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学生寮といじめ

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夜遅く。
田舎の山奥にある中学校。
小高い丘の上にある校舎の傍に学生寮がある。
学生寮の二階にある一本の長い廊下を二人の男子生徒が歩いている。
二人のうち背の高い生徒──木原浩がひそひそ声でもう一人の小太りな生徒──海田由紀夫に言った。
「藤永のやつは今、部屋で寝てるからやりたい放題さ」 
浩はそう言って藤永の部屋の金色の鍵を人差し指と親指で持って、由紀夫に見せつける。
藤永は学校のいじめられっ子だ。オカルトと小さい虫や小動物が好きで、周囲から気持ち悪がられてそれが理由でいじめられている。
「浩くん、ホントにやるのかい?」
「あたりめーだろ。あいつになにやっても誰も文句言わないっつーの!」
由紀夫はバケツと木の棒を持っている。
浩は藤永の部屋のドアの前へ行きノブを掴んで「あれ?」と呟く。ドアを開けると藤永が床でうつぶせに倒れている。すでに事切れている。死体の周囲が散らかっている。
浩と由紀夫は恐怖に震えて、廊下を走り階段を降りる最中に転げ落ちた。互いに頭をぶつけて血が流れる。
藤永の周囲にはトカゲやクモなどの死体が散乱していた。
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