。
「!」
次に目を覚ました時、僕はハッとして目を丸くした。クライヴ殿下に抱き着いて眠っていた自分自身を自覚して、思わず頬が熱くなってくる。クライヴ殿下はそんな僕を、優しい瞳で見ているだけだ。
「おはよう、ルイス」
「お、おはようございます……」
気恥ずかしくなって、僕は顔を背けようとした。
「《目を逸らさないでくれ》」
「っ」
言われた通りに僕は赤面したままで、クライヴ殿下の顔を見た。
「《いい子だな》」
すると僕を抱き寄せ、髪を撫でながら、クライヴ殿下が褒めてくれた。この一言――《ケア》される度に、僕は惜しみない愛を注がれているように感じて、無性に嬉しくなり、涙ぐみそうになる。こんなにも幸せでいいのだろうか? そればかりが怖い。
「《おはようのキスを》」
「……ぁ」
僕は恐る恐る顔を近づけ、目を閉じる。そして触れるだけのキスをする。すると後頭部にクライヴ殿下の手が回り、深々と唇を貪られた。時折角度を変えながら、舌を絡めとられる。唇が離れた時には、透明な唾液の線が出来ていた。
「んっ」
クライヴ殿下が僕の首と肩の間をぺろりと舐めてから、そこに吸い付く。ツキンと疼いて、キスマークをつけられた事が分かった。昨夜も沢山の痕をつけられたから、僕の白い肌には、赤い花のように痕が散らばっている。
「早くルイスに、首輪を贈りたい」
DomとSubの関係が成立した際に贈られる首輪の事を、僕は思い出した。この国には、DomとSubの数はそう多くはないのだが、その双方が合意をした場合、SubはDomから贈られた首輪をつける事が多い。
現在、僕は身に着けていないし、受け取ってもいない。ただ、クライヴ殿下はちょくちょくこの言葉を口にする。けれど――。
「早くルイスに信頼されるよう、努力をする」
――僕の気持ちが固まるのを、待っていてくれているらしい。無理強いしたくないのだと、クライヴ殿下は僕に話す。高圧的だったヘルナンドを思い出すと、信じられないくらいに、クライヴ殿下は僕を尊重し、愛で、優しくしてくれる。僕はそれが、とても怖い。もしクライヴ殿下がいなくなってしまったらと想像した時、きっと耐えられないから、あまり心の内側に踏み込まれたくないと感じてしまう事がある。今ならばまだ、ギリギリのところで、僕の心は外殻を保てそうではあるけれど、もしもこれ以上甘やかされ褒められ続けていったら、僕はクライヴ殿下がいないとダメになってしまいそうで、心もひび割れて粉々になってしまいそうで、それが本当に恐ろしい。
「ルイス?」
「……」
「無理にと言っているわけではないから、そう悲しい顔をしないでくれ」
「そ、そうじゃなくて……嬉しいんです。でも……本当に僕でいいのかなと考えてしまって」
必死に僕は心情を吐露する。クライヴ殿下は微苦笑すると、そんな僕の額に口づけた。
「ルイスがいいんだ。そして、俺はルイスを独占したいし、しているという証明を、一つでも多く持ちたいというだけだ。利己的な理由なんだ。法的な立場、公的な伴侶としての関係、俺はそれだけでは満足できない。ルイスの全てが欲しいんだ。だから、ルイスはもっともっと俺に甘やかされる事に慣れてほしい。ルイスには、俺以外の事――わずらわしい事はなにも、もう考えないでもらいたいくらいなんだ。俺だけを、見てほしい」
クライヴ殿下はそうつらつらと語ってから僕の瞳を覗き込んだ。
「ルイスの全てを手に入れたい。こんなにも誰かを欲したのは、『支配』したいと思ったのは初めてなんだ。一目見た時から、変わっていない衝動だ。だから今、こうして腕の中にルイスがいてくれる事が、俺は幸せでならないんだ。分かるか?」
じっと見据えられたので、視線を返していると、クライヴ殿下の瞳に、わずかに獰猛な光が宿った。
「あっ」
クライヴ殿下はそれから指先で、僕のまだ解れている後孔に触れた。まだ昨夜の残滓が残っていて、指先が挿入されると、白液が垂れてきた。
「んンっ」
続いてクライヴ殿下のもう一方の手が、僕の陰茎を握りこんだ。後ろをかき混ぜながら、僕の前を扱き始める。僕は思わず喉を震わせる。
「今日は休みだな。一緒に、湯浴みをしようか。今から」
「……っ」
果てる直前まで昂められた時、少し掠れた声でそう告げられ、僕は涙ぐんだ。
「《立ってくれ》――そしてソファに座って、《よく見せて》」
「!」
僕の頬がカッと熱を帯びる。僕はおろおろしながら寝台から降りた。そしてソファに座り、立ち上がってしまった陰茎がよく見えるように足を開く。すると僕の正面に回ったクライヴ殿下が、まじまじと僕の陰茎を見据えながら、再び僕の後孔に指を二本挿入した。
「あ、あ、あ」
そしてぐちゅぐちゅとかき混ぜながら、さらに張りつめていく僕の陰茎を見る。
「ルイスの体は、どこもかしこも綺麗だな。俺のものだ」
「んぅ!」
クライヴ殿下に陰茎の筋を舐め上げられて、僕は震えた。
今度こそ出ると思った時、クライヴ殿下が指を引き抜き、喉で笑った。
「さぁ、浴室に行こう」
その声に僕は真っ赤のままで頷いた。
僕は無意識にクライヴ殿下の胸元の服を掴み、額を押し付けた。
そしてそのまま睡魔に再び飲み込まれた。
温かい腕の中が、心地良くてたまらない。過去は常に緊張していた全身が、今は安堵に蕩けている。
「!」
次に目を覚ました時、僕はハッとして目を丸くした。クライヴ殿下に抱き着いて眠っていた自分自身を自覚して、思わず頬が熱くなってくる。クライヴ殿下はそんな僕を、優しい瞳で見ているだけだ。
「おはよう、ルイス」
「お、おはようございます……」
気恥ずかしくなって、僕は顔を背けようとした。
「《目を逸らさないでくれ》」
「っ」
言われた通りに僕は赤面したままで、クライヴ殿下の顔を見た。
「《いい子だな》」
すると僕を抱き寄せ、髪を撫でながら、クライヴ殿下が褒めてくれた。この一言――《ケア》される度に、僕は惜しみない愛を注がれているように感じて、無性に嬉しくなり、涙ぐみそうになる。こんなにも幸せでいいのだろうか? そればかりが怖い。
「《おはようのキスを》」
「……ぁ」
僕は恐る恐る顔を近づけ、目を閉じる。そして触れるだけのキスをする。すると後頭部にクライヴ殿下の手が回り、深々と唇を貪られた。時折角度を変えながら、舌を絡めとられる。唇が離れた時には、透明な唾液の線が出来ていた。
「んっ」
クライヴ殿下が僕の首と肩の間をぺろりと舐めてから、そこに吸い付く。ツキンと疼いて、キスマークをつけられた事が分かった。昨夜も沢山の痕をつけられたから、僕の白い肌には、赤い花のように痕が散らばっている。
「早くルイスに、首輪を贈りたい」
DomとSubの関係が成立した際に贈られる首輪の事を、僕は思い出した。この国には、DomとSubの数はそう多くはないのだが、その双方が合意をした場合、SubはDomから贈られた首輪をつける事が多い。
現在、僕は身に着けていないし、受け取ってもいない。ただ、クライヴ殿下はちょくちょくこの言葉を口にする。けれど――。
「早くルイスに信頼されるよう、努力をする」
――僕の気持ちが固まるのを、待っていてくれているらしい。無理強いしたくないのだと、クライヴ殿下は僕に話す。高圧的だったヘルナンドを思い出すと、信じられないくらいに、クライヴ殿下は僕を尊重し、愛で、優しくしてくれる。僕はそれが、とても怖い。もしクライヴ殿下がいなくなってしまったらと想像した時、きっと耐えられないから、あまり心の内側に踏み込まれたくないと感じてしまう事がある。今ならばまだ、ギリギリのところで、僕の心は外殻を保てそうではあるけれど、もしもこれ以上甘やかされ褒められ続けていったら、僕はクライヴ殿下がいないとダメになってしまいそうで、心もひび割れて粉々になってしまいそうで、それが本当に恐ろしい。
「ルイス?」
「……」
「無理にと言っているわけではないから、そう悲しい顔をしないでくれ」
「そ、そうじゃなくて……嬉しいんです。でも……本当に僕でいいのかなと考えてしまって」
必死に僕は心情を吐露する。クライヴ殿下は微苦笑すると、そんな僕の額に口づけた。
「ルイスがいいんだ。そして、俺はルイスを独占したいし、しているという証明を、一つでも多く持ちたいというだけだ。利己的な理由なんだ。法的な立場、公的な伴侶としての関係、俺はそれだけでは満足できない。ルイスの全てが欲しいんだ。だから、ルイスはもっともっと俺に甘やかされる事に慣れてほしい。ルイスには、俺以外の事――わずらわしい事はなにも、もう考えないでもらいたいくらいなんだ。俺だけを、見てほしい」
クライヴ殿下はそうつらつらと語ってから僕の瞳を覗き込んだ。
「ルイスの全てを手に入れたい。こんなにも誰かを欲したのは、『支配』したいと思ったのは初めてなんだ。一目見た時から、変わっていない衝動だ。だから今、こうして腕の中にルイスがいてくれる事が、俺は幸せでならないんだ。分かるか?」
じっと見据えられたので、視線を返していると、クライヴ殿下の瞳に、わずかに獰猛な光が宿った。
「あっ」
クライヴ殿下はそれから指先で、僕のまだ解れている後孔に触れた。まだ昨夜の残滓が残っていて、指先が挿入されると、白液が垂れてきた。
「んンっ」
続いてクライヴ殿下のもう一方の手が、僕の陰茎を握りこんだ。後ろをかき混ぜながら、僕の前を扱き始める。僕は思わず喉を震わせる。
「今日は休みだな。一緒に、湯浴みをしようか。今から」
「……っ」
果てる直前まで昂められた時、少し掠れた声でそう告げられ、僕は涙ぐんだ。
「《立ってくれ》――そしてソファに座って、《よく見せて》」
「!」
僕の頬がカッと熱を帯びる。僕はおろおろしながら寝台から降りた。そしてソファに座り、立ち上がってしまった陰茎がよく見えるように足を開く。すると僕の正面に回ったクライヴ殿下が、まじまじと僕の陰茎を見据えながら、再び僕の後孔に指を二本挿入した。
「あ、あ、あ」
そしてぐちゅぐちゅとかき混ぜながら、さらに張りつめていく僕の陰茎を見る。
「ルイスの体は、どこもかしこも綺麗だな。俺のものだ」
「んぅ!」
クライヴ殿下に陰茎の筋を舐め上げられて、僕は震えた。
今度こそ出ると思った時、クライヴ殿下が指を引き抜き、喉で笑った。
「さぁ、浴室に行こう」
その声に僕は真っ赤のままで頷いた。
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